高級品買いますか?いいえ、通常品にします
来客用玄関に行くと玲子さんと葵さんが待っていてくれました。
遅くなったことを詫び、私と沙織さん用に指定された下駄箱から靴を出して履き替え車に乗ると、今日は葵さんが運転してくれるようで玲子さんは後部座席の前側、私の正面に座り、まずはこの後の予定として倉庫ダンジョンに行き葵さんの防具を購入することで良いか確認されたので了承しました。
ただ、いつもはワンボックスで行っていたけど、今日はこの車で行くのかが気になったので聞いてみたのですが、今後はこの車での移動にするようです。
まぁ、高速道路とかでも事故恐いしね、この車頑丈みたいだから丁度いいのかな?
その後は今日学校であったことを話していたんだけど、エレベーターでの一件になると玲子さんがちょっと険しい顔をしちゃいました。なので沙織さんに助けてもらったから大丈夫と伝え、沙織さんもフォローしてくれてその会話はそこで終了。
あとは沙織さんがクラスの皆から二条様って様付で呼ばれていた事や、みんなから色々と質問されたことなどを話し、その一環で□□から来たのかって聞かれたけど何でだろう?と疑問を発したところ
「関西の□□に近衛っていうちょっと大きな家があるから、そこの関係者と思われたんじゃない?」
との事でした。関西……全く行った事ないですね!やっぱりたこ焼きとかは向こうの方が美味しいんでしょうか?機会があれば本場のたこ焼き、食べてみたいです。
そんな話をしているうちに倉庫ダンジョンに到着。倉庫を大きく囲むように建てられたフェンスに一か所だけある入り口を通って中へ入ると、中にはワンボックスが四台と乗用車が2台止まっていました。別チームの人たちが来ているのかな?
そして車を倉庫入り口前に横付けし、そこから直接倉庫に入ることに。一応他の方の目もあるのでここで車椅子を出すのはやめておきましょう。
なので松葉杖でダンジョンストアへ移動、とりあえずどんな防具が良いのかを葵さんに聞いたところ、今後も盾職としてやっていきたいのでフルプレートメイルかそれに準ずるものが良いとの事。
ですのでダンジョンストアの一覧からそれっぽいものを探し、葵さんとあれが良いこれが良いと相談。
葵さん的には今はそれほど切羽詰まった状況じゃないのでそこそこの品質の物で良いと言っていますが、私としてはどうせ買うなら可能な限り高品質が良いのでは?最終的に必要になるよね?と言ったのですが、やはり最初から良すぎる物は技術の成長にならないので、出来ればステップアップしていきたいとの事。
そして防具をランクアップする時はその防具を他の人に譲ればいいと言う事になり、最終的には技術が無いと奥へ行った時につらいかもしれないとの言葉に納得し、そこそこの品質の物を購入する事になりました。
そうして選んでもらったものはダンジョン産の金属でできたフルプレートメイル。性能はと言うと
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フルプレートメイル
ダンジョン産の鋼を用いて作られた物
耐久力+80
敏捷度 0.8倍
器用度 0.8倍
ただし筋力値が30を超えていない場合は敏捷度は0.5倍となる
また、筋力値が10以下の者はこれを身に着けるとその重さにより自力で移動することは困難
※ サイズは購入者のサイズに合わされる
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そしてお値段はと言うと、5万DPとお買い得!でも犬の魔石1万個って考えると高い方なのかな?
行動にかなり制限受けそうな感じですけど、ほんとにこれで良いんですかね?そう思い聞いてみると
「普通に鋼で作ってもらっても全身金属鎧なら同じ様な制限はかかるでしょうし、良いと思います。どうせそれほど動き回るわけではないですしね」
それにしても、購入者のサイズに合わせてくれるってかなりお得なのかな?でもそれだと他の人に譲る時にかなり制限がかかっちゃう?まぁ、5万DPだしいっか。
そして、購入者と言うのはお金を出した人?それとも最後の購入ボタンを押した人?もしこれが私サイズで出てきたら、代わりに着れる人ってほとんどいないですよね……
というわけで、一抹の不安があるので葵さんのカードに5万DPをチャージして購入することにします。一度ダンジョンストアの起動をやめて葵さんと交代。葵さんにプラチナ貨を5枚渡してチャージしてもらいそのまま購入。
すると台の上に出てくるかと思った鎧は台の前にドデンと!
ですよねー、フルプレートって見た感じおっきいですし、これが台の上に出てきたらすぐころげ落ちちゃいますよね。
そして出てきた鎧を見て葵さんはちょっと興奮した顔をしていますけど、もしかして防具とか好きなんでしょうかね?
その点を聞いてみたところ、やはり今までの防具と言う名のライダースーツとちょっとしたプロテクターでは不安があったとの事。そして盾を持ってダンジョンに入る様になってからいろんな小説を読んで、盾職ならやっぱり金属鎧じゃないと!と、ちょっとあこがれを抱いていたようです。
そんな葵さんを横目に、私も隣のダンジョンストアで買い物を。
ランタン2個とカンテラ2個、あとはこの間割っちゃったるつぼもリストに有ったのでそれも1つ。そして素材コーナーに新たに追加されていたウルフの毛皮、角ウサギの角、鉄鉱石など、今までにドロップで出た物が売っていたのでそれらも一通り5個づつくらい買っちゃいましょうかね。今まで出たのは全部お爺ちゃん達に渡してますからね。
それにしても、素材コーナーのこれらの品は誰かが登録したんでしょうか?でも登録DP足りたのかな?それとも素材は別なのかな?この辺は帰ってから聞いてみる事にしましょう。
そして本日の裏の目玉、アトラクトとシールドバッシュのスキルスクロールです!全部で11万6815DP。
そしてわたしがいろいろ大量に買ったのを見て皆さん驚いていました。
「ち、知佳ちゃん、それどうするの?」
「んと、色々あれば錬金術で何かできるかなーって」
「あー、なるほどねぇ」
それらを異次元倉庫にしまい車に乗って帰宅です。
実は今日はちょっと考えている事が有りまして、それは帰りの車ですることにしましょうね。何をするかを玲子さんに説明して帰りの運転は玲子さんにお願いしました。
そして帰りの車の中で葵さんにアトラクトとシールドバッシュのスキルをプレゼントです!
「え?これを私に……ですか?」
「うん、いっつも盾で敵を防いでくれてるから、もっとそれが楽になるようなのと、その時に盾で攻撃出来るようにって。それともほかに使う予定のスキルあった?」
「いえ、これらは何時かDPを溜めて買おうと思っていたのですごく嬉しいのですが、本当に頂いていいのですか?」
「前に玲子さん達にも言ったけど、私の目的はエリクサーを探す事だからね。見つかるのがいつになるか分からないし、その時まで一緒に居てもらえるかもわからないけど、少なくともしばらくの間は一緒に居てくれるんでしょ?」
「はい、一緒に戦えなくなるか、いらないと言われるまではお付き合いさせていただくつもりですが……」
「だったら、PTの戦力UPと言う意味でもぜひもらってほしいの」
「ありがとう……ございます。これを使って、きっちり皆を守って見せます」
そう言った時の葵さんの顔は、何らかの覚悟を決めた表情をしていた。