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第2話 経緯

一部スキルを変更しました

6/9 スキル名を変更しました

 ――今朝だっただろうか。


 いつも通り明晰夢から目覚めた。ベッドから立ち上がろうとした、そのとき。


 周囲がねっとりと重くなり、視界が暗転する。


『――そこの人間よ、よく聞け』

「はい!?」


 急に天から、いや脳の聴覚に直接送り込まれた神々しい声が響いた。


『今から、お前に提案をする。よく聞け』

「ていうか、あんた誰だ?」

『ほぅ、儂にそんな反応を示した人間は初めてだ』

「早く用件を言ってくれ。俺は大学受験があるんだ』

『いいから聞け。今から本当に大事な話をする。お前の人生に関わる話をな』

「はぁ」


 俺の人生に関わる話?何じゃそりゃ。


『今から数時間後、お前は通り魔に襲われ、死ぬだろう』


 その言葉は俺に衝撃を与えた。そんなことを知らないようで、謎の声は話を続ける。


『その時にお前の約18年の人生が終わるわけだな。たった18年の人生で終わるのか。可哀想に。』

「なんでそんなことわかるんだよ。というかあんたマジで誰だ?」


 何なんだこの謎の声は。まだこれも夢の中なのか?


『儂は未来が見えての。まぁ神だからな』

「はぁ?神?」

『そうだ。儂は輪廻神だ。魂を司っとる』

「え!?マジ!?」

『そうだ』

「まじかよ」

『さて、本題に入るぞ』


 神は咳払いをする。真っ白で殺風景な視界に、新たな彩りが増えた。


『さっき儂が提案するとお前に行ったな?その提案というのが、お前を儂らの世界、お前風に言うならば【異世界転生】をしないか?』

「なっ、なんだってぇぇぇ!?」

『いや、来たくないなら無理に来いとは言わん』

「行きます行きます絶対行きます行くためなら何でもしますどう――」

『あぁわかったわかった。そんなに行きたいのか。どうしてそんなに行き――』

「異世界オタは異世界へ行くのが夢なので」

『そうなのか』


 謎の声は呆れて言った。


『まぁ、なんで俺が選ばれたんだとお前は思っただろうが。それも説明してやる』

「よろしく」

『お前の持っている創造力の強さ、そしてお前の寿命の短さが、それぞれダントツで高かった。創造力は、明晰夢を使って。寿命は儂の能力で見たがな』

「それで、俺が選ばれたと」

『そうだ。』


 明晰夢を毎日見ると創造力が強くなるのか。まぁ、日に日に空を飛ぶとか物を生み出すとか簡単に感じていったからな。


「でもなんで創造力の強い人間が必要なんだ?寿命ならまだわかるが……」

『それは、このスキルの使い手を探していたんだ。』


 ブンッと音を鳴らして現れたのは、《Information》と表示され、その下に《スキル》と《クリエイティヴ・クラフト》が表示されている。まるでゲームのAR表示みたいだ!


「おぉぉ!!」


 創造力の強い人間を探してた理由はこれだろう。


『そのスキルは、創造力で魔法や物を創造することができる。結構高位の金属や物もだ。しかもそのスキルは、お前専用だ』

「マジ?」

『そうだ』


 これは転生後の無双ルートで間違いない!


『使用方法は、お前が明晰夢を見てるときと同じようにすればいい』

「了」

『そういえば本当に転生するのか?これは最終確認だ。地球の輪廻に加わることもで――』

「転生します」

『そうか。ありがとな。転生者を探すのは本当に苦労したんじゃ』


 神はホッとした声でそう言った。


 そして、一人の人間と2つの剣が現れた。


 人間の姿は凄まじい神々しさを放っている。声の主だろう。あと二本の剣は俺のものになるものかな?


『転生すると決まったので、儂の仮の姿を出した。あと、もうお前の魂はこちら側に居る』

「ねぇ、その剣は俺のものになるのか?」

『そうだぞ。これは、剣の中でもトップの剣。神が直々に作った《神武器》というものだ。名前はまだ無い。お前がつけてやってくれ』

「今度は最強の剣か。本当になんでもいいのか?」

『うむ。好きにつけるがよい』

「名前か……」


 目の前の剣は、蒼穹色の剣と、闇色の剣が並んでいる。蒼穹色には、蒼穹と、ラテン語で転生を意味する語をつけよう。《蒼穹剣・レインカルナティオ》。なかなかいいんじゃないか?


