表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/73

第24話 最終形態

 揺れる地面。ゴーンとなる地響き。嵐の数倍激しい暴風。荒れ狂う黒雷。衝撃波のせいで飛んでくるゴブリンやウルフ。


 そして、――隕石の雨。


 そんな緊急事態が起こってしまった。それは、数十分前のことだった――。



 ■■■■■



 俺たちは魔法やソードスキルで一気に畳み掛けていった。俺の竜王覇術はレベルⅢまで上がり、ドラゴンが乱発していたあの光線も使えるようになっている。


 《オーバープライム・ストリーム》という名前だった。


 そして、リライが渾身の大火球を放ち、見事命中し命力バーがついに1ドットになった。


 このままトドメを刺せればいいのだが――あ、終わった――。



『よっ、さすが特級フラグ建築士!』



 そんな幻聴が、懐かしい声で俺の耳をかすめてしまった。


 確か、昔由菜にそんな事言われたような……。


 そんな思考をしていると、後ろで強烈な光が炸裂した。


「め、めが〜」

「可愛いけどヤメロ」

「え、ご主人さま今、私を、か、かわいいと!うへへ〜なのです!」

「……」


 そんなリライの発言が、俺の恐怖を少し和らげてくれた。


 そう、俺はこの世界に来て、初めて恐怖しているのだ。


 今までの気配とは遥かに違う。その光柱は、もはや神の放つ気配、神気を放っているのだ。



 5分もかけて変化したドラゴンが現れた。もう、地に足をつけていない。浮遊している。


「ギュオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォ!」


 その方向とともに、翼が羽ばたいた。両翼付近に竜巻が発生し、周辺の木々をなぎ倒して消えた。


 しかも、属性を自在に操れるようで、火と風と雷撃が混ざった竜巻を放ったり、マグマのように赤い巨大岩を飛ばしたりする。



 ところで、ちょっと鑑定してみるか。



 名称:プライムドラゴン・エターナル

 種族:魔獣 神魔 竜王 神竜

 状態:平常

 Lv.2750

 不明



 その鑑定結果にふさわしい容姿を、奴は持っている。


 より広大になった翼は、全長500メートルにも迫るほどあり、模様も繊細さと美しさが増し、宝石のような輝きを放つ鱗が散りばめられている。


 巨大な体躯もさらに驚異的に大きくなり、重厚さが増した鱗によってすごく壮麗な外見だ。


 頭部も、角が長く太くなり、こちらも宝石のような輝きを持つ石がついている。目も、銀河のような壮大な輝きを持っていて、とても奥深いな。


 後ろの紋章も5倍ぐらいの大きさになり、輝きもまして美しい。神気の根源はあれだろう。


 レベルも上がりやがって。


 そんなことより、命力が半分まで回復してしまっているではないか。クソっ、ジ○ルデかよ!



 奴は口を大きく開く。喉のあたりがチカチカと明滅し、周辺の魔力が吸い寄せられる。


 そして、見たことのない光線が放たれる――。



 ■■■■■


 ――冒頭に至る!




 あの光線は、オーバープライム・ストリームを数本当ててやっと相殺できるぐらいの威力だった。


 現在は、竜王覇術スキルがレベルⅤに成長し今までの技を合わせて合計8つの技を覚えられた。


 レベルⅡに上がったときは《テンペスト・アンリーシュド》、レベルⅢのときは《ドラゴニック・エレメンタルノヴァ》《リフレクトプロテクション》、レベルⅣのときは《インテンシファイ》《ドラゴン・マニフェスト》を習得できた。


 そして、レベルⅤではあのヤバい斬撃を手に入れた。《エターナルサンダリング・クリーパー》という名前だった。


 今ではその技は……。


 ――無限に降り注ぐ隕石を木っ端微塵に砕くために使われている。


 地面がクレーターでボコボコにならないように、撃流魔法で衝撃緩和もしなければならない。


 そのため、魔力もどんどん消費していく。


 今度神に会ったら、魔力ゲージも創ってもらおう。残り魔力がわからないと困ることがわかったからね。


 定期的に魔力を回復させるために《コメット・トレンチャルレイン》を放っているのだが、半数以上が障壁に阻まれて、吸収効率が下がっている。


 でも、やろうと思ったら魔力吸収みたいなスキルでも手に入るのではないか?


