第3話 秘密の約束
「タック、一つ言っておくことがある。」
「なんですか。父上。」
「タックがここで聞いたこと、見たことは秘密にしてほしい。」
「どういうことでしょうか?」
「代々伯爵家の秘密にしてきた、この部屋は例え、国王陛下にも教えてはならない、といわれていた。」
「なぜですか?」
「とても強いからだ。強すぎて、ライスフィールド家が狙われるかもしれない、と言われてきた。」
「そうなんですか?」
確かにそうだ。ここの部屋にあるものが本当に、ラベルに書かれているような能力を持っているなら、国を滅ぼすことができるだろう。そりゃ、言えないよな。
「だから、タック、父との約束だ。決してこの秘密を誰にも言ってはならない。母に対しても、だ。約束できるか?」
「はい。父上。」
「ありがとう。其方が賢い子でよかった。」
父上が私の頭を撫でながら、呟いた。
私は父上と部屋から出て、
「もう、どこに行っていたの。タック。」
「メイ、私が少し話をしていた。タックを叱らないでやってくれ。」
「あなた、そうね。タック、お父様に遊んでもらっていたの?」
「はい。父上がいろんな話をしてくれました。」
「そう、よかったわね。」
私は父上を見て、ニッと笑った。
父上もニッと笑った。
親子だと思った。
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~10年後~
私は父上との約束を守って、10年の時が経った。
今の私も15歳になった。
私には毎日やることがある。あの部屋に行くことだ。
私は部屋に着くと、本を出現させた。
あの本は私の意志で出したり、消したりできる。
本のページを開くと、カタログがある。
そのカタログはこの部屋にある、遺品が記されている。
私はそのカタログから、あるページを開き、そのページの内容を読んだ。
『万能メイド:さくらちゃん』
私がそう言うと、部屋の一角が光、私の前に人型の光が現れた。
「はい、お呼びですか、ご主人様」
私の前にメイドが現れた。
このメイドは初代様が作った万能メイドである。
このメイドは正に万能である。
料理、洗濯、掃除、戦闘、介護、暗殺、夜伽、破壊・・・何でもできるのである。
「さくら、今の領地の状況はどうだ。」
「はい、ご主人様。現在、収穫量が少し落ちています。ここ最近、雨が少ないため水不足のようです。治安に関しては悪いですね。どうやら、収穫量が落ちて、食うに困って、盗賊になったものがいるそうです。その盗賊に交易を邪魔されています。」
「では解決方法は雨を降らせること、盗賊を排除することだな。」
「その通りです。盗賊の排除はどうしますか。消しますか、使いますか。」
「使う。父上には私から話をしておく。」
「はい、では準備を進めます。」
私はさくらとの話の後、父上の部屋に向かった。
「父上、タックです。よろしいでしょうか。」
「うむ、入れ。」
「失礼いたします。」
「どうした。タック。」
「父上。領内に盗賊が入っているようです。」
「なんと!ではタックに任せる。後は何かないか。」
「近々、雨が降りそうです。」
「そうか。それは朗報だ。では全て任せる。」
「はい。お任せください。父上。」
私は父上に報告した。
父上は私が初代の遺品を使うことを知っており、領地の発展のために使っている。
また、当面は父上が統治を行い、私が影で支えるようにしている。
さて、盗賊の使い方、どうしようかな。




