第15話 再び魔獣との戦いⅢ
俺はリライとハイペースで敵を倒している。
彼女の魔法やソードスキルなどの威力が大幅に上がっている。だが、まだまだその制御ができていないのだ。
魔法では敵を消し炭にしたり、潰したりするし、ソードスキルでは肉片を撒き散らして解体不可能の状態にしてやがるのだ。
「もうちょっと力を弱めろー」とか、「魔力を自分の思っているよりもめっちゃ少なめにー」とか色々指示を出しているのだが、なーんも変わらない。
もう、半ば諦め気味である。
だが、ペースが本当に上がっている。ステータスが上がっているようで、ワンパンなのだ。
Aランクの魔獣も半分を切った。レベルもリライは150に、俺は700近くまで来た。だが、どの敵もワンパンなので、どのくらい強くなったかわからないな。
「リライ、Aランク魔獣だとつまらないだろ?」
「はい。一撃なので、ほんとにつまらないです。魔力をたーくさん込めて範囲攻撃を放っても、せめて50〜60ぐらいしかできないので」
「分かった。じゃぁ、一気に終わらせるぞ!」
「やったぁ!」
俺は無限分身スキルで100体ほどの分身を生みだし、並列思考スキルを駆使してレベルⅩ雷撃魔法《サンダーレイ・ノヴァ・アポカリプス》を、俺の分身に多重起動させる。もちろん、魔力でオーバーブーストさせている。
天空に太陽光をも超す光が発生し、凄まじい轟音と衝撃波を放ちながら、5000本の稲妻が地面を抉る――
同時に、とてつもない風と光が俺たちを襲う!あまりの風にリライが吹き飛ばされそうになっている。
「きゃあっ!」
「大丈夫か!俺の手を掴め!」
急いでリライの手を握り、巨大な土壁を生みだして、風を遮るが、衝撃波のせいで壁がすぐ壊れそうだ!
……やりすぎた。
5分ほどでやっと稲妻の殺戮は終わり、俺は分身を消した。
土壁を消し、周囲を確認すると、いつものように何もなくなっていた。
数千体のSランク魔獣も巻き込まれたようで、気配察知の反応が消えていた。周囲には、爆風と衝撃波に巻き込まれたSランク魔獣が気絶している。
地面は赤く溶け、超巨大なクレーターができていた。
俺は急いで撃流魔法で大量の水を生みだして、地面を冷まし、穿たれたクレーターを土魔法で埋めた。
「……これはさすがにやりすぎなのです」
「ごめんて。でも、破壊のあとにはちゃんとさっきみたいに整地しているから大丈夫だよ」
「さすがに、いまのをできるようになれとは言わないですよね?」
「あぁ。流石に俺でも負荷がかかるから、誰にも真似はできないと思うよ」
「そうなのです!他にこんなあらわざができる人がいたらこの世界はもうなくなってそうなのです」
「そこまでじゃないと思うぞ!」
《Information:スカイ・インフィニティのレベルが707に上がりました》
無事にレベルが700を超えた。
日が南中の位置にある。
「次の波まで、2時間ほど時間があるから、飯にしよう」
「はんばーぐ?」
「いや、からあげだ」
「カラアゲ?それはどんな食べ物なのです?」
「まぁ、まっとれ」
前に作った大鍋に、生みだした油をいれる。紅焔魔法で熱し、下準備をする。
前に倒した鳥型魔獣の肉塊を、いい感じにカットして、生みだした小麦粉をまとわせポイポイと油に入れる。
パチパチといい音がなる。
「いい匂いなのです」
「だろう?俺の得意料理だ」
無事に千個ほどの唐揚げを揚げ終えた。
「できたぞー」
「やったぁ……ていうかなんで皿がミスリルなのですか?」
「あぁ、それはねぇ、メタルジェネレートでめっちゃ生みだしたから、仕方なくね」
俺はリライにフォークを渡す。俺はもちろん箸だ。
「「いただきます」」
俺たちは、カリカリと音を立てながら唐揚げにがっつく。非常にジューシーだ。
「どうだ?」
「おいしいのです」
二人で200個ほど消費した。一息つくと、リライが話しかけてきた。
「ご主人さま、次の波は全部私でやっていいですか?」
「いいけど、お前のみが危なかったら俺も入るからな」
「やったあ!」
気絶していたSランク魔獣が目覚め、先程作った唐揚げの匂いにつられて猛烈な勢いでこっちへ向かってくる。それよりも後方にいたSランク魔獣とともに。
あと5キロ。2キロ。1キロ。100メートル。
「――リライ、いけぇぇ!」
「はい!」
煌虹爪を手にまとわせ、敵をワンパンしていく。
「……またワンパンなのです。つまんないです」
「一気に殲滅する方法を考えてみなさい!魔法の多重起動ならリライでもできるはずだ!」
「むむむむむ……」
うん、良い集中ぶりだね。コツを掴みかけている。
――1時間後。
「おお、できたな!」
「やったー!」
まだまだ威力は低いけど、着実に成長している。レベルも上がってステータスも非常に上がっているだろう。
元々魔獣だし当然か?魔獣のステータスは人間より高い傾向にあるし。
「いっぱい使って、俺みたいに使えるようになれよ!」
「できるだけ頑張るです」