第21話 神様たち
10秒もかからないうちに、あの景色が目に飛び込んできた。
そこには、あのとき話した神と、知らない人が9人と、とてつもなく巨大な狼もいた。凄まじい神聖な気配を放っている。
あの9人はきっと神だろう。
『やぁ、スカイ。君の過ごし方を楽しんで見ているぞ。調子はどうじゃ?』
「ああ。すごく疲れてる」
『そうか。それもそうじゃな。戦闘が続きすぎているわけじゃからな』
「本当にダルい……」
『まぁ、頑張ってくれ』
輪廻心は、俺に激励の言葉を送った。
『では、儂らの自己紹介をしよう」
「ああ」
『改めて、儂は輪廻の神だ。魂を司っとる。よろしくな』
輪廻神が挨拶をしたあと、他の神様たちの自己紹介が続々と始まった。
『俺は創造の神だ。お前の創造力は素晴らしい物だ』
『魔法の女神よ。よろしくね、坊や』
『俺様は武術技の神だ。いっぱい戦って、強くなるんだぞ』
『職人の神だ。すごい武器を作っているようじゃな。もっと腕を磨け!』
『大地の神だ。森が物凄い勢いで消滅しているが、ちゃんと戻せよ』
『海洋の神。よろしく』
『獣魔の神だ。俺の眷属の眷属を大事にしてやってくれ』
『試練の神です。一番最初の試練は私が与えたのだけど、乗り越えたようだね』
『愛の女神よ〜。あなたはかなりモテるだろうね〜』
みんな個性あふれる見た目をしている。特に魔法と愛の女神は、豊胸中の豊胸ですね。オッパイでかすぎです。
『この中で一番強いのが創造の神だ。次に儂、魔法神と武神、職人神、大地神と海洋神、獣魔神、試練神、そして愛神だ。と言っても、儂らは仲良くこの世界の住民を平等に見守っているから、上下関係なんてほとんどないぞ』
「へぇ、そんなんだ」
『それでは、本題に入ろうではないか。「HPゲージ」とやらを作って欲しいというが、それは何だ?』
「ああ、地球には『ゲーム』っていう、あっちでは誰でもやっているようなものがあるんだ。特に、ファンタジーアクションRPGというものが俺は好きだった」
『なるほど』
「で、その中に、この世界にいるような魔獣がいて、それを倒して経験値を得て、レベルを上げていくという物があるんだ。そして、その魔獣のHP、この世界では命力というらしいが、残り命力を最大命力でを割った割合を表示したものがそれだ」
『ふむ』
「横に長い棒みたいな形で表示されている。こんな感じで」
俺はHPゲージを描いて、神に見せた。50%以上なら緑や青、50〜20%なら黄、20%未満なら赤というような、結構細かい説明も載せている。
『なるほど。創造神よ、できるか?』
『うむ。簡単な作りだから、余裕でできるぞ』
5秒程度で創ってくれた。うん、自分のHPゲージを表示してみたけど、ポ○モンのHPゲージみたいでいいね。
ちょっと視界に入って邪魔だけど、ON/OFFができるから良いね。
『他には要望はないか?』
「ああ。2つだけお願いする。今来てる異世界から持ってきた防具を、破壊不能にしてくれないか?結構大切なものだから、戦闘中に燃え尽きたりしたら結構悲しい。あと、暁闇剣の魔力貯蓄スキルの容量を上げてほしい」
『ああ。それくらいなら良いぞ。職人神よ、頼んだぞ』
今着てる異世界の服を職人神に渡した。そのせいで下着姿になったので、少し肌寒い。
渡すと同時に、服を鑑定した。強化前の性能は見てなかったから、ちょうどいい機会だ。
《異界の黒色オーバーコート》
防御力:800
耐久値:10000
スキル: 防汚 防寒 アイテムポケット (∞) 高速自己修復
《異界の紺色半袖》
防御力:300
耐久値:5000
スキル:消臭 浄化 快眠 高速自己修復
《異界の紺色長ズボン》
防御力:500
耐久値:5000
スキル:防暑 高速自己修復
今更見てみると、スキルは素晴らしいが、耐久値と防御力低いな。
金色の輝きが収まった。強化が終わったようだ。
ズボンとオーバーコートに少し金属の装飾が足されている。その素材は、俺の新武器に使われている金属と同じだ。
――《鑑定》!
