第16話 リライと同じ種族のお兄さん
3時間後。太陽が沈みかけている頃、リライはSランクの魔獣を殲滅し終えた。
少し危なげないところもあったが、俺が補助魔法をかければそんなことはなくなった。
リライのレベルは、4000体を超えるSランク魔獣を一人で倒したことにより、レベルが400を超えた。Aランク魔獣よりも非常に上がりが良い。
リライは「さっきよりは手応えがあったのです」と満足げだった。まぁ、そこを境に魔獣の強さと知性が格段に上がるからな。
しかし、ここからが問題である。その実力と知性は、かの『絶対竜王』よりは下かもしれないが、今のリライと同じぐらいの実力を持っているだろう。
まぁ、そんな事を気にせずに、リライは次の波に備えて魔法の四重起動の練習をしている。
戦闘中に、二重起動を完全に使いこなし、しかも三重起動までを会得して使いこなしている。
それに比べて俺は、な~んもしていない。リライの様子を見ながら、ずっと身を休めていただけだ。
まぁ、休息も大事であるから良いだろう。
例のSSランク魔獣が姿を表した。ステータスはそのランクにふさわしいが、名前が「エンシェント・ドラゴン」だの「ハイサモナー・ドラゴンロード」だのと、なんかアレだなという感じだったので少しがっかりした。
他にも、ホブゴブリン・ジェネラルロードとかフォレストオーク・キングロードという、ゴブリンやオークなどの下位魔獣の特別な個体が進化したと思われる魔獣もいた。
なんとその感情が顔に出てたらしく、リライに「ご主人さま、どうしてそんながっかりした顔をしているのですか?あんなにも強そうなのに」と純粋なキラッキラした目で聞いてきた。
そんなふうに戦場で無駄なことを考えていたときに、一気にこちらへ襲いかかってくる!俺たちは攻撃を避けて、襲ってきた魔獣同士を衝突させて自爆させる。
それと同時に、心の中で殲滅開始のゴングを鳴らした。
「さぁ、暴れるぞ!」
「はい!」
30分後。だんだん襲いかかってくる魔獣の数が増えてきた。俺は1体あたりワンパンから5発で倒しているのだが、リライは10回以上攻撃しないと倒せていない。
やはり動きも格段に違うということもあるが、SSランク魔獣の多くが魔力障壁スキルを持っているため、ダメージが減ってしまう。
だが、収穫もある。絶命した直後に解体スキルを発動しながら剣を刺したときに、エンシェント・ドラゴンから『エンシェント・ボウ』が手に入った。
その魔獣は、強い武器や、財宝などをその身の糧にして融合させるらしく、その一部がアイテム化してドロップするという説明が鑑定情報にあった。
俺に新たに弓使いの仲間が増えたときのために取っておこう。
武器以外にも、俺とリライは魔力障壁スキルを手に入れた。常に展開していると、魔力がジリジリと減るが、魔力量が膨大にあるため、なんの支障もない
さらに、俺がまだ習得していなかった、闇黒魔法を習得できた。
その他、肉塊や素材などが取れた。
色々な虫型魔獣以外の魔獣の肉塊を鑑定してみると、どれも「非常に美味である」という表記がどれもこれも入っていた。
またそんなとんでもなくくだらない事を考えていると、リライが押されていた。
敵の攻撃がかすり、防御力ゼロの拭きを引き裂き、少し鮮血を散らさせていた。
ピンチである。
急いで補助魔法をオーバーブーストしてかけ、ヒールをかけたた。うん、押し返せているね。
そんなピンチに遭いながらも、敵の数をちょっとずつ減らしていく。
――突然!
「俺様の同族よ!とその主よ!」
俺のものでもリライのものでもないバリトンボイスが響いた。背景が変わり、時空が歪む!
少し経つと、知らないところにいた。岩色一色で周りが荒れている。
目の前には、声の主と思われる、ゴツい鎧と大剣を装備した狼耳のお兄さんがいた。
「俺様と同じ種族の魔獣を従えているとは……。なかなかの実力者であろう?しかも溢れ出てる気配がものすごいぞ!」
「はぁ……。てかここはどこなんだ?」
ムッキムキで真っ黒でスキンヘッドの狼耳のお兄さんが話しかけてきた!
「てかお前、リライと同じ種族てことは、フェンリライアンス・ファングアークなのか!?」
「おう!ちなみにここは、俺が作った異空間だ」
彼の視線がリライへ移った。
「おい!そこのリライと呼ばれし娘っ子よ!お前もなかなかの実力をもっているな!」
「はい!ご主人さまのお陰で!戦うなら私と戦うのです!」
「おう、分かった!」
「おい、リライ。あいつレベル600を超えてるぞ!勝てるんだろうな!?」
「もちろんなのです!ご主人さまがしっかり補助魔法をかけてくれたら絶対に勝てるのです。」
「う、うん」
「あと、私より先に生まれた同じ種族の人と戦ってみたかったのです!」
「そ、そうなのか」
急な展開すぎてまだ理解が追いついていない。そもそも異空間ってなんだ?あと殺しまでしないよな。人間の見た目をしているやつどうしの殺し合いなんて見たかぁないぞ!
「なぁ、ルールは?負けたらどうなるのか?」
「ルールはどちらかが戦闘不能になるまで!ここは死にはしないようにどんな攻撃を受けても命力が1残るように結界を張っているから、心配するでない!あと、負けても勝っても特にない。戦いを楽しむためにやるのだ!」
「ふぅ、なら良かった」
俺が安堵していると、
「お前、そんな幼気な娘っ子が大事なのか。まさか、お前ロリコn――」
「ちゃうわ。仲間がすごく大切なだけだ!」
ということを聞かれた。いらんことを聞くニイチャンは嫌われるぞ!
俺はリライに補助魔法をたくさんかけた。あと、生みだしたオリハルコンでできた片手間で作った軽鎧を着させる
「回復は俺がやるから、両者安心するように」
「はい!」
「おう」
「では――始めッ!」
8/22 以下の文を追加しました。
さらに、俺がまだ習得していなかった、闇黒魔法を習得できた。