第10話 鍛冶修行Ⅱ
最大魔力量89億って……当時の俺何を考えとるのかww(R7,11/11)
――時間加速領域内で二十日程が経ち、俺は相変わらず鍛冶練習に励んでいた。
合計500本程打ち上げていた。鍛冶技術も、力加減や砥ぎ方とかが感覚でわかるレベルにまで上達し、350本目あたりから安定して攻撃力が800を超える剣を鍛え上げられるようになった。攻撃力が1000を超えるミスリル剣を10連続で作れるようになったら、例の絶対竜王の素材を使って武器を鍛えてみるか。
あと、これまでめっちゃ純ミスリルを生みだしてきたのに、魔力が全く尽きていない。なんと最大魔力量が89億もあるのだ。尽きるとすれば、創作魔法やソードスキルを全力で、かつ複数放ったときだろう。
熱したミスリルをアダマンタイト製のハンマーでリズムよく叩く。カンカンと軽やかな音が響くたびに、ただの金属塊が剣の形へと変わっていった。目にも止まらぬ速さで腕を振り続け、たったの30分ほどで鋭利な剣が出来上がった。まだ鍛造が終わった段階なのに、並の物より鋭利に仕上がったな。
続いて鍛造した剣を研いでいく。研ぐ技術も成長したのか、いつの間にか砂利を踏んだような荒々しい音から、シャリンシャリンと澄んだ音に変わっていた。
そして研ぎ上げたことでより輝きを増した剣に、鍔と一体化した柄をつけて完成、果たして一瞬薄く剣身が光る。しかし今までよりも少し強いように思えた。
――《鑑定》!
――――――
準魔剣級ミスリルロングソード
ウェポン:ワンハンド・ロングソード
攻撃力:1021
耐久値:3500
装備効果:腕力上昇(小)
スキル:なし
――――――
「準魔剣級? 知らないやつだ」
これまでは、「高級な」というランク(?)が最高だったので、より一層上達したってことだろう。装備効果がつくのも初めてだし。おそらく装備効果がつくと、準魔剣級、もしくはそれ以上のランクになるんだろうな。
「よーっし、あと9本これより強いミスリル剣を鍛えて、鍛冶修行終わらせてやる!」
それが終わったら特殊総合細工の練習でもしようかな。絶対竜王の魔石を使って何かを作りたいなぁ。
――時間加速領域内で1日後。
「これで……最後の一本!!」
カチャッと柄に剣身を嵌め込むと、剣が輝き、放たれた光が完成したことを示す。
無事に9本を打ち終えることができた。そして未だ仄かに熱を帯びているできたての一本は――《鑑定》!
――――――
魔剣級ミスリルロングソード
ウェポン:ワンハンド・ロングソード
攻撃力:1722
耐久値:5500
装備効果:腕力上昇(中)敏捷力上昇(小)
スキル:重量減少Ⅲ
――――――
会心の出来だった。装備効果とスキルがどっちもつくなんて初めてであった。
(これで修行は完了ということにするかぁ……)
俺は加速魔法を解いた。
よし、神経使って疲れたし、ちょっと息抜きしよ――
《Information:スカイ・インフィニティが称号《職人神の寵愛》を獲得しました》
職人神の寵愛:職人心に認められた者に与えられる称号。
効果:職人系スキルボーナス(超)
取得条件:不明
また神から寵愛をうけてしまった。まぁ効果が途轍もないからいいんだけど、スキル欄がもうカオスすぎるではないか。
職人系スキルボーナスというのは、作った武器や、魔導具に特殊効果がつきやすくなるというものである。さっきのミスリル剣が職人神に認められるほどのものだったということなのだろう、と勝手に解釈し、俺は息抜きに洞窟を出ていった。
感覚上、約20日ぶりの外である。あの洞窟の中には一応照明をつけてはいたが、やはり……。
「目ッ、目がァァァァァ――」
……と、1分間悶え苦しんだ。
――はい気を取り直して頑張っていきましょう!
今日の目標は特にない。しかし細工スキルで何かを作りたいので、とりあえず練習用の革素材を取りたいとは思っている。
獲物を求めて空を駆け回り眼下の森を注視する。
俺の装備のスキル《空中疾駆Ⅹ》によって、空を自由に駆けることができる。うん、風が気持ちいいね、なんか少し強い気がするけど。
「おっ、良さそうなの発見!!」
気配察知で捉えた標的に追いつこうと、俺は更に加速した。顔の形を崩さんとばかりに襲ってくる風圧を、竜巻魔法を使って相殺しどんどん加速していった。
標的の黒い影は森の中ではなく空を飛んでいる、ならばあっという間に追いつけるだろう!
そしていつの間にか標的を抜かしていた。後方で咆哮が聞こえる。黒い影の正体は、雷の迸る立派な翼を持つAランク魔獣、ライトニング・ドラゴンだった。
「俺が鍛えた剣はどれくらい強いのだろうか……いい試しどきだ」
敵は雷撃魔法を放った。対して俺はアイテムポケット内にある剣の柄を掴み居合斬りをブチかました。虚空から突如現れた剣の刀身が霞み、雷の収束を霧散させた。
多少武器の性能が劣っていても、俺のステータスが高いから、蒼穹剣とかと同じように魔法を剣で相殺できるようだ。だが剣を見ると耐久値が大きく減っている上、稲妻模様の如きヒビが入り今にも壊れそうな状態だった。
まぁ大丈夫だろうと、武器の損耗を気にせず、全力でドラゴンへと突進し、腰を捻って一回転して水平に剣を薙ぐ。突進と回転の勢いが乗ったミスリル剣はさながら豆腐を切るように、ドラゴンの頸を断った。
そしてあまりの速さにドラゴンは何をされたかわからないまま、首と胴体が分かたれ息絶えた。
しかし壊れかけていた剣も、当然無事ではなく衝撃で折れてしまった。耐久値はギリ残っているから特殊鍛冶スキルレベルⅡで習得できる《リペア》を使えば修復は可能だ。
早速剣に魔力を流し《リペア》を発動すると、光が剣の形に集まった次の瞬間には、もう剣が元通りになっている。いやめっちゃ便利じゃないか、とはいえ使えば使うほど効率が悪くなるので多用はできないが。
地上に降り立って、ライトニング・ドラゴンを解体する。レアドロップアイテムはなかったか、残念。
素材をアイテムポケットにしまった俺は、上空を駆け回って息抜きを続けた。
一時間ほど駆け回っただろうか。もう日は沈み、夜空にはたくさんの星と、衛星と思われる4つ光源が浮かんでいた。
そろそろ寝床に戻ろうと思ったが、どこからか戦闘音が聞こえた。
(東の方角か、そして近いな)
音源に向かうと、30体ほどのBランクのウルフ系魔獣の群れが幼い魔獣を襲っているという、明らかに弱い者いじめの光景が目に写った。襲われている魔獣は、2体。様々な魔法や鋭い鉤爪で攻撃して何体か倒せているが、やはり数の多さで劣勢である……。
(――いやまて。なんで魔獣の幼生がウルフを倒せているんだ?)
些細な引っ掛かりが確固たる疑問となって思考を占拠する。
相手はBランク魔獣でしかも数が多い。連携を取ってたくさんの攻撃をしてくる相手に対し、紙一重で回避することができるのは、Aランクの魔獣でもできるかどうか……。
「絶対ただの魔獣じゃないよな……。鑑定してみるか」
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