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第20話 プライムドラゴン・エターナルⅡ

 あれから1時間。身も心も削れるような戦闘が続いている。


 リライは魔力が尽きたのか睡魔に勝てなかったのか、30分ぐらい前に眠ってしまった。


 それだけなら良いのだが、非常に寝相が悪く、俺を抱き枕にして抱きついているため、地味にかからしい。


 まぁ、リライがそれで快眠してくれるのであれば良いのだが。


 一時間も経って、かなりのダメージを与えているはずなのだが、ドラゴンの攻撃手段に全く変化がない。


 ちょっと戦い方を変えてみるか。


 今までは集団ででかい攻撃を与えていたのだが、今からは一体一体でダメージを与えていく戦法に切り替えよう。


 魔法だとダメージが通らないかもしれないので、分身の1500体は高威力ソードスキルや俺の創作ソードスキルでダメージを与えていく。もちろん、闇黒属性を付与して再生阻害のおまけ付きだ。


 残りの500体の分身は、攻撃魔法を放つか、紅焔魔法の《フレイムバースト・ブリッツ》のような、攻撃力を上げたり身体能力を上げたりする魔法を使ってもらおう。あと分身の回復も。


 うんうん。ドラゴンが処理に困ってますね。今まではまとめて襲ってたけど、今回は4〜5体の群れが変わり代わりに襲ってますからねぇ。処理している間にもダメージを与えられてますよ!


 たまに飛んでくる超高威力な魔法は直で当たっていますよ〜!しかもソードスキルで傷つけられた場所に!



 ……ヤバイヤバイヤバイ。このまま苦しむさまを見てそんな事を考えていたら、『サイコパス』と『ドS』に片足を突っ込んでしまう。急いで思考を戦闘モードに戻した。




「うにゅ……」

「おはよ!良い目覚めかい?」

「はい……」


 リライは目を見開き、完全に覚醒した。そして、自分の体勢に気づいて、頬を紅くした。


「はっ。ごめんなさい!眠っているときにめっちゃ強く締められていませんでしたか!?」

「ああ。何もなかったよ」


 彼女は安堵して、通常の表情に戻った。


「ドラゴンはどうなったのです?」

「やっと命力の半分を切ったんじゃないかというところだ。新たな動きを見せ始めたんだ」


 戦法を変えてから、90分ぐらい経ったときだった。


 突然、巨大なドラゴンの周りを囲むようにして、真紅の障壁が現れたのだ。


 その能力は、4分の1の確率で攻撃を無効化し、10分の一で障壁に受けた攻撃をそのまま相手に跳ね返すということがわかった。


 その影響で分身の軍隊が62回壊滅させられかけ、1回は完全に壊滅した。


 そのせいで、俺の魔力も残り30パーぐらいになった。


 数値ではわからないので、感覚での話だけどね。


「リライ、ちょっと暁闇剣を使うから!」

「その剣はもともとご主人さまのなのです。じゆうに持ってってください!あと、その剣がはかいふのーなのであれば、今のよろいのじょうたいのどこから糸を作り出して、またそこから剣などの武器にかえればいいのです!」

「おお、その手があったか」


 俺はリライの考え通りに暁闇剣を変形していった。


 この剣は魔力が最大で1億しか貯められないから、満タンになったらすぐ俺に供給するというふうにしないと、せっかく奪った魔力がもったいない。


 俺はスキル弓技王のオーバードライブを、闇黒属性付きで放った。およそ2000本の矢が、運良く全部ドラゴンにヒットし、大量の魔力を奪う。


 だが、2000本だけでは1億を集めるのにかなりの時間がかかる。


 というわけで、久しぶりにソードスキルを創ろう!


 イメージは、彗星のような威力の魔力矢が、標的へと分裂しながら飛んでいくというものだ。


 矢の数は自在に変えられる、という設計だ。


 俺は暁闇剣を弓状に変形させ、スキルを発動する。


 弓が白く輝き、引かれた魔力でできた矢に闇黒属性を纏わせ、事前に開けておいた穴から狙撃した。気持ちのいい弦音がなった。


 一瞬で幾重にも分裂し、彗星の尾のような光を引く。


 やがて、光のように加速し、ドラゴンを貫いた。


 数本は戻ってきたが、分身たちに処理させた。


 無事に魔力を1億以上奪い、全て俺に補給した。


 ドラゴンはというと……


 全身穴だらけだった。再生も遅くなっている。


 俺はその傷へ向かって、紅焔魔法や雷撃魔法を放った。ドラゴンにとっても耐え難い激痛だったのだろうか。身を捩って苦しんでいる。


 もうそろそろ倒せそうかな?


「リライ、一気に畳み掛けるぞ!!」

「全力を出すのです!」


 俺たちは一気に、攻撃の波を浴びせた。黒き稲妻と青い焔、そして虹色の斬撃の波がドラゴンへ襲いかかる。


 奴は為す術もなく、フルボッコにされている。


 逃げようとするも、翼もボロボロで空も飛べないようだ。


 俺たちも外に出てとどめを刺そうとした、その時だった。


「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォ――!!」


 怒気に満ち、轟々とした咆哮が大地を震わす。そして俺の鼓膜も破れた。


 ヒールで鼓膜を治し、音源の方へ振り向くと、先程の傷が癒えたドラゴンが、光線と魔法を乱射して、周囲の俺の分身を消している光景が目に見えた。


 やつに何が起きたのか鑑定してみた。


 名称:プライムドラゴン・エターナル

 種族:魔獣 竜王 神竜?

 状態:激化



 ……は?


 激化:自分のステータスを少し上げたり、ソードスキルなどのクールタイムを0にしたりする。その代償として、その状態の間命力が永続的に減少していく。



 ……は?フザケンナ。



「ああ、神よ。HPゲージを表示してくれ!!」


 俺はそんなふうに、人生で初めて神頼みをしてみた。


 まぁ、そんなの届くとは思っていないだろう。そんなふうに思っていた。


 でも、視界が暗転したのだ。あの転生前のように。


 俺は、「よっしゃぁ!届いた!」と思いながら、あの白き神聖なる景色が目に飛び込んでくるのを待った。



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