第3話 初めての街へ入場
「■■■▼▼▓▓■■!」
「え?なんですか?」
《Information:スキル《異世界語》を入手しました》
なるほど、変な響きだなと思ったら、異世界語だったのか。
「入場料として大銅貨1枚を支払うか、身分証を提示しろ」
「お。意味がわかるようになった!」
というか、俺銀貨なんか持ってないぞ!?どうすればいいんだ?
「……」
「ほら、早くしろ!」
「すみません。お金を途中で落としてしまって。何か他のものでもいいですか?ミスリルの剣とか、魔獣の素材とか」
「何!?ミスリルだと!?」
「そうですが……。何か問題でも?」
「いや、何でもない。そういう物があるなら、ここから右に少し行ったところの、あそこの売却所で売ってこい」
「わかりました!」
あの門番、ミスリルにものすごく反応していたが、この世界でミスリルは結構レアなのだろうか。
少し疑問に思いながら、例の交換所へ向かうと、優しそうな表情をしている商人と思われる人がいた。
「へい、らっしゃい」
「どうもこんにちは。これを売りたいのですが……」
俺は一番最初の方に打ったミスリルの剣と、Eランク魔獣であるアースオークの魔石を渡す。
「こ、これは……!」
「え、なんですか?」
「ミスリルの剣!しかも、上質だ。それなりの値段になる。こっちのアースオークの魔石は……。まぁまぁだね。銅貨八枚ぐらいかな?」
「ミスリルの剣の値段はどのくらいですか?」
「そうだな、金貨1枚ぐらいだな。武器屋とかに売ったら金貨3〜5枚くらいで買い取ってもらえるよ」
「あ、いえいえ。ここで買い取ってください。大銅貨でほしいんですけど、できますか?」
「できますよ。それじゃぁ、ミスリル剣分の大銀貨9枚と銀貨9枚と大銅貨10枚に、魔石分の銅貨8枚です」
「ありがとうございました」
俺は布袋に入ったお金を受け取り、商人に会釈してからあの列へ向かう。ミスリルって高いんだな。
この世界では、銭貨、大銭貨、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨とあり、ほとんどの貨幣は10枚でひとつ上の貨幣になるが、大金貨から白金貨へは、100枚必要になる。
日本円で換算すると、銭貨一枚で10円だ。
5分ほどで順番が来た。
「よう、さっきの。ちゃんと払えるか?」
「はい。大銅貨1枚、どうぞ」
「確かに」
男は銀貨を腰の袋にしまい、かわりに紙切れを出した。
「これは、三日間街に滞在することを許可する入場券だ。それ以上滞在する場合は、その期間の間に証明証を発行するか、追加で大銅貨を一枚納めるように」
「あの、一つ質問していいですか?」
「何だ」
「証明証って、どんなものですか?」
「お前、結構いい身なりしているのにそんなことも知らんのか」
「ちょっと、忘れてしまって……」
「……まぁ良い。冒険者ギルドや、商人ギルド、職人ギルドなどで登録するともらえるカードだ」
「なるほど。ありがとうございます」
俺は門番の話を聞き、入場券を受け取ると、大きな門をくぐった。
門をくぐると、活気のある町並みが目に入り、人々の賑やかな声が耳に入る。
この街は、フォレスタンというようだ。
それなりに発展しているようで、中世後期のヨーロッパのような町並みだ。露店も豊富で、色とりどりの野菜や、輝く宝石などを売っている。
この大通りの道をたくさんの種族の人々が歩いている。パトロール中と思われる騎士、豊乳かつ露出の多めなセクシーなお姉さん、冒険者風の服を着て、長い杖を持っているエルフ、髭を蓄えたドワーフ。さらにはケモミミさんもたくさんいる。
魔法を使える人は少ないようで、エルフの人は結構いたが、人だと十人に一人ぐらいかな?
ほかにも、平和な環境でぬくぬくと育ってきた日本人には全く馴染みのない、奴隷の人もいた。
「フェルル、ファルル。この街すごいな……」
「ワフ……」
「ワン……」
さて、まずは冒険者登録をしよう。どこかわからないので、誰かに聞かなければ。
目の前を通った、可愛らしい猫耳幼女に聞いてみよう。
「ねぇ、そこの君」
「なあに?お姉ちゃん」
「ははは。俺は男だよ。冒険者ギルドってどこかな」
「このみちをまーっすぐいったところにあるよ」
「そうか。ありがとう」
「どういたしましてっ!」
道を教えてくれた猫耳娘をなでてやると、目を細めて気持ちよさそうにした。
俺は走って大通りを走り抜ける。
なんか体が重いな。封印したばかりだから慣れてないだろうが、そのうち慣れるだろう。
解いたときには逆のことが起こりそうだな。
1分ほどでついた。
冒険者ギルドの建物は、他の建物に比べてとても大きかった。この街は冒険者の人が多いのかな?それとも施設が豊富とか。
早く入ろう。
ワクワクしながら木の扉を大きな音を立てて開けると、中にいる人の視線が集まった。
つい力みすぎたなと反省しながら前へ前へと進んでいく。
中はそれなりに清潔で、いい感じの装飾がされていた。筋肉もりもりの厳つい冒険者が、酒に溺れて騒がしくしているというような感じを想像していたが、そんなことはないようだ。
奥まで進むと、カウンターらしき所へついた。左右に道がわかれていて、冒険者登録をするとつかえる訓練場などにつながるのだそうだ。
カウンターには、にこやかな表情をしている女性がいた。制服と凹凸のある体が相まって、受付嬢らしさを引き立たせている。
「いらっしゃいませ。こちら、フォレスタン冒険者ギルドにございます」
「どうも。冒険者登録をしたいのですが」
「はい。わかりました。テストを行いますがよろしいですか?」
「はい。お願いします」
「何があっても当ギルドは責任を負いませんが、本当によろしいのですか?」
「はい」
「では、ご案内いたしますので、私についてきてください」
女性の指示にしたがい、俺はついていく。
しばらく進むと、女性は訓練場の受付係に話しかける。
「この方がテストを受けるので、試験官の準備をお願いいたします」
「了解しました」
数分後。準備が終わったようだ。
「では、こちらへどうぞ」
「ありがとうございます」
俺は女性に礼を言ってから、場内へ入っていくと、緊張感のある空気が俺を包んだ。
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