《なし(オーバーコート)》
防御力:10000
耐久値:∞
スキル:全障壁Ⅹ 防汚 防寒 アイテムポケット (∞) 破壊不能 全装備超高速修復
《なし|(半袖)》
防御力:4000
耐久値:∞
スキル:障壁強化(大)日焼け防止 消臭 浄化 快眠 破壊不能
《なし(ズボン)》
防御力:6000
耐久値:∞
スキル:防暑 肌美白化 疲労軽減Ⅹ 不快軽減Ⅹ 破壊不能
《暁闇剣・マジックテイカー》
ウェポン:ディバイン・ウェポン
攻撃力:50000
耐久値:∞
装備効果: 感覚強化 魔力効率アップ(超)
スキル:魔力剥奪X 剥奪超強化 魔力タンク ≪容量0/10000000000000≫ 魔力給与X 痛覚無効付与 グロースLv.500(MAX) 破壊不能 変幻自在
すごい。防御力がバク上がりしているが、それよりも嬉しいものを見つけた。
「日焼け防止に、肌美白化!?」
『別にわざと付けたわけじゃない。そんなに嬉しいか』
「バカ高くてバカうまい寿司食えたときぐらい嬉しい!」
前世でも白い肌に憧れたけどめんどくさくて、日焼け止めとか塗らなくて日焼けしてしまったことがたくさんあった。
でも、このおかげでそんな気を使わずとも、叶うじゃないか〜。でれれ〜
……正気に戻ろう。
『儂が一番喜ぶと思ったのは、魔力タンクについてだと思ったのだが』
「すごい桁が増えてる。えっと……。10兆も!?」
『だろう?素晴らしい拡張だぞ。だが、魔力が満タンになると剣が重くなるから、気をつけろよ』
「ああ、ありがたい……!」
『お前、聞いてるのか』
「すみません。あまりの至福さに気が保たないです〜」
『はぁ……。まぁ、よい』
5分ほどでしょう気に戻ったと同時に、パーッと俺の体が金色の光に包まれた。
魔法心と武神がこっちに走ってきた。魔法神が俺に抱きついてきた。フニィという感触が伝わりながら顔がオッパイに埋まった。普通に苦しい。
『頑張るのよ!』
『いっぱい戦って強くなれ!』
「あい。ぢょ、まぼうじんあん、ぐるじい……(ちょ、魔法神さん、苦しい)」
『あら、ごめんなさいね』
魔法神が離れると、神がみんな手を振っているところが見えた。
『頑張れよ!またな!』
「はい」
俺の体が光の粒となってふわっと広がった。
そして、神々しく、異質な威厳を持つ奴の姿が目に入った。
そして、HPゲージもとい命力ゲージを見てみる。数値は表示されていないが。その横棒は……。
「まだ半分かよ!クソが!」
そう。緑色の横棒がちょうど真ん中を示している。それは俺に苦境への突入を告げた。
だが、激化状態になったため、あと2〜3時間ぐらいで倒せそうだ。
……そんなことはないな。命力ゲージを見るに、減っては戻り、減っては戻りを繰り返している。しかも、減少よりも回復のほうがギリギリ勝ってしまっている。
「クソがッ!」
俺は再びそう叫んだ。
本当は逃げたいが、ここで倒さないと近くにあるであろう街に被害が出てしまう。
「リライ」
「はい」
「奴の命力はまだ半分だ。最後まで戦ってくれるよな?」
「もちろんです。精一杯ご主人さまをサポートします!」
「そうか。ありがとう」
俺はリライの言葉にメンタルを回復し、自分の闘志を鼓舞した。