ここはゴミ屋敷ですか?いいえ、私の実家です!
夜ご飯後のお茶の時間に今日の学校での話が出ました。
というのも、美雪伯母さんの方から今日の試験の監督をした先生が学校で普段どういう人で、周りの人からの評価はどうなのかを沙織さんに聞くためです。
そして沙織さんからの話はと言うと
・教え方は上手
・体育祭なんかでも比較的積極的に動く方だったと思う
・でも生徒からはあまり好かれていないイメージ(特に女生徒)
・ちょっと陰険な性格が見受けられる(この辺が好かれない原因かも?)
・時たまいやらしい目線で生徒を見ている事が有るという噂がある(あくまでうわさで聞いただけ)
ここまでの話を聞いて、曾お婆様とお婆ちゃんは何かに気が付いたのか反応してきました。
「今日学校で何かあったのかえ?」
「ええ、じつは……」
と美雪伯母さんは今日の転入試験の時にあった事を話しました。
それに対する二人の反応はと言うと
「試験中に生徒に質問を投げかけるとか、何を考えてるんだそいつは!」
「それよりもその後さね、言い訳して知佳ちゃんに責任を押し付けようとしたうえ、転入させるわけにいかない?その先生はあくまで試験官であって責任者じゃないんだろう?」
それに対する美雪伯母さんの回答はと言うと。
「聞いた話だと、新年度から学年主任になる予定の先生で、自分が受け持つ学年に転入するのだから自分が試験官をやりますと買って出たと聞いています」
「ふん、一見仕事熱心な先生に見えるけど、それで知佳ちゃんが二条家とどういう関係があるのかを聞いて来たって事は野心家って事だね」
「え?私に質問すると野心家なの?」
「そうさ、知佳ちゃんと私たちの関係次第で知佳ちゃんに取り入って学園内での立場を強化しようとしたんだろうよ」
「ふえっ、なんで私に取り入って学園内での立場が強くなるの?」
私なんかに取り入ってもなにも良い事ないですよー?
「そりゃぁ、うちはあの学園に多額の寄付をしているからね。うちらからの覚えが良くなれば学園内での発言力も強くなるだろうさ」
「沙織はとりつく島もないからね、あっはっはっは」
「まぁ、そうさね。二条の人間に直接媚び売れば周りから見てもバレバレだしね」
「それで試験中に質問攻めかい?ちょっとおつむが足りないんじゃないかねその先生様は」
「そうですね、その時もしばれなかったとしても、あとから知佳ちゃんからクレームが入ったらどうするつもりだったんだろうね」
「そこはあれじゃないでしょうか?自分は学年主任、周りからの評価も……まぁ本人は悪くないと思ってるでしょうし。対して知佳ちゃんは前の学校の評価では大人しくて内気、しかも中学生の子供だ。どっちを周りが信じるかと言ったら自分だと思ったのではないでしょうか?」
「まぁそんなところだろうねぇ。それにしても、最初の足の件を質問したのは100歩譲って心配しているからと取れない事も無いが、その後回答がないからって繰り返し質問しているのはいただけないね。しかも試験中だからね」
まぁ、普通に考えれば私みたいな子供と先生の言う事なら、普通は先生の言う事を信じますよね。前の学校でもそうだったし……
「とりあえずは学校側の処分の内容次第ですかね?今更ほかの学校へと言っても知佳ちゃんを他に行かせるなら沙織も一緒に転校させるべきだし、その先生の件を抜きにして考えれば今のところあの学校以上の好条件なところはないしねぇ」
「と言う訳なんだけど、知佳ちゃんはどうだい?あんな先生のいる学校は嫌かい?」
「んー、とりあえずあまり関わってこないなら大丈夫……かな?あれよりもっとひどい先生、前の学校にいたし」
「ま、その辺はこっちからも言っておくからとりあえずは我慢してくれるかえ?」
「うん」
「何にしても学校がどういう処分を下すかかね」
「そうですね、その結果次第で最終的な対応を考えましょう」
そうしてとりあえず転入することはほぼ確定しましたが、それでも学校側の今日の事に対する対応次第では変わりそうな感じになりました。
その後少しして玲子さんが帰って来たのですがかなりお疲れの様子です。
なので、お風呂に入った後にヒールと状態異常回復をかけてみたところ、ヒールはほとんど効果が無かったのですが状態異常回復がそれなりに効果がある事が判明しました。
そして翌日、またまたダンジョンアタックに!
今日はミミちゃんはお留守番しててねとお願いしたところ、一昨日行ってとりあえずは満足したのか、出かける時は大人しく曾お婆ちゃんに抱っこされてました。
そして出発前にわたしの異次元倉庫にいくつかの荷物を入れてほしいと頼まれ、その内容はと言うと
・携帯トイレ2種類(小専用、大小兼用)
・衝立
・キャンプ用マット
・キャンプ用テーブル・椅子
携帯トイレは当初便座等のある組み立て式の物を想像していたのですが、なんとビニール袋を使用する小型のものが世の中あって、それの使用前の物だけで良いから私に持って行ってほしいそうです。
ちなみに使用後の袋は各自が責任をもって持ち帰るとの事。
ダンジョンとは言え、中で廃棄はいけませんよね!
したら片付ける!ペットの飼い主としてもしたまま放置は許せませんよ!
衝立は高さが1mほどの物、用を足す時はこれに隠れろという事ですね。
キャンプ用マットは表面が銀色で折りたたまれている物、これの折りたたみ方で座布団にも敷布団にもなるのだとか。
休憩の時に石畳に直接寝っ転がるよりもいいだろうとの事でとりあえず持って行く事に。
テーブルとイスはお昼用かな?
これらの品々は今後他の人達がダンジョンに入る時にどのくらい有用かというのを調べる意味もあるそうで、今後も持って行くかどうかは未定だそうです。
高志伯父さん辺りがさっそくダンジョン関連の商品戦略を考えているのでしょうかね?
そして第三回ダンジョンアタック!……の前に、どうやら実家の方に一度寄るそうです。
あの惨状を再び見るのは嫌なのですが、どうやら私が行かないとどうしようもない事があるらしく、仕方なく行くことに。
そして「あの惨状を見たくないなぁ」と落ち込んだ気持ちで玄関までいき、玲子さんがドアを開けてくれたのですが……