家に帰りますか?いいえ、帰りません
さて、帰ろうと思ったのですが、今日はダンジョンに行く気満々だったのでどこか肩透かしを食らった気分です。
なので帰りの車の中でこう提案してみました。
「ねぇねぇ、みんなこの後の予定空いちゃったよね?」
「そうだね、夕方までは皇居ダンジョンに行く予定だったからね」
「それじゃさ、久しぶりに倉庫ダンジョン行かない?」
「え?倉庫ダンジョンを進めるって事?」
「んー、それでもいいんだけど、10階層って1回行っただけじゃない?あそこのボスが復活しているのか確かめておきたいなーって」
「なるほどね、それは確認してみてもいいかも?でも知佳ちゃん、本当の目的は豚肉でしょ?」
「えへへ、ばれたかー」
やっぱりばれちゃいますよね。でもこれで豚肉が復か……ボスが復活しているなら何度でも豚肉取れますからね!
そうしてやって来ました倉庫ダンジョン、相変わらず数チームが中に入っている模様。
私たちの車が門の前に着くと、見張りの人が驚いた顔をしてやって来ました。
「本日はこちらに来るとの連絡は受けていませんが?」
「本日の都合は変わり、知佳さんの判断でこちらに来ることにしました」
対応してくれたのは運転手を務めている楓さんです。
「そうでしたか、一応確認を取ってもよろしいですか?」
「構いませんよ」
そうしてどこかに電話していましたが、すぐに許可が下りたので中へ。
皆で更衣室を兼ねているプレハブで着替えをし、ダンジョンに行きましょー。
ミミちゃんも連れて来れればよかったんですけど、移動経路がかなり離れているのでお肉を持って帰る事で許してもらいましょうね。
それにしても、ダンジョンストアもお肉を登録できればいいのですが、なぜかお肉は登録できなかったんですよね。
ついでに言うと、お爺ちゃんから聞いた話だとダンジョンから出たもの以外は登録画面が出なかったとか。
ダンジョンストアの名の通り、ダンジョン関連の物しかダメって事なんでしょうね。
そしてちょっと気になっているのがダンジョンから出た素材で作ったものが登録できるようになるのかどうか。
この辺はいずれ何か作ったら試してみる事にしましょう。
そして久々の倉庫ダンジョンです!10階です!
実質残り時間は2時間ほどなので、急いでいきましょー。
やっぱり皆さんフル装備だと早いですね。1時間かからずにボス前です。
そして実際に戦うのは初めてとなるオーク戦、どうなることやら、わくわくしてきましたー。
はい、実況の知佳です。えー、オークさんタコ殴りにされました!
いえ、タコ殴りってほどでもないですね。
出現と同時に葵さんがアトラクトを掛けてオークの注意を引き、その隙に楓さんがオークの背後へ移動。
それと同時に気を引きつつ玲子さんと沙織さんがオークの両脇に移動。
そしてオークが葵さんに対して右の蹄で殴りかかったところを背後にいた楓さんが後ろからオークの首をナイフで掻き切り、ひるんだオークに対して沙織さんが槍を突き立て、楓さんが離れると同時に玲子さんがオークの首をはねるという、これ以上ない位に息がぴったり合ったコンビネーションでした!
え?わたしですか?そりゃもちろん、見てました!
ドロップは見事にお肉が出たので皆さんホクホク顔です!
そしてここでまた一つ提案を。
「ねね、まだ時間あるよね?」
「そうね、まだ1時間以上は余裕あるから、11階以降すすめる?」
「あ、あのね、もう一回オークやらない?」
「え?もう一回なの?」
「うん、ほら次いつ来れるか分からないし、オークが復活するのもどのくらいの時間なのかもわからないからさ」
「あー、うん。次いつ来れるか分からないのがメインで、オークの復活時間は一応ね」
「えへへ、ねぇいいでしょー?」
「まぁ、駄目ってことは無い……よね?」
そう言って玲子さんは皆を見回しましたが、皆も賛成の様子。
ですので、一度11階へ行き、そこの魔法陣から一度外へ。
そしてまた入口へ回って10階へと言うちょっとめんどくさい方法を使って再度10階層へ。
もうね、オーク狙いなら10階層の敵無視しても良いんじゃないかな?とも思うのですが、そうもいかないですよね。
そして今回も1時間かからずにボス部屋前へ。
今度はちょっと試したい事が有るので、皆にはオークに近づかずに待ってもらう事に。
あ、葵さんにアトラクトだけは気合を入れて掛けてもらいます!
そうしてまたもやオークは無事やられ……げふんげふん、立ちはだかる様に出てきました。
そして葵さんの気合の入ったアトラクトに対し、突進してくるのですが……
「ピット!」
そのオークの足元を狙って生活魔法のピットを発動です。
大きさは直径30cm、深さ30cmほどで、歩幅を計算して仕掛けます!
するとオークは穴に片足を突っ込み、「バキッ」と言う音と共に突進の勢いそのままに、スライディングをするかの如く滑ってきて葵さんの構えている盾に阻まれました!
こうなるとね、もういい的ですからね。
ここは沙織さんが槍の一突きでオークの首を刺し、とどめを刺しました。
そしてオークはと言うと、穴にはまったほうの足はぽっきりと折れています。
やっぱりこれ使えますね!この間小説を読んでいて似たような事が有ったので出来るかどうか試したかったんですよね。
「……知佳ちゃん」
「なーにー?」
「いま、なにしたの?いや、ピットを使ったのは掛け声で分かったんだけど」
「んと、オークの足元狙って穴掘ってみました」
「あー、うん。そうね、穴掘ってそこに足入れさせて転ばせたのね」
「これ、かなり使えますね、突進してくる敵限定ですけど」
「突然足元に穴が開くのは反則。でもかなり効果的」
こうして新たな攻撃方法を身に着け、またまたオーク肉を手に入れ今日のダンジョンアタックは終了です。
この結果から、どうやらオークはというか、階層ボスは素材を確定で落とすのでは?と言う事になりました。
これ、一般開放されたらボス素材狙いがはやりそうですね!
あー、その混雑や占有をさせないために、倒した後は必ず次の階層に行かせて、なおかつ一回外に出ないと戻れない仕様なのかな?
なんにしても、これで数日分の豚肉確保なのです!