 闇色の方には……ちょっと思い浮かばん。スキルや能力を見てみよう。


「おーい神様、能力ってどうやって見れるんだ?」

『剣を人差し指で強く叩いてみろ。』


 言われた通りにすると、《Information》と出てきた。《Things》のあとに、こんなものが表示されていた。


 名称:なし

 装備者:なし

 ウェポン:ディバイン・ウェポン

 攻撃力:200 (初期値)

 耐久値:∞

 装備効果: 感覚強化

 スキル:魔力剥奪X 剥奪超強化 魔力貯蓄 ≪容量 0/100000000≫ 魔力給与X 痛覚無効付与 グロース Lv.1 破壊不能 変幻自在


 なんか色々あるな。魔力剥奪?魔力を奪うのかな?じゃぁ、この剣の色は暁闇色っぽいから……《暁闇剣・マジックテイカ―》にしよう。


「この蒼いのは《蒼穹剣・レインカルナディオ》。この闇色のは《暁闇剣・マジックテイカ―》にした。どうかな?」

『ふむ。なかなかいい名前だな。良かろう。今名付けを行う。』


 二本の剣はひときわ強く輝き、そして鞘に収められた状態で俺の腰についた。


『次は、なにか現実から持っていきたいものはあるか?』

「そうだな……、いま着てる服と、俺の家にある黒のロングコートかな。」

『そんなものでいいのか?』

「まぁな。だって、この世界の進んだ技術なんてそっちじゃ使えないだろうし。だったらお気に入りの服でも持っていこうと思ったんだよ。」

『よかろう。では、それらは防具とする。すごく強いぞ』

「え?ただの服が?どうして……」

『お前の世界の科学技術がな、すごく進歩してるんで、あっちの服に比べてかなりの強度があるんだ』

「へぇ」

『だいたい、ただの服の防御力なんざ高くて50ぐらいなのに。お前の世界の服はそれだけで150はある。更に強化されるんだから、強くて当たり前だろう?』

「まぁ、それもそうだな。」


 そんな会話を交わしていると、そして俺の馴染みのコートが降りてきたので、ササッと着る。


『お前の名前はどうするか?転生後の名前は。』

「スカイ・インフィニティと名乗るよ。」

『わかった。それで設定しておくな。』


 神は指を鳴らす。そして俺の体が白く発光した。


『これが最後の話だ。お前には、15個のスキルを取得してから転生してもらう。だが今はもうすでに一つ授けたので、あと14個選んでもらう。好きに選べ。』


 俺の目の前に新たなウィンドウが表示された。それには数え切れないほどたくさんのスキルがずらずらと並んでいる。


 そして、俺の選んだスキルはこれだ。


 スキル

 紅焔魔法X 擊流魔法V 地磁魔法 V 竜巻魔法X 治癒魔法X 雷撃魔法X 空間魔法X 補助魔法X 気配察知X 鑑定X

 エクストラスキル

 サイコキネシス 状態異常無効

 ユニークスキル

 戦技王X 戦術王Ⅹ


 一部の魔法はレベル5にしといた。自分で練習してレベルを上げることによって、制御が上達すると考えたからだ。


 だって高レベルのスキルを急に覚えさせられるなんて、体が慣れるわけがないからだろう?


 でも、自分の好きな属性はⅩで取得した。


『よし、転生の準備は完了した。転生先はどこがいいか?』

「街の近くならどこでもいいな」

『わかった。では、すぐに転生を始める。またどこかで会おう』

「およ。んじゃまた――」


 俺の体を強い光が包み込み、凝集し、散らばった。

 

明晰夢

…夢の中で「これは夢だ」と自覚している夢のことで、自分自身で夢と気づいているので、自由自在に夢の内容を操れると言われている。 明晰夢ではルールはなく、結果も決まっていない。 つまり、想像できるすべてのものに意識的に夢の形を変えることができるため、あらゆるファンタジーを実現・体験できる。

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