攻撃ですか?いいえ、ただの自爆です
お昼も終わり、皆さんお手洗いも済ませ(衝立ではなく行き止まりから2mほどの所に高さ1mの塀を作る事でお手洗い場としました)ダンジョン探索の続きです。
次はいよいよ5階、ネット小説とかだとボス部屋があったりする階層ですが、ここはどうなんでしょうね?
《 何処へ移動しますか? 地上/5階 》
というわけで5階へゴーです!
とりあえず地図をっと……どうやら今までと変わった感じの物は認識できないですね。
という事はボス部屋は無しかな?それとも私が認識できていないだけかな?
もしボス部屋があるとして、そこを通らないと魔法陣を使えない様ならボスを倒さないと外に出れないって事で結構危険な階になるかも?
まぁ、それもこれも探索を進めればわかる事!
そして私の地図描きがある程度すんだのが分かったのか、先頭を行く葵さんと沙織さんが進み始めました。
新しい敵が出る予定なんですけど、見知らぬ敵への対応も練習した方が良いだろうという事で、この階は初めから沙織さんが先頭です。
ついでに犬が出たらお腹で突進を受けてみるそうですが、大丈夫ですかね?
一応鑑定で防具の能力を再確認してみましたけど、その説明を見た限りだと大じょう……ぶ……あれ?そう言えば敵を鑑定ってしてないなぁ。
出来るのかな?次出てきたらやってみよう。
そうこうしていると早速敵がやってきたようです。
「前から来るー」
「了解、こっちも確認したわ」
今度の敵は何でしょうね?まだ光の端にいるので良く見えませんが、1m位の白い縦長の楕円形の何かが左右に揺れながら寄ってきているような?
ん?白い周りが黒い?でも楕円というか、何だっけあれ……あぁ、マトリョーシカっぽいんだあれ。
と認識したかと思うと、おもむろに小さくなりましたけど何だろう?と思った瞬間
「きゃっ」
ガツッ
と沙織さんの悲鳴が聞こえたのとほぼ同時に何かが地面の上を飛んできて足元の方で音がしたのですが、そっちを見てみると前方1mほどの地面で黒いものがピクピクしながら横たわってますけど……え?これって、もしかしてペンギン?
「フンッ」
と思っていたら横から楓さんがダガーを一突きして倒してくれました。
倒した後にひっくり返してくれたのですが、やっぱりどう見てもペンギンですね。
そうそう、鑑定してみましょう。
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種族:エンペラーペンギン
レベル:1
ステータス
HP:0/5
MP:2/3
筋力 :4
知能 :3
知恵 :4
耐久力:6
敏捷度:16
器用度:7
魅力 :12
運 :3
スキル:突進
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あ、鑑定できた。でも、エンペラーペンギンって……もしかしてコウテイペンギン?
え、何でこんな所にいるの?
「これって、ペンギン?」
「エンペラーペンギンだって」
「ふーん……って知佳ちゃんわかるの?」
「えっと、鑑定してみたらできちゃった、えへっ」
「あー、敵を鑑定するっていうのもあったかー、もっと早く思いついていれば他の敵もどんなのか分かったのかな?」
「た、たぶん……ごめんなさい」
「いやいや、私達も知佳ちゃんが鑑定できるの知ってて思いつかなかったんだから同罪よ?でも、これからは敵が出たらなるべく鑑定して、その情報をメモしておいてね?」
「はーい。ちなみにエンペラーペンギンのは見たんだけど、見えた事に驚いたのと、驚いている最中に消えちゃったのでよく覚えてないです……」
「まぁそれは仕方ないよ、見れるかどうか半信半疑だったんだろうしね。でも次からの敵は知佳ちゃんがメモ取るまで倒すのは待った方が良いかな?」
「そうですね、そうなると次の敵からはついでに防御の練習も兼ねるって感じですかね?」
「となると、沙織さんは一回下がってもらって知佳ちゃんの護衛メインって事で良いかな?」
「わかりました。知佳さんは何があっても私が守って見せます!」
「あと今ちょっと思ったんだけど、知佳ちゃんの手前1m位の所で敵止まったよね?あれってやっぱり結界とか言うのに阻まれたのかな?」
「どうなんだろ?わたしも良く分かんないけど、たぶんそうなんじゃないかな?」
「知佳ちゃんに衝撃とかはあったの?」
