今まで通りですか?いいえ、ちがいます
今日の一つの目標である10階へたどり着いたので、いつも通りまずは全体把握を……っと、ここで変化がありましたよ?
「んー、魔法陣が2つある?でもすごく近い所というか、並んでるっぽい?それとも横長の魔法陣?」
「あら、ここにきて変化が出たのかしら?」
「何にしても、近いなら魔法陣に向かうのみ、です」
そうしてここでの敵の変化に注意しつつ進んでいったのですが、ここでも確認できたのは最大3匹、最高5レベルと9階と同じ構成でした。
その構成を見てみんなで話し合い、出た結果としてはこの階にはやはりボスがいるのではないかとの結論です。
とはいえ、進める限り進みましょー!……っと、進む前に一つ提案を。
「ねぇ、この階層はボスがいる予定なんだよね?」
「そうだね、その可能性は濃厚だね」
「それでさ、ボス戦もその武器で戦うの?」
そう、せっかくのボス戦ですが、そのボスは多分見た事のない新しい敵か敵の数が多数。しかもボスというからには今までよりも格段に強いでしょう。
いくらここまでの敵が弱いとはいえ、初のボス戦でわざわざ弱い武器で戦うのは舐めプ、そんな危険犯したくありません!
という事で話し合いの結果、この階層はフル装備で行く事になり皆さん武器チェンジです。
……が、京香さんがすごく嬉しそうです、そんなに大地の鉄槌が気に入ったのでしょうか?
そして1時間ちょっとで目的の魔法陣に到達しました。したのですが……
スキル『砦』の状況把握で確認すると、一つは目の前の魔法陣、もう一つは10mほど先にある大きな扉の向こうにあるようです。
ここに来て初めての扉!
「これって、やっぱりボス部屋……なのかな?」
「そうでしょうね。両開きでそれなりに重厚感もある。最近読んだラノベなんかでは定番のボス部屋ですね」
あ、葵さんもラノベ読むんだ……と思っていたら。
「あ、あくまでもダンジョン探索に役に立つ事が有るかもと思って読んだだけですよ?」
と私の心を読んだかのような言い訳が!
「で、どうする?」
「とりあえずこの魔法陣が何処に行けるか確認しましょう」
という事で全員で魔法陣に乗ってみたところ、この魔法陣は外へ出る専用のようでその事を伝えると
「ここまできてボスを倒す自信のない人はこれで帰れという事ですね」
との見解で一致しました。その後どうするかですが、やはりここまで来たならボスに挑戦しない訳がありません。
誰もケガもしてないし、疲れもほぼない状態ですのでこのまま扉の向こうへと向かう事に。
両開きの扉の前に全員で立つと、扉は自然と開き壁の中へ……
「…………スライドドアなんだ」
「……そうね、てっきり開き戸かと思ってたからちょっとびっくりね」
そして扉の中はと言うと、テニスコートが余裕で1面取れそうな広さの部屋で、その真ん中より少し向こう側に魔法陣がありました。
ありましたが、魔法陣が黒い?そしていると思われたボスも居ません。
「これあれかな?全員中に入ると扉が閉まって魔法陣からボスが出てくるみたいな?」
「そのパターンが濃厚ですね。もっとも入る以外選択肢がないですし入りましょうか。周りには十分注意して」
と言う訳で皆で隊列を保ったまま中に入る事に。
今回の隊列は、前衛に葵さんと京香さんの鉄板パターンです。
そして全員が中に入って少し進んだ所、勢いよく扉が閉まりました。
あれってはさまったどうなるんでしょうか?エレベーターの扉みたく開くのか、それともそのままぺちゃんこになるのか……
「あーーーっ、失敗した!」
「え、知佳ちゃんどうしたの?」
「扉につっかえ棒入れてみるの忘れた!」
「……今はそれよりボス戦に集中しようね?」
などと会話をしている最中に、魔法陣の上の空間が微かに歪んだかと思とそこには……
なんと、巨大な豚さんが二足歩行で立っていました!
え?あれってオークなの……かな?でも手足は太くはなっているし蹄も大きいけど豚のまま……新種のモンスターでしょうか?
と言う訳で鑑定!
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種族:オーク(10階層ボス)
レベル:3
ステータス
HP:72/72
MP:15/15
筋力 :28
知能 :6
知恵 :7
耐久力:21
敏捷度:7
器用度:6
魅力 :3
運 :7
特記事項:ダンジョン初心者層の最後を守るボス、ステータスに+修正有り
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おぉ、やっぱりボスですよ!HPが今まで出てきた敵の中で最高値だったエンペラーペンギンの3倍近くもあります!
とりあえずメモをとりつつ皆にステータスを報告しましたが、そこでなんと!?
突如ミミちゃんが巨大化して突進していきました!
いや、敵が1匹だったら戦っていいって言ってたけど、言ってたけどあいつボスよミミちゃん!
でもそれが分かっているのか、はたまた敵が大きいせいかダンジョンで初の巨大化!
巨大化したミミちゃんが突進の勢いのままオークの首にかみつき、勢いを生かして体を横に振ったかと思うとそのままオークの喉仏をかみ千切りました!
その後オークは喉をかみ千切られた勢いでそのままうつ伏せに倒れ、首からは大量の血を地面に噴き出し、その首は半ばちぎれかかった状態で曲がっちゃいけない角度まで曲がっていますね。あれはさすがに死んだかなー?
ミミちゃんはその倒れたオークの背中に片足を置き、誇らしげに遠吠えをしたかと思うと、そのまま小さくなりオークの背中の上にちょこんと座り、こちらを見て尻尾をぶんぶん振っています。
あれですね、喜んでいるようでいて、大きくて私の所まで持ってこれないから取りに来いって事ですね!
「…………あれ?私の出番……」
「ミミちゃん……」
「みんな、まだ敵が死んだ保証はないよ!警戒怠らない様に!」
京香さんはミミちゃんに出番を奪われ放心し、沙織さんはミミちゃんの雄姿に見とれ?玲子さんはミミちゃんの突然の行動に若干呆れ気味、葵さんはしっかりと警戒し、楓さんは……後ろにいるのでわかりません!
わたしですか?もちろんミミちゃんの雄姿に見惚れてました!
もっとも、葵さんは警戒を続けていますが、ミミちゃんを見る限りオークは死んでると思います。が、みなさん理由はともあれ放心状態で誰もボスに触りに行きません。このままだとレアドロップが出ないかも?
「ボス消えちゃうかもっ、せっかくのボスがこのまま消えたらもったいないよ!」
そう、ミミちゃんだけが敵に触れていてもレアドロップが出るか?というのはまだ未検証のため、急いで誰かがオークに触れなければレアドロップが出る可能性が消えてしまうかもしれないのです。
私がそう言ったところ、葵さんが盾を構えつつオークの元まで行き、オークの息を確認し無事倒せているのを確認してからオークに触ってくれ、その後少しして魔法陣が光り出すと同時にオークの死体が消え、後にはいつもよりも少し大きめの魔石と、5kgありそうな肉塊、そして低級ポーションが2本と銀貨が1枚でました。