ダブついていますか?いいえ、ピッタリです
さて、指輪にするための板は出来たのですが、ここからどう指輪にするかですね。正直言うとまだデザインは決まってないんですよね。
というわけで、どうせ指輪にする段階で失敗するでしょうし、予備をいくつか作っておきましょう。そうして全部で5つも作るといいお時間になったので、軽く汗を流すためにお風呂へ。
その後夕食をいただき、何時もの皆さんとのお茶会。今日のお題は学校での出来事ですが、そこで例の突っかかってきた男子生徒の事を聞いてみたところ、従兄ではなくまた従兄で、なんでも曾お婆ちゃんの弟さんがその昔分家を作ったらしく、そこの曾孫さんなんだそうです。
そんな中、俺ですら入れないのにと言うセリフが気になったのでついでに聞いてみたところ、来る用事がないだけでは?とのあっさりとした回答。
向こうの二条家と親戚付き合いは当然あるけれど、曾お婆ちゃんの弟さんはすでに亡くなっているようで、向こうの家は遠い親戚扱い。一族が一堂に集まる年始のパーティーで顔を合わせる事はあるけれど、逆に言えば家同士の付き合いは疎遠気味との事。
そしてそのパーティーはホテルの大ホールを借りてやっているそうで、このお家でと言うのはやらないんだとか。それじゃ来てないのも仕方ないですね。
そしてその子も足を怪我していて松葉杖をついていた件について、ダンジョンで怪我したというのは確かなのか?と確認されたのですが、本人がそう言っていた事しか分からず、その時もエレベータの中で二人っきりだったのでいまいちよく覚えていないと伝えると、そうかと一言いい何やら考え込んでいました。
んー、何かあるのでしょうかね?
その後は明日からの授業の予習を行い、今日はお休みです。
……
あーさー、今日から授業開始なので頑張っていきましょー。
とはいえ、今日明日は午前授業で終わり、午後は各クラブの勧誘合戦なんだとか。私は帰宅部希望なので授業が終わったらすぐ帰る事に。あ、沙織さんも帰宅部らしいですよ?
そして、本日は特に問題らしい問題も無く学校終了。迎えに来てくれた葵さんに鎧下を買いに行くかと聞いてみたところ、どうやらあの鎧は鎧下がいらないらしいです。というのも、レオタードを着てからあの鎧を着てみたらしいのですが、やはりサイズ的にというか、レオタードの生地が逆に肌に擦れてしまうそうなんです。
ただ、それでもなぜかパンツだけは問題ないんだとか。しかもブラをしていなくても胸のホールドはばっちりだったそうです。普通の防具のはずなのに謎な仕様ですね。それだけ体にぴったり合っている鎧と言う事なのでしょうか?
でも、鎧下についてはわたしも少し調べてみたのですが、肌と鎧がすれるのを防ぐ以外にも、鎧に受けた衝撃を緩和するという機能もあったはず。なので次にダンジョンに行った時にダンジョンストアで確認してみようという事になりました。
そしてこの日は帰ってからは指輪のデザインを考え、夜は授業の予習と特に変わったことは無く終了。
翌日金曜日も学校は普通通り。何人かの方とは少しですがお話も出来るようになりましたが、どうやら皆さん何か遠慮している様子。
どうしてなのかと思ったのですが、もしかすると沙織さんに遠慮してる?もしくは沙織さんに近づくのをためらっている?なんかそんな感じがします。
まぁ、様付で呼んでいたくらいですから、何かあるのでしょうかね?でも私はそんなこと気にしないので、基本的には沙織さんとお話しています。
そんな中、やはり例の二条君はこちらを睨んでくるのですが、何でしょうね?この間の事を根に持っているのでしょうか?
確かに半分無視するようになったことは申し訳なかったと思いますけど、知らない男子生徒にエレベーターのような密室の中でいきなりガンガン話しかけられた時のこっちの気持ちも察してほしいものです。
ですので彼はわたしの中では要注意人物リストに入れておきましょう。
そして放課後、お家へ帰ってみるとどうやら私専用ライダースーツが出来上がってきた模様。ですので早速着てみると、確かに今まで上半身がだぶっとしていたのがぴったりフィットしています。これならさらに快適にダンジョン探索が出来ますね!
でもね、一昨日葵さんの鎧を買って思ったの。これ着るのもいいけど、わたし用の防具もダンジョンストアで買っちゃえばピッタリのが手に入るんじゃないかと……これの注文を覚えていたからあの日はスルーしたけど、近い内に買った方が良い気もしてちょっと悩みどころなんですよね。
というのも、私は基本車椅子に座ったままなので移動速度とか遅くても良いんですよね。そうなると葵さんみたくフルプレートメイルを着た方が安全率高まるのかなと。
曾お婆ちゃんも、お金で買える安全は買った方が良いって、車をもらった時に言ってましたしね。
まぁ、どの道今はまだ大丈夫なので、もう少しダンジョン探索が進んでから決めましょう。
さて、その後はまた指輪のデザインをいろいろ考え、何とかこんな感じにしようかなと言うラフ案が決まりました。
え?最初はシンプルにただのリングで良いのではないかって?それも悩んだんですけど、どうせなら何かデザインを彫りたいかなってね。けっして、暇つぶしとかそういうのじゃないんですよ?
そして今日の夕飯後のお話合いではどうやら曾お婆ちゃんが大事な話があるそうで、何時もは控えているメイドさん達を下げました。
んー、と言う事はダンジョン関係なんでしょうけど、最近は毎回同じ人ですけど何人か残っていたんですよね。それを下げるという事はよっぽどの内容なのでしょうか?
そしてそこで出た話はと言うと
「知佳ちゃん、これは断ってもらっても良いという前提での話だという事を踏まえた上で聞いてほしいんだけどね。実は私の古い知り合いの所にもダンジョンが出来たらしいのさ。そこでね、そのダンジョンの攻略を手伝ってほしいと言われているんだけど、もしよかったら手伝ってやってくれないかね?」
「それって、倉庫ダンジョン以外って事ですよね?」
「あぁ、国の方に報告は上がっているから秘匿されている訳じゃないんだよ。ただ、もしそのダンジョンからモンスターがあふれると国としても色々と不味い事もあってね、出来ればそこのダンジョンはセーフダンジョンに出来るならしたいのさね」
んー、いま大半のダンジョンは国の管理下に置かれていて一般人は入れないと思うのですが、それ以外のダンジョンなんですかね?もっとも、倉庫ダンジョンは良いのかって話にもなりますけど。
でも曾お婆ちゃんはすごく深刻そうな顔で言ってきていますし、他の方々も私にこの話を受けてほしいような感じで私の事をうかがっている感じですね。
私としては今のダンジョンでも他のダンジョンでも、ダンジョンに潜れるのなら何処のと言う指定は特に無いんですよね。むしろ、国の今後を考えれば倉庫ダンジョンよりも、他のダンジョンのクリアを優先した方が良い気もします。入って良いのならですけどね。
それにしても、皆さんかなり深刻な表情ですけど、そこまでして私に攻略を手伝ってほしいって一体どこのダンジョンなんでしょうかね?
そして伝えられた場所はと言うと……