「何にもないよー、何かが飛んできてガッて何かがぶつかったような音がしたなーと思ったらそこにペンギン倒れてたの」
「ふむふむ、という事は結界に敵が阻まれても知佳ちゃんには影響はなし……と。あとはその結界がどのくらいの強度があるか、だよね。いざ受けました、結界が持たずに知佳ちゃんに攻撃が当たりましたじゃ意味ないからね」
「その辺に関しては、結界の範囲が広がってから色々試すしかないわね」
「それにしても……」
「ん、どうかしたの?」
「んと、飛んできたように見えたのって、やっぱりペンギンだから地面を滑ってきたのかなって」
「あぁそう言う事?んー、かなり低い位置だったしそうなのかもしれないね」
「ですね、私も危うく足に当たりそうになって左足をあげたのですが、それで当たらなかったって事は地面を滑って来ていたんだと思います。でもそれがどうかしたの?」
「いや、ここの地面ってそれなりには平らだけどつるっつるってわけじゃなくて、どっちかって言うとコンクリートとかアスファルトって感じじゃない?」
「そうだけど、それが?」
「ペンギンさん、おなかいたくないのかなーって……」
「あ、あははははは、そうね、その辺はどうなんだろうね?」
むぅ、気になったから聞いてみただけなのに笑われちゃいました。
「あはは、あーおかしい。でもさすが知佳ちゃんね、敵の事も心配するなんて」
「いや、心配はしてないよー?ただ単に痛くないのかなって思っただけで」
などという一面もありましたが、新しい攻撃方法?の敵が出たという事で皆さん改めて気を引き締めて探索の続きをすることになりました。
ちなみにペンギンの突進速度は玲子さん曰く時速60km位あったんじゃないかって言ってました。
ペンギンってそんなに早く移動できるんですかね?それともペンギンとは言ってもダンジョンに出てくるのは所詮モンスターって事なんでしょうか?
そして敵を求めてさ迷い歩く事数分……次に出てきたのは待望の犬でした!
しかし残念!沙織さんは前から引いた後なのです!と思っていたのですが……
「私が前に出ます、そして突進を受け止めるので知佳さんはその間に鑑定を!」
うわ、ちょっと待ってー、急にそう言われても……
と思っていると、そのまま沙織さんは一番前に走っていきそのまま犬の突進を受け止めました!
ちょ、怪我とかないよね?ヒール必要?大丈夫?
でも、様子を見た感じ痛がってはいなさそうなので、私はやるべきことをやりましょう。と言う訳で鑑定!
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種族:ウルフ
レベル:1
ステータス
HP:4/4
MP:0/0
筋力 :6
知能 :2
知恵 :3
耐久力:4
敏捷度:8
器用度:4
魅力 :6
運 :5
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おぉぉぉ、犬かと思ってたらウルフ、オオカミでした!
って待って、沙織さん今抱き着いてるよ、オオカミに抱き着くとか大丈夫なの!?
と思ったら、二の腕にかみつかれてるぅぅぅ
「ヒールヒールヒールゥゥゥ」
「あ、知佳さんメモは終わりました?」
ちょ、沙織さんかみつかれてるのに何のんきにそんなこと言ってるの!?
「あちょっと待って、沙織さんがかみつかれてるの見て思わずヒールしちゃった。すぐメモするね」
そして急いでステータスをメモしてその旨を伝えましたところ、楓さんが横からウルフの喉をダガーで一閃して倒してくれました。
「沙織さん腕は大丈夫なの?」
「はい、痛くもなんともないですよ?この防具本当にすごいですね。一見むき出しに見える腕にかみつかれても自分の手で軽くつかんだ位の感覚しかありませんでした」
「そっか、よかったぁ。てっきり沙織さんの腕にウルフのかみ跡が付いちゃったかと思って心配したよ」
「え、ウルフ?」
「うん、今までずっと犬って思ってたけど、鑑定したらウルフって出たから犬じゃなくてオオカミだったみたい」
そう言うと、たった今かみつかれていた沙織さんもさすがに少し焦ったようですがすぐに表情は戻りました。
「確かに犬とはちょっと違うかなと思っていましたけどオオカミでしたか。まあどのみち突進もかみつきも全然痛くなかったので問題なしですね」
こうして無事沙織さんの使っている防具の機能確認も行えたのでした。