表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/18

第5話 天候の支配

「父上、タックです。よろしいでしょうか。」

「入りなさい。」

「失礼いたします。」

「タック、報告か?」

「はい。賊は無事、賦役場に送りました。これで彼らは賊にはなりません。」

「そうか。ご苦労。賊が来た方角は?」

「西です。」

「西ということはブランバルド子爵領か。」

「はい。その通りです。」


ブランバルド子爵領はライスフィールド領の西側に隣接している。度々、賊が発生しては、こちらの領土まで影響を及ぼす。賊が発生しないように、税の引き下げをすればいいのに、王宮に賄賂を贈るために、領民に重税を課している、迷惑な人である。


こちらが伯爵であっちが子爵だ。強く言ってやろうと思うが、問題は後ろにいる存在だ。イシュタール公爵だ。ホウジョウ王国の三つの公爵家の一つ、西を治めるイシュタール公爵家はライスフィールド伯爵家とは友好的ではないが険悪でもない。あまり揉めると厄介になる。触らぬ神に祟りなしだ。


「当面放置でいくしかないか。」

「そうですね。放置しましょう。賊が我が領内にはいって、誰かを殺したわけでもないですし、商人には補填しておきましょう。」

「それでいこう。」

「後、父上」

「なんだ。」

「今夜、雨が降ります。」

「ほう。そうか。」

父上がニヤリと悪い顔をした。

「我が領内にだけ、局所的に、パラパラとした雨が明日の朝まで降ります。」

「そうか。では今日は外には出れないな。」

俺と父上は互いにニヤリと笑った。



私は遺産の部屋に行き、

「さくら。」

「はい、ご主人様」

「さくら、天気を変える。」

「はい。分かりました。」

私は本を取り出し、あるページを開き、そのページの内容を読んだ。

『天気確定機』


光と共に、ボトルシップのような模型が現れた。

ライスフィールド領を中心にホウジョウ王国全体が精巧に作られている。

『天気確定機』は初代がホウジョウ王国全体が大飢饉だった時に、雨を降らすのに作ったそうだ。でも以後はスキーがしたいから雪を降らせたり、サーフィンがしたいから、夏にしたりとやりたい放題していたそうだ。自由人か。


私は模型の横にあるつまみを回し、ライスフィールド領のみを範囲選択し、模型についている、じょうろに水を入れ、振りまいた。

これでよし。

さて、外の様子はどうかな。


side ライスフィールド領内村人

「明日も雨が降らないと、作物がダメになってしまう。」

「でも、父さん、そんなこと言っても雨は降らないよ。何とか水が使えるようにならないと。」

「だが、それのほうが難しいぞ。川の水が干上がったんだ。領主様も賦役でため池を作ってくれているが、雨自体降らなきゃ、それも使えない。」

「・・・折角の作物がダメになってしまうのは悲しいね。・・・父さん!」

「なんだ?」

「雨の匂いがする。」

「あん、確かに!」


俺と息子が外に出るとそこには、雨が降っていた。

「父さん!雨だよ!雨が降ってるよ!」

「ああ、ああ、・・・神よ、感謝します。」

俺はこの世に神はいる、と思い、感謝を込めて祈った。


side out


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