 俺は、魔力感知で魔力の濃い場所を探した。


 使った瞬間に、魔力が濃いことを示す赤色で視界がいっぱいになったので、場所を移す必要はないようだ。


 まぁ、そりゃそうか。


 俺はそのへんの魔力を自分へ流すというイメージで魔力を動かしてみた。


 《Information:スキル《魔力吸収》を入手しました》


 ――イージーモードって、なんて素晴らしいのだろうか。


 これで魔力枯渇問題は解決することができた。





 さて、攻撃に入っていこう。


 暁闇剣を形態変化させて、二本の剣にする。


 そして蒼幻煌剣絶斬を10発放つ。大量の魔力が剣に流れ込み、重みが爆増する。


 その重みを利用すれば、あの不可視の障壁も敗れるのではないか?


 俺は空中疾駆で天高く舞い上がり、20キロの上空に行った。酸素がとても薄いので、風魔法で地上の空気を送り込む。


 地上を見下ろし、当たりに2つほどある光の集まりを見つけて「こんな近くに街あったのか」と思ってから自然落下に移行した。


 落下速度が最高速度に到達したと同時に、風魔法で空気の抵抗を減らしたり、逆に空気で背中を押したりして落下速度をどんどんと上げていく。


 高度5キロ。俺は《エターナルサンダリング・クリーパー》を起動し、ためて、ためて、限界までためまくる。


 高度2キロ。ドラゴンは俺に気づき、何故か紋章を頭部に持ってきて俺へと突進し始めた。


 高度1キロ。弾丸のような速さで向かってくるドラゴンと、流星のように落ちていく俺が衝突した、――そのとき。


 剣に宿る、溜めに溜めまくったエネルギーを解き放つ!



 ――ため込まれたエネルギーが衝突したエネルギーと相まって、超新星爆発のような爆発と衝撃波が生まれる!轟音が轟き、天地は揺れ、地面が波打つ。


 周囲の木々も、バキバキと音を立てながら立て続けにへし折れていく。



「うッ……」



 しかも、腕の衝撃が激しい。骨数本が逝っちまって、筋肉も少し切れてしまっているようだ。治癒魔法で再生しながら、サイコキネシスで体を押す。


 そして、暁闇剣に魔力を一気に込めて重量をさらに上げる。腕力を上げて、力をもっと込める。




 奴の頭上の紋章に、ピシッとヒビが入った。すると、命力ゲージが1位割ほどガクッと減るのが見えた。


 ――こいつ、紋章が弱点だったのか。



 さらに魔力を込め、自分の使える魔法すべての属性を付与した。剣が七色に輝く。


 段々とドラゴンが後退していくのがわかる。



 やがて、どんどんと紋章にヒビが入り続け、6割まで回復していたやつの命力も3割までみるみる現象していった。



「うおおおおぅラあああああ゙あ゙あ゙ぁァァァァ!!」



 俺が咆哮を上げた瞬間。ドラゴンの紋章は、パリィィンと美しい音を奏でながら星屑のように砕け、無数のかけらとなり散った。


 さらに、気づかないうちに溜まっていた運動エネルギーが開放され、ドラゴンを斬りながら光速で地面に落下していく!


 豆腐を切るような感触が手に伝わり、ドラゴンの鮮血で体が紅く染まる。


 やがて、巨大なクレーターを作りながら地面にめり込み、全身の骨が粉々に砕けた。


 痛覚無効がなかったら、気絶していただろう。俺はすぐにパーフェクション・ヒーリングをかけた。癒やしの光に優しく包まれ、失った骨がもとに戻っていく。



 そして、左右対称に斬られたドラゴンが、ビタァァァーンと音を立てながら、俺の背中に落下した。



「いって!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