第14話 再び魔獣との戦いⅡ
フェルルとファルルは、ゴブリンを全部殲滅し終えた。俺は彼等の勇姿を傍観していた。いやぁ、非常に一方的でしたなぁ。10分もかからなかったよ。
まぁ、これからがやばいけど。あれは息抜きである。
第三陣が来るまでには30分ほどあるので、フェルルとファルルのために成長効率上昇の装備効果のある首飾りを作ってやろう。
流石にプリムスティルを30分で加工できないので、《クロノスペロシティ》で2倍時間加速させる。
絶対竜王の革で作った首輪につけた、プリムスティル製の六芒星形の枠に、宝石のようにカットした絶対竜王の魔石をはめれば完成である。
この時点で装備効果に運上昇(超)、スキルに魔法反射Ⅴがついている。
後はエンチャントⅩで効果をつければ終わりだ。無事に両方に成長効率上昇(超)がついた。
それをフェルルとファルルにつけた。うん、似合っているね。しかも揃いだし。「「アオーン!」」て言って喜んでいたし。
ちょうど1時間で作業を終え、俺たちは戦闘準備に入った。
BランクやAランクの魔獣を面白いように倒していき、面白いようにレベルが上ってもう30レベルを超えた。
俺も50体ほど倒してからやっと1レベル上がった。たったの1だが。でも、スキルレベルが上がっている。
魔法だけを連発して倒していているので、紅焔魔法と竜巻魔法がレベルマックスに、撃流魔法と地磁魔法はレベル8まで上がった。
そして、この世界では敵を倒すと、その敵が持っていたスキルをレベルⅠで超低確率で入手できるみたいだ。おかげで、スキル氷乱魔法Ⅰと分身Ⅰが手に入った。
で、分身スキルが非常に便利である。
その名の通り自分の半分のステータスを持った分身を生み出すという代物だ。スキルはそのまま引き継ぎ、命力がゼロになるか、自分がそれを消すまで残るというものである。
そのため、やろうと思えば分身に分身を作らせ、またその分身たちに分身を作らせるというふうにやれば、一瞬で数の暴力で敵を圧倒することができる。
――と考えているのだが、このスキルはそれができないんだよなぁ。まずレベルⅩにならないと……。
たくさん使ってレベルを上げていこう。
暴れまわること一時間、ようやく敵を1万体減らし、Aランクの魔獣がようやく姿を表した。
現在は、俺の分身スキルが特殊進化して、《無限分身》というユニークスキルになった。
おかげで、俺の考えたことをできるようになっている。しかも、その分身は俺の元のステータスと全く一緒になるというのだ。実に素晴らしい。
フェルルに関しては、爪撃豪術が爪撃術王に進化し、爪撃豪技もレベルⅦになった。2つの魔法も、レベルⅤになっている。その他、各種スキルも上がっている。
ファルルは、風、水、土の魔法が上位に進化し、そして基本属性の上位魔法はすべてレベルⅥになった。その他、各種スキルもフェルルのように上がっている。
更に、俺は連携スキルを取得していた。もうすでにMAXになっていた。彼等も元々持っていたが、MAXになっていた。
レベルは、彼等が47に。俺がついに600になった。自分と彼等のステータス値を確認してみたが、全部『神が測定することをやめました』という表示になった。
もう深く考えないことにしよう。
フェルルとファルルがAランクの魔獣を同時に絶命したので、すかさず俺は解体しに行く。
解体スキルは今の剣状態でも発動したため、わざわざナイフ形にする必要はないらしい。
Bランク以下の魔獣は解体していない。そこまで強くなさそうだからな。でも、食材になりそうなものは解体している。魔獣のお肉はすごーく美味しいことを俺たちは知っている。
戦場へと意識を戻すと、フェルルとファルルが同時に魔獣を絶命させていた。
《Information:フェルルとファルルのレベルが50に上がりました》
《Information:条件を満たしたため、フェルルとファルルのスキル《融合・コード428が解禁されました》
「おお、お前ら、やったな!」
「ワン!」
「ワフ!」
「早速使ってみてくれないか?」
「「ワン……!」」
二匹の体が光の粒となって融け、集合していく。
光が収まった。
――そこには狼耳の、6歳ぐらいの幼女が裸で立っていた。その幼女の身長と同じくらいの約110センチぐらいの、もふもふ尻尾を体に巻いている。
銀髪とアイスブルーの目で持っていて、端正さと愛くるしさが程よく合わさって顔立ち、そして見た目の年齢にしてはかなりスタイルもいい。
「ごしゅじんさまぁ〜〜!!」
「おわぁっ!?」
幼女が、華奢で真っ白な体を晒しながら飛びかかってきた。
待った待った、何が起きているんだ!?
「融合したらバカでかい狼が出てくると思ったのだけど、なんでだ?」
「わたしたちフェンリライアンス・ファングアークは、ゆーごーすると見た目がが人間の獣人ぽくなるのです。わたしはまだちいさいのでこのすがたですが、おとなになったら、もうちょっとひとのおとなの女のひとっぽくなるとおもうのです」
「そうかいそうかい。その様子だとフェルルやファルルの人格?とは違うみたいだが……」
「はい。あの子達はいまわたしの中のどこかで休んでいるとおもうのです。ちなみに記憶は共有されていますので、助けてもらってからの日々の記憶がありますのです」
ちょっと鑑定でステータスやスキルを確認すると、二匹のスキルがすべて入っていた。ステータスは『測定不能』と表示されている。
俺は適当に服を生みだし、彼女に渡す。
「その格好だと非常に良くないからこの服を着てくれ」
「はい」
「なぁ、なんて呼べばいいか?」
「なんでも良いのです」
「じゃぁ、『リライ』でいいか?」
「はい!」
「じゃぁ、試しに地面をぶん殴ってみてくれ」
「はい!」
何もつけていなかった小さくて真っ白い手に、煌虹爪が光り輝きながら現れる。
「はぁぁぁぁ!」という咆哮とともに、振り上げられた細い腕が地面を殴る。隕石が落ちたかのような音とともに大量の土などが飛散する!
しかも、その余波で数体の魔獣が気絶している。
俺は風魔法で土煙などを吹き飛ばし、視界を開けさせる。
「すごいな。融合前より格段に強さも上がっているし、気配も凄まじくなったな!」
「ありがとうです」
俺はリライの強さに関心し、再び戦闘に入った。