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スキル『砦』を使って快適ダンジョンライフ  作者: 日進月歩
第一章 その時地球が震えた
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●ダンジョン出現直後の日本政府の様子と……(改稿済)


◆◇◆ 総理官邸 ◆◇◆


 そこには60歳くらいの白髪交じりの男と、その部下と思われる男の二人が顔を突き合わせ、真剣な表情で話し合っていた。


「総理、先ほどの声の件ですがいかがいたしましょう?」

「とりあえず大至急すべての電波を用いて国民に注意喚起してください。ダンジョンなるものを見つけても無暗に入ったり近寄ったりせず、最寄りの警察に情報提供するようにと」

「分かりました。すぐ手配します」


 どうやら、先ほど聞こえた声の内容に対して、国としてどう動くのかを話し合っているようだ。


「それと、自衛隊にも緊急治安出動命令を総理の名において発動します」

「ですがそれは……どこに派遣すればいいのか」


 いきなりダンジョンが出現したと言われたのだ、確かに自衛隊に出動命令を出すと言われても、どこに派遣すればいいのか分からないだろう。


「とりあえず連絡があればいつでも出動できるように待機してもらい、ダンジョンに関する情報提供があれば即行動できるよう取り計らってください。これは非常事態宣言とします」

「かしこまりました。防衛大臣を通じて自衛隊の方に緊急出動要請を出しておきます」


 そして総理と呼ばれた男は緊急対策本部の設置を決め、情報収集に努めるよう命令を出すと、その指示を受けた男はどこかへ電話で連絡をしていた。


「至急緊急対策本部の設置を。名称はとりあえずは『ダンジョン対策本部』とし、ダンジョンに関する全ての情報が集まるようにしてください」


 それら現状で出来ると思われる指示を一通り出した後、部屋の中の空気は若干弛緩(しかん)した。


「それにしても、資源を産出するダンジョンですか。これが本当なら資源輸入国としての我が国にとって吉報となるのですが……ダンジョンを攻略するのに被害が全くないとも思えませんし」


 そこで話し合われたのは、降ってわいた幸運か、はたまた地獄への片道切符なのか。

 この国の首相としては、将来的に今回の一件が幸運だったと思える様かじ取りをしたい所だろう。

 しかしモンスターなる物もいるとの情報から、ダンジョンの中は命の危険があるとの認識もあり、どれだけ被害を抑えて攻略するかが今回のカギになるとにらんでいた。

 そして政府の発表を無視し、無謀にもダンジョンに突入するであろう一部の無謀な民間人の事を考えると頭が痛くなる思いだった。


「ですね。ただ、気を付けなければならないのは人命をいかに尊重しつつ、ダンジョンを攻略するかがポイントになると思うのですよ。最初に突入させざるを得ない自衛隊の方々もそうですが、こちらの言う事を聞かずに入ってしまうであろう一般市民の方たちが心配です」

「その辺は上手くやるしかないですが、封鎖する前に入られてしまえば対処のしようが無いですからな」


 そんな悩みの種の原因の一つは、ここ数年で若者たちの間で爆発的人気のいくつかの情報共有サービスだろう。


「国民の皆さんが聞き分けが良いと良いのですが、トイッターやヨウチューブ……あれらのせいで変わった事を進んでする人々が多いのが困りものですね」

「その辺は自己責任で。と言いたいところですが、世論は認めてくれないでしょうな?」


 現在それらの人々が起こす問題は今や社会現象にまでなり、犯罪行為であってもそれと気が付かず、また一部は気が付いていながら視聴者を増やすために、安易に無謀な行動を起こす若者たちが増えているのは1つの頭痛の種だった。


「本当に困ったものです。その熱意を別の事に向けてくれればいいのですか」

「とりあえず無謀な事をして命を落とす人々への対応も考えなければなりませんな。物理的にも、世論的にもね」


 その対処案の一つとして、それらの無謀な人々は他人が安易に出来ない事だから人気が出るのであって、誰でもできる事にしてしまえば無謀な事は控えるだろうと、ダンジョンを完全封鎖するのではなく、いずれ開放する予定にすればいいと暗に舵の方向性を決める首相であった。


「ですな。では、明日は緊急議会を開いてその辺の話から詰めますか」

「そうしないわけにはいかないでしょうね」


 そして最後に、初クリア者がいるという情報を他国にいる駐在員からの情報とすり合わせた結果、日本人である可能性が高いという結論に達していた。


「あとは、初クリア者がいるとの事ですが、その者についてどうするかですな」

「その方が素直に申し出てくれればいいのですがね」

「男か女か、成人なのか未成年なのか、一人なのか複数人なのか、どこに住んでいる人物なのか全く情報がありませんからな」

「その辺も含めて今後の情報に期待ですか。緊急対策本部に良い情報がくればいいのですが……」



◆◇◆ 世田谷区某公園 ◆◇◆


 夜の公園、そこには高明度のヘッドライトが頭部に装着されている工事用ヘルメットをかぶり、手にはハンディカメラを持った男と、コンビニにちょっと出かけるような普段着姿の二人の男がいた。


