第11話 パーティに出席します
パーティ当日、パーティが行われる、王城に向かっている。さすがホウジョウ王国の王が居られる城だ。西洋のお城というイメージ通りの大きな城だった。
私たちは馬車に乗っている。馬車には両親と私とメイドのさくらが乗っている。
連日のさくらの教育の結果、私は最強のモテスキルを伝授された。
「母上、今日が来ることを私は待ち望んでいました!今日こそ私の運命の日!、運命の人に出会える、正に運命の日!」
私は異様なテンションだ。だが母上は、
「タック。ああ、なんということでしょう。これほどのやる気に満ち溢れたタックを見れるなんて。私はこの姿が見れただけで、今日を迎えた甲斐がありました。」
「母上、泣かないでください。これからです。パーティで私の本気を披露いたしましょう。」
「ああ。タック。これ以上、母を泣かさないでください。」
「・・・」
私の言葉で母上は泣き、父上は表情一つ変えない。
きっと、私の成長ぶりに感極まっているんだ。
王城のフロアに多数の貴族たちが集まっている。親と子供のセットで。
私も両親と共に挨拶回りをしていた。
「これはライスフィールド伯、ごきげんよう。」
「これはハイデン伯、ご健勝でなによりです。」
「お初にお目にかかります、ハイデン伯の娘、イリナと申します。」
「素敵なレディ。御逢い出来て光栄です。ライスフィールド伯嫡男、タックと申します。」
私はさくら直伝の口説き文句、テクニックをフルに活用し、数多の相手を堕とした。だが、
「さくら、俺の理想の子がいない。」
「そうですね。ご主人様の感性にドストライクの子がいませんね。」
そう、ここまでいないのだ。私の運命の人が。
こんなに努力したのに、神よ、何故ですか!私はこの世に神は死んだと思った。
私は一人の女の子を見つけた。そう私の感性にドストライクの子が現れた。
神は死んでいなかった。
私は、彼女にコンタクトを取ろうとした。
「あ!、あの方は」
さくらが声を漏らしたが、そんなのお構いなく、私は近づいた。
side タックの感性にドストライクの子
お父様とはぐれてしまいました。こんな人が多いところに来たのは初めてです。お兄様もどこにいるのか分かりません。どうしましょう。泣きそうです。
「どうか致しましたか、レディ。」
私は声のするほうを見ると、優しそうな男の方が手を差し伸べていました。
私はその方の手を取り、
「ありがとうございます。」
「どうかしましたか。泣いておられたようですが。」
男の方は私にハンカチを差し出し、涙を拭ってくれました。
「実は、両親とはぐれまして・・・」
私は家族と離れてしまったことを告げると、
「分かりました。私にあなたのご両親を一緒に探させてください。」
私は感激致しました。
「よろしくお願いします。」
「あの、お名前をお聞きしても宜しいでしょうか。」
「これは失礼いたしました。私、ライスフィールド家嫡男、タックと申します。」
「タック様、私、マリーと申します。」
それから、たくさんの話をしながら、両親を探しておりました。すると、
「お嬢様!」
「ヒルダ、私の侍女が見つかりましたわ。本当にありがとうございました。」
「それは良かった。ですが私は残念です。あなたとの時間が終わってしまって・・・」
「まぁ!」
「そうだ。今日の出会いの記念にこちらをプレゼントします。」
なんと、金のネックレスを取り出し、私にかけてくださいました。
「綺麗」
私はそんな陳腐な言葉しか出なかった。
「マリー、今日の出会いを私は生涯忘れない。ありがとう、さよなら。」
「タック様!」
タック様は私の前から去ってしまった。心にぽっかり、穴が開いてしまったようだ。
「お嬢様、どうなさいましたか。そのネックレスは?」
「先程、私をエスコートしてくださった、タック様が下さったんです。」
「タック?、もしかして、ライスフィールド家の!」
「はい、タック・ライスフィールド様です。」
「なんと、旦那様にご報告しなければ。」
ああ、タック様、またお会いしたいです。
side out