第7話 経済力を上げるには
さて、父上からお許しが出たから始めますかね。
「さくら。」
「はい、ご主人様。」
「早速始めるか。」
「はい。分かりました。」
俺とさくらは部屋に入り、本を取り出した。
「さて、どれがいいかな。」
俺はカタログをパラパラとめくり、使えそうな遺産を探してみた。
「ご主人様、これなどいいかと。」
「これか。ならこれと組み合わせて・・・どうだ。」
「さすがです。ご主人様。」
「よしでは、始めるぞ。」
私は本のあるページを開き、呼び出す遺産の名を告げた。
『万能地図』『技術指導者:金細工師』
光と共に、そこには地図と一人の男が現れた。
地図が『万能地図』だ。元々領内の正確な地図を作った初代はあれこれ機能を追加した結果、出来上がった。この地図には領内の埋設資源から、昆虫の分布、等、有用なものから無用なものまで混じったヘンな地図である。
一人の男は『技術指導者:金細工師』だ。彼は技術指導者シリーズに属する、金細工師だ。これも戦闘将軍と同じく、世間体のために作られた。
「よし、『技術指導者:金細工師』、お前は領内では『スミス』と名乗れ。」
「はい、ご主人さま。」
「よし、お前の設定は『流れの細工師だ。父上が目を付け、お前をお抱えとして雇った。お前の技術を継承させるため弟子をとることにした。』という設定だ。」
「はい。分かりました。ご主人様。」
「何か実際に作品を作って、献上したほうがいいな。さくら。」
「はい、ご主人様。」
「金を創れ。」
「はい、ご主人様。」
さくらが両手で輪を作り、光出した。
さくらが魔法を使っている。
『万能メイド:さくらちゃん』は魔法も使える。その魔法で金を作っている。これは創造魔法という、この世で最高位の能力だ。なにせ、魔力で何でもできるからな。食べ物や金属でも作れる。そしてさくらの魔力は無限であるから、本当に何でも創れる。これこそほんとのチートだ。
「できました。ご主人様。」
さくらの手の中におよそ1㎏くらいのインゴットができている。
「うん。ご苦労。ではスミス。これでなんか作れ。」
「はい。かしこまりました。」
スミスは私の目の前で、あっという間に金のネックレスを仕立て上げた。
実にいい仕事している品だ。
「よし、これを父上に献上するぞ。では設定どおりに動け。」
「はい。かしこまりました。」
「さくら、これで経済は向上できそうか。」
「はい。まず鉱脈を見つけ、その周辺に鉱山町を作り、金細工を行います。その町を中心に道路を敷き商人を招く。これで、新規開拓、加工、運送、商人の誘致他にもいろいろありますが、経済は確実に向上しますね。」
よし、これで一つ目は完了だ。後は食料自給率の向上だな。