「お、掲示板の情報通りに本当にあるぜぇ」

「おい、本当に入るのか?俺は何も準備してきてないぜ?」

「大丈夫だって、ちょっと入って中の様子を撮ったらすぐ出るからよ。それで閲覧数ガッポリだぜ!」


 ヘルメットをかぶった男は、とかく気楽な感じで話していたが、もう一人の男はかなり深刻そうな表情をしている。


「いや、まずいだろ?警察も無暗に入らずに場所の情報提供をって言ってるし」

「情報提供はするさ、中の映像付きでな!」

「いや、やばいって、中にはモンスターもいるんだろ?」

「心配しすぎだって、入ってちょっと撮影して、モンスターがいるならその姿をちっとだけ映して逃げてくりゃいいんだよ」


 ヘルメットの男はこの機会に何が何でも視聴率を稼ぎたいのか、ダンジョンに入る気満々のようだ。


「やっぱやめとこうぜ、下手すりゃ死ぬかもしれないんだぞ?」

「なんだよ、怖じ気づいたのか?」

「あぁ、俺はまだ死にたくないからな」


 そんな会話をしていると、遠くの方から自転車のライトと思われる光が二つ近づいてきた。


「こらーっ貴様ら、そこで何している!それが通報のあったダンジョンだな、今すぐ離れなさい!」

「やべ、来ちまった。おら行くぞ!」

「いや、俺はやめておく」

「ちっ、意気地なしめ。良いよ一人で行ってくるから!」


 そう言ってヘルメットの男は入り口と思われる、壁の一部のへこみ内にある魔法陣に乗ったかと思うとすぐさまその姿はかき消え、それとほぼ同時に自転車に乗った警官2名が男の元にたどり着いた。


「君っ、ここで何をしているのかね?」

「えっ?俺は、ダンジョンが出来たって聞いて見に来たんです」

「もう一人は、さっきまでもう一人いたよね?」

「あぁ、あいつは入って行っちまった。俺、止めたんですよ?でも行っちまった……」

「なんだと!」


 そう言うと警官は慌てて肩からマイクを取り外し、どこかへ連絡を取り始めた。

 その後少ししてさらに10人ほどの警官がやって来て、公園に出来たダンジョンの周りには立ち入り禁止テープが張られ封鎖されていった。



◆◇◆ その後のダンジョン内 ◆◇◆


 魔法陣に乗った男の頭の中に突然


《 ダンジョンに入りますか? Yes/No 》


 と文字が現れた気がした。

 急いでいた男は「早くは入らせろ!」と思った瞬間、軽い浮遊感に見舞われ目の前が真っ暗になった。


「お、なんだ、中は真っ暗なのかよ。壁が光ってるとかじゃないんだな。へへ、こんなこともあろうかときちんと強力なライトを持って来てあるんだよ」


 その男はヘルメットについているライトのスイッチを押した、のだが……


「あれ?つかねぇ、どうしたんだ?家で試した時はついたじゃねぇかよ」


 カチッカチッ


「ちっ、ここにきて故障かよ。しかたねぇ、とりあえずスマホのライトで……あれ、スマホの電源も落ちてやがる、くそっ」

「おら、つけ、つけっ、なんでつかないんだよっ」


 そうこうしていると、何処からともなく犬の唸るような声が聞こえてきた。


「ちょ、なんだ、何かいるのか?まずい出ないと……」


 真っ暗な中で聞こえてくる声に、モンスターが出たのかと焦った男は回れ右をしてダンジョンから出ようとしたが、そこには壁があるだけで出口は何処にもなかった。


「おい、ここから入って来たんだぞ、何で出れないんだよ、出口は何処だよ、だせ、出せよぉーーー」


 壁を叩いて何とか出ようとした男だったが、その男の腕に何かがかみついたようで腕に鋭い痛みが走った。


「いってぇー、腕が……ギャァーーーーーーーー。くそっ、この野郎、はなせ、放せよぉーーー」


 急に腕に痛みと重さを感じた男は犬か何かにかみつかれたと気が付いたが、それに気が付いたからと言って何かができるわけもなく、痛みに暴れていると次には喉をかみ切られた。


「ぐぱぁっ……カヒュー、カヒュー、イたい、俺はこのまま死ぬのか……いやだ、死にたくない、死にたくないよぉーーー、だれかぁ、誰か助けてくれーーーーー、ガフッ……」


 その後、その男の姿を見た者はいなかった……そして、非公認ではあるが、この男が日本で最初のダンジョンでの死者となった。


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