ゲームの世界ですか?いいえ、現実です(改稿済)
自分の手に鑑定をかけた所突然目の前に吹き出しの様なものが表示され、そこには以下のように書かれていた。
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名前:近衛 知佳
種族:人間
年齢:14歳
性別:女性
LV:1
HP:107/107
MP:113/114
筋力 :6
知能 :14
知恵 :13
耐久力:207(+100)
敏捷度:103(+100)
器用度:15
魅力 :16
運 :15
カルマ:+100
状態:右足膝下神経損傷
ユニークスキル
砦
レアスキル
白魔法
錬金術・全
鑑定・極
補助魔法
生活魔法
貫通攻撃
装備:イージスウェア
魔動車椅子
従魔:ミミ(シーズー3歳メス)
スキル:巨大化
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なんだろう……なんか一部数値がすごい事になってる気がしますよ?
まぁ、見なかったことにしましょう。
『どうかな?良い感じにスキルを付与できたと思うんだけど?』
「そ、そうですね!」
そうですねとは言ってみたものの、わきの下に嫌な汗をかいてしまう。
この異常な数値を見て何と言えと!?
あ、でも錬金術とかはちょっと面白そうかも。
『さて、あとはお楽しみのお宝を……と思ったけど、君のスキルの砦に入れておくので、これも後で確認しておいてくれるかな?ちょっと色々微調整しなければいけないことが発生してこの後忙しいんだ。あぁ、さっきも言ったけどここから出るには後ろの魔法陣に乗れば出方はわかると思うから。それじゃ失礼するよ。良いダンジョンライフを!』
それ以降その声は一切聞こえなくなり、それを待っていたかのようにミミちゃんが咆えだした。
「あー、ミミちゃん喉が渇いてるんだったっけ?じゃ、外出てお水飲もっか」
外に出ようと思い、車椅子の方向を変えようと思ったのだけど、そういえば車椅子もなんかいじったようなこと言ってたけど、特に変わりない…よね?
そしていつも通り車椅子を操作し、魔法陣に乗ってっと……あ、何かが頭に浮かんできた
《 地上に戻りますか? Yes/No 》
「んと、ここでYesって思えばいいのかな?」
すると、エレベーターに乗ったようなちょっとした浮遊感を感じた直後、見慣れた倉庫に出た。
出たんだけど……
「なんでー!?倉庫の中に変な建物出来てる!なにこれ、もしかしてこれがダンジョン?」
なんと、そこには石で出来てると思われる高さ3m、一辺10mほどの四角い建物というか、車庫みたいな感じの建物が出来ていました。
「いや、いきなり倉庫にこんなもの出来ても困るんですけど?てかこれどうしよう」
こまった、こんなもの急に出来ても管理とかどうしたらいいの?
ピロリロリン・ピロリロリン・ピロリロリン
などと考えていると突然スマホが鳴り出し、画面を見るとハウスキーパーの玲子さんからだった。
ピロリロリン・ピロリ…ピッ
こんな時間に珍しいと思いつつも何かあったのかと思い、急いで出る事に。
「もしもーし」
「あ、知佳ちゃん?よかったー、やっとつながった。今の揺れ大丈夫だった?何か問題起きてない?そっち行こうか?」
おおう、怒涛の質問が……心配かけちゃったかな?
「揺れ……は私はあまり感じなかったけど、とりあえず大丈夫だよ。今ミミちゃんとお散歩中なの」
「そっか、よかったぁ。あ、でも心配だから一応今からそっちに向かうわね」
「え?もう夜も遅いし大丈夫だよ?」
いつも仕事の関係以上に私のことを心配してくれる玲子さんには感謝だね。
「でもほら、ガスとかも怖いし?何かあったらと思うと心配で寝れないから行きたいんだけど、だめかな?」
「あー、それじゃ迷惑じゃなければ来てくれると、嬉しい……かな?」
心配してくれる人がいるっていいよね。
私にはもうお父さんもお母さんも、お祖母ちゃんもいないから、玲子さんだけが心のより所なのよね。
「わかった。それじゃすぐ車でそっちに向かうから、棚とかの近くには近づかないように気を付けてね。というか今お外なんだっけ?それじゃすぐ行くからできれば建物には近づかないようにして待ってて!」
「あ、急いでくれるのはうれしいけど、安全運転!ぜひ安全運転で来てください!!」
「大丈夫よ!いつも通り安全運転で行くから、それじゃすぐ行くから待っててね」
ピッ
あー、これはかなり早く来そうだなぁ。
玲子さん、安全運転って言いながらかなりスピード出すんだよね。
まぁスピードが出て怖いって思う事はあっても、危ないって思ったことは無いから大丈夫なのかな?
「さて、まずはミミちゃんにお水だね」
そして水道まで移動し、ミミちゃん用の水皿を軽く洗ってから水を注いであげると勢いよく飲みだした。
「よっぽど喉が渇いていたんだね、ごめんねぇ」
その後、水を飲んで満足したのか、後ろ足で耳の後ろを掻き始めたので玲子さんが来る前に家に戻ろうと思ったのだけれど、もう一度ダンジョンらしき建物を見てその扱いをどうしようかと憂鬱な気分になった。
まぁ、玲子さんが来たら相談してみよう。
「さ、ミミちゃん帰るよー」
そう言うのだが、ミミちゃんは咆えはするけど動く気配が……しかも尻尾を振って愛嬌を振りまくというあざとさ!
「あー、はいはい、疲れたのね。おいで」
ミミちゃんに向かって両手を差し出してあげると、わが意を得たりとばかりに飛び込んで来たので、膝に乗せてあげてのんびりと家まで電動?魔動?車椅子で移動する事にした。
さっきも思ったけれど、改造されたおかげかすこぶる調子がいい。
どう調子が良いのかと言うと、今まではかすかに聞こえていたモーターなんかの音がしないうえ、普通なら地面の凸凹でそれなりに振動があるのだけれど、いまは完全舗装された道を移動するかの如く全く振動が無い。
そんな些細な事にちょっと感動しつつのんびりと家に向かっていると、遠くに車のヘッドライトの明かりが見えた。
きっと玲子さんの車だろう。
電話を切ってからまだ20分も経っていないのにもう着いたみたい。
やっぱりかなり飛ばしてきたなぁ、事故とか起こされると困るんだけど、それだけ心配してくれてるってことなのかな?
そしてわたしが家に着くとほぼ同時に玲子さんの車が目の前に到着した。
そして私の横に車を止めると、窓を開けて
「とりあえず車庫に入れてくるからそこで待ってて!」
と言って、すぐに車を停めに行ってしまった。