教えてもらえませんか?いいえ、秘密です
そして来た時に車を降りた場所、建物の近くまで来たのですが、両陛下がお出迎えしてくれました。恐れ多いんですけど!?
そして上皇后陛下が私の元へ来て、またまた腰を落として視線を私に合わせたかと思うと
「ご無事でしたか、皆さんお怪我などは、なさっていないですか?」
「あ、は、はははい。みんな特に怪我はないでっすっ!」
「うふふ、可愛らしい方。私の事は、秋江さんのお友達と思って、もっと気楽に接してもらえると、嬉しいのですけど、駄目かしら?」
「そそそ、そ、そんな、おお恐れ多い事でごさいますです」
と、そこで気が付いたのですが、上皇后陛下の目線がすこし、すこーしだけ、おかしい気がします。ですので、目を注意してお顔を見ていると
「あら、気が付いてしまいましたか?手術してかなり良くはなったのですが、完治まではいかなくてね。ちょっと目線がおかしいのは、許してくださいね」
「そそ、そんな、上皇后陛下に謝ってもらう事なんて!?むしろぶしつけな視線を向けてしまって、も、申し訳なく……」
と言って頭を下げたのですが、ここでふと、これってヒールか状態異常回復で直らないかな?と思い、掛けてみようかなーなんて……あ、でも周りの人達もめっちゃこっちに注目しているしバレちゃうかな?大丈夫かな?
目が悪いんだよね?網膜剥離だっけ?確か前にニュースでもやってたし……今肌に触れているし、目だけ治れってやったら、周りにバレずに行け……る?
そう思った私は上皇后陛下の目をじっと見つめながら、目がなおーれ、目がなおーれ、目標、上皇后陛下の目の異常!あ、これヒールが効果ありそうね、声に出さずに上皇后陛下の目が治る事に集中して、目がなお―――れ!
すると、上皇后陛下の目が微かに暖かい光を発したかと思うと、上皇后陛下は目をぱちぱちさせ、その後きょとんとした顔をして私の顔を見ています。
うんっ、この目線なら上手く行ったっぽいね!
「知佳さん……あなた今」
「な、内緒、ですよ?」
「ないしょ……内緒ね。でも、旦那様にだけは、伝えさせて頂戴ね。そして知佳さんは、こういう事も出来るのね、ありがとう。生活にあまり支障は、なかったのだけれども、やはり健康な体と言うのは良い物ね」
そういって一層柔らかな微笑みを浮かべました。
この笑顔の為ならやって正解だったね!周りも特に騒いだりして無いしね。
その後、他の皆にもねぎらいのお言葉をいただき、迎えの車が来たのでそれに乗って警視庁庁舎へと移動しました。
警視庁庁舎へ移動し、朝連れて来られた部屋に来たのですが、そのドアの前にはでかでかと『KD対策室 関係者以外立ち入り禁止』と書かれた張り紙が張られていましたけど、こんな張り紙来たときあったっけかな?
そして中へと通され、今日の成果などの報告をすることに。
今日の成果の報告ですが、まずは皇居ダンジョンが日本第1ダンジョンであった事。そしてつぎに、行った階層と出てきた敵の簡単な説明。そしてそれぞれの敵が落としたドロップ品の現物を見せての説明となりました。
そしてここで一つ問題が!
そう、地図についてです。
いつも私のスキルの能力で出口の方向が分かるのが普通だったので気にしていなかったのですが、考えてみればすごく異常な事でした!
これは馴れのせいか玲子さんや葵さん達も気づいておらず、ダンジョン対策課の方々からどうして中に入ってからほぼ一直線で出口である魔法陣にたどり着けているのか?という質問がありました。
ど、どうしよう……そうだよね、めっちゃ怪しいよねこれ。そう思っていると玲子さんが
「それにつきましては、こちらで明かせない事情と言いますか、いずれ明かせる時が来るかもしれませんがこちらで取得している特殊なスキルのおかげです」
「し、しかし、この能力があれば他のチームもダンジョン探索が楽になるのです、どうか教えていただくわけにはいかないでしょうか?」
ですよねー、出口の方向が分かるだけでもかなり有利ですからね!
「では一つだけお教えしますが、これは特殊なスキルの能力で、現在取得方法は不明です。ですので取得方法などをお教えしたくても出来ない物なのです。そしてこれ以上の事に関しましては、事前協定にもある通り、こちらの手の内を必要以上に明かすことになってしまうのでお教えすることは出来ません」
その説明を聞いた方々はかなりがっかりした様子。でも事前協定とか、私の知らない所で色々と約束事とかあったのですね。まぁ、そういうのをきちんとしていないといい様に利用されちゃうだけでしょうし、あの曾お婆ちゃんがそんな事を許すとは思えませんしね!
その後敵についての説明ですが、4階までは問題ないと思われる点、5階に関してはダンジョンストアにて毒消しを買っておけばいざという時も安心だろうという点を伝え、その後のドロップ品は一覧リストを渡し、現物を見せて終了。トータル1時間ほどかかりましたが、今回は地図の件とかがあったので時間がかかりましたが、次回からはもっと早く終わりそうですね。
そしてお家に帰る車の中ですが、珍しく沙織さんが居眠りをしています。今日のダンジョンの場所柄もあってよっぽど疲れたんでしょうかね?
今日の戦利品である鶏肉と卵を見せると是非食べたいという声が上がりましたが、今日のお夕飯はやはりすでに用意されていたため、明日の夜に親子丼をリクエスト。料理長さんも腕を振るって作りますと言ってくれました。