私が試しましょうか?いいえ、私が試します
皆が「え、お漏らししたの?」といった顔をして私の方を見てきましたが……
違うのー、お漏らしだけどお漏らしじゃないのーーー。
その事を伝えるために、今私が付けている下着がこの車椅子と同じようにダンジョンクリアの報酬として魔改造されていること。
そして魔改造された結果として排泄物消去機能というのがあり、以前ちょっとしたことで漏らしたことがあるのだけど、外に漏れ出る事なくどこかへ消えていった事などを話し、お漏らしじゃないから大丈夫だと何とか伝えましたが……
「ということは、みんなには見ている前でさせて、知佳ちゃんは一人だけこっそりしていたって事ね?」
「え?いや、えっと……」
「そうよぉ~、知佳ちゃんだけしないないんてずるいわぁ」
と、なぜか皆さんから責められてしまいました。
やっぱりこういうのはみんなで同じ事をして結束を高めるとかしないといけないのでしょうか?
だとしたら確かに一人だけ違う事をしたのは良くなかったかも?なので次もよおしたら皆さんの前ですることを決心し、そう伝えたのですが……
「じゃ、じゃぁ次もよおしたら……」
「ふふふ冗談よ。見るも何も、みんな衝立の方を向いているわけじゃないし、そういう意味では知佳さんはわたし達の隣でやってたわけだからね、それでお相子って事で」
「そうそう、それにわざわざみんなの前でする必要はないのにしようとするその気持ちだけで十分よ。真っ赤になった知佳さんの可愛い顔も見れたしね」
「むしろ知佳さんが衝立の向こうでするのは補助が必要って段階でハードル高すぎるからね。そこまで無茶しなくても良いわよ?」
などと、なぜかからかわれてしまいました。
その後魔改造された下着の機能の話の中でオムツの話になったのですが、それが逆に目から鱗だったようでダンジョンに潜るならオムツという選択肢もあるかも?という話になりました。
確かに以前どこかで聞いた話で、自衛隊の戦闘機乗りの人はおむつを付けるとかなんとかもあったような?飛んでる最中に催したら困るしね!
あとは、他の人達がダンジョンを探索する時の男女混成PTの場合のトイレ問題点については、オムツを付けておいて用を足した後はどこか安全な場所でオムツだけ交換というような形にすれば、その場で衝立やトイレを用意して直接用を足すよりははるかに時間の短縮になり、安全性も高いかもしれないですね。
対モンスターにしても、対オオカミ(意味深)にしても!
そしてそんな話の最中に、ダンジョンでは不埒者が出るかもしれないから、たとえ同PTに異性がいなくても他PTとの交流などもあるだろうし、女性用貞操帯などももしかしたら需要が出るかも?と沙織さんが言っていました。
たしかに他人の目がなく、カメラなどの証拠保存もできない、助けを呼んでも期待できない状況だと不埒なことに及ぶ人もいるかもしれないですしね!
この件についても、今日帰ってからの打ち合わせで報告するそうなのですが、伝える時の伝え方には十分注意して!出来れば私の魔改造下着の詳細は内緒にして!!と切に願いました。
ただ、今私が付けている下着の排泄物消去機能について、もしそういう下着なり下着の代わりになる物が作れたらこれまたヒット商品になること請け合いと言われ、いつか錬金術でそういうものが作れたらいいなぁと思いました。
そうしてお手洗い関連についてはいくつかの課題と多少の不安を残しつつも無事終わり、探索の続きです。
お手洗いに行く前にすでに魔法陣の近くまでは来ていたため、その後は1度蝙蝠が襲って来ただけで魔法陣までたどり着けました。
ここまでのドロップは、角ウサギの角1本、角ウサギのお肉(1kg位)1つ、犬の毛皮1枚、魔石8つ、鉄貨2つとなり、なかなかの成績だと思います。
そしてみんなで魔法陣に乗ると相変わらずの表示が
《 何処へ移動しますか? 地上/4階 》
今回は皆の体力が大丈夫な限りは奥まで行ってみようという事になっているので、このまま4階に!
この階も京香さんが先頭に、と思っていたのですがどうやら選手交代のようです。
毎回京香さんばかりが戦っていると他の人が戦いに慣れないという事で、ここでは玲子さんが先頭に行くようです。
たしかに玲子さんには私がフレイムソードと炎竜の革鎧を渡しているのでね、火力的には京香さんに劣るかもしれないですけど、防御面では京香さんとは比べ物にならないでしょうから、多少の事があっても大丈夫でしょう。
とそこまで考えて思ったのですが、このPTって誰もダンジョンで攻撃を受けた事が無いんですよね。
敵の攻撃を受けるとどのくらい痛いんでしょうか?
それって、試してみた方が良いのか、危ないから試さない方が良いのか……
悩んだ時は人生の先輩に聞いてみましょう!
「ねーねー、ちょっと疑問に思ったんだけどね」
「どうしたの知佳ちゃん」
「えっとね、まだ誰も敵の攻撃って受けてないじゃない?」
「そうね、あの程度の動きじゃ食らわないわね」
「でね、もし受けたらどのくらい痛いのかなーって思ったんだけど、そういうのは試さなくていいの?」
「「「……」」」
沈黙で耳が痛いですよ?
みんなでお互いの顔を見て「言われてみれば!」的な雰囲気を醸し出していますね。
もしかして誰も考えてなかった?それともあの程度だと当たらないのが当たり前なので、逆に受けてみるって発想にならなかった?
でもここでどのくらい痛いのかを把握しておかないと、後になればなるほど敵の攻撃って痛くなると思うんですよね、ゲーム的には!
ここが現実世界っていうのは判るけど、どう考えてもゲームをまねている気がするので敵が弱い内に攻撃を受けてどの位痛いのかを試しておく必要もあると思うんですよね。
すると楓さんが意を決した表情で
「それじゃ、次の敵が来たら私が、私が受けてみるわね」
「いえ、それなら私が。わたしなら知佳さんから防具も借りていますし、この防具に覆われていない肌が露出している部分の防御も試してみたいですから」
「それなら私も借りてるし、次の隊列はわたしが先頭だから私が試してみるよ。知佳ちゃん、もし怪我したらヒールで治してね」
と沙織さんや玲子さんが続いたのですが、そこでなぜか魔法の防具を装備していなければ、配置的にも後ろに回った京香さんも続いて
「それなら、今までさんざん私が前にいたんだから、私が受けてみておくべきだったと思うの。だから私が受けるわ」
と言ったかと思うと他の皆が声をそろえて
「「「「どーぞどーぞ」」」」
と、有名な漫才を始めました。えっと……これはどう反応すればいいのでしょうか?京香さんも裏切られた!って顔をしてますよ?
「えー、なんでよー。そこは葵さんがそれじゃ私がっていう所じゃないのー?」
と言っていますが、ほかの人達はしてやったりって顔をしてくすくす笑い出し、私もつられて笑ってしまいました。
その後年の功なのか、はたまた私が貸した防具への信頼なのか玲子さんが
「冗談よじょーだん。やっぱりここはわたしが受けてみるわね。その後大丈夫そうなら経験を積むという事でみんな受けてみましょう」
という事になり、結局最初は玲子さんが受けてみるという事になりました。