一人芝居
始まりを拒絶する目蓋を抉じ開けるのは、軽やかなアラーム。
鐘を鳴らす思惑は、罰を逃れる浅はかな計画。
真昼と見紛う堂々とした朝日が伸ばす未来への焦点。
真昼と見紛う飄々とした夕日が伸ばす過去への争点。
後悔と不安の波間に今日はある。
悲劇の始まり、喜劇の終わり。
俗に言う、鮮やかなコントラスト。
綺麗事並べても、一人芝居はつまらない。
望んでいるのに、空席ばかりが目に余る。
こうなることは、分かっていた気がする。
独りよがりな未来の予知に、何の価値があるのだろう。
幼さが武器になるのはいつまでだろう。
知ったかぶりな過去の弁護に、何の価値があるのだろう。
老いが武器になるのはいつからだろう。
眩しすぎるスポットライトは、脆弱な擁護の言葉を焼失させる。
火傷を負った指のように、赤く腫れた心と目蓋が蠕動する。
やっぱり、理想論ばかり並べても、一人芝居はつまらない。
俗に言う、残酷なコンテスト。
フェイクニュースと変わらない、一人芝居には価値はない。
目は開けたまま心は死んで、在るべき姿は永遠の謎解き。
存在証明を探しているなら、同じ時間しか生きられない。
太陽の日射しは眩しすぎる。
逃亡を企てるクルマの中で、今日の一人芝居の台詞は発火し消える。