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第6話 難民対策

昨日は何故か我がライスフィールド領にのみ雨が降り、領民が喜んでいた。

今日も領内の統治を裏から支えるために、領内の状況確認だ。

「さくら。」

「はい。ご主人様。」

「さくら。昨日、賊と雨は解消した。現在の領内の状況はどうだ。」

「はい。現在の領内では収穫量が改善の兆しを見せました。昨日の雨で水不足が解消されました。また、賦役で増設している、ため池のおかげで作物の収穫までは水が確保できております。賊の方は現在は確認されていません。ただ、やはりライスフィールド領西側は警備を強化したほうがいいかと思います。」

「ブランバルド、か」

「はい。現在の税率は95%に差し迫っています。」

「95%!領民が可哀想だな。」

現在のライスフィールド領の税率は50%、もちろん、毎年の収穫量を見て、決めており、不作の年には税率を下げることをしている。ちなみに、王都は60%、イシュタール公爵領は55%となっている。だから、ライスフィールド領の税率は安い。本当ならもう少し下げてもいいんだが、それだと近隣から苦情が来る。この匙加減が難しい。

「ブランバルド領からまた賊が来るだろうな。賊どころか難民が来そうだな。」

「はい。近いうちに来ますね。」

「確定か?」

「確定です。」

頭が痛い。この問題は父上に丸投げだな。

「そうなると当面は経済力の向上と食料自給率の向上だな。」

「軍事力の強化もありますが?」

「それはやり過ぎなくらい、あるからいいだろう。」

「あの兵器を使うのですか♪」

「それじゃなく、兵隊。」

「ああ、そうですね。殲滅ではなく制圧ですからね。」

兵器より、兵隊使おうよ。この子の頭は色々ヤバそうだな。


「父上、タックです。よろしいでしょうか。」

「タックか。入りなさい。」

「失礼いたします。」

「今日はどうした。」

「昨日の報告と今後の問題についてです。」

私がそう言うと、父上は露骨に顔を歪めた。

「・・・今後、か」

「・・・先に昨日の報告からしますね。」

「ああ、頼む。」

「では、収穫量が改善の兆しを見せました。昨日の雨で水不足が解消されました。また、賦役で増設している、ため池のおかげで作物の収穫までは水が確保できております。」

「そうか、それは良かった。」

父上は安堵の表情を見せていた。だがこれから言うことを考えると、気が重い。しかし、言わねば。

「今後の問題ですが・・・難民が来ます。」

「難民だと!」

「現在のブランバルド領の税率ですが、95%にまで上がっています。」

「95%!なんだその税率は!」

父上が怒ってる。そりゃ同じ統治者として、そんな所業は認められないだろうな。

「もし難民が来たときのために経済力と食料自給率を向上させる必要があります。」

「確かにそうだな。だが簡単に上がるものでもないだろう。」

父上の意見はもっともだ。だが初代の遺産はこういうときにも使える。

「経済力と食料自給率を向上させる場合。今までにないものを作ることです。そのための物を用意してあります。」

「そうか。では任せる。好きにしなさい。」

「はい。分かりました。父上。」

私たち親子は悪い笑顔を浮かべている。ニッと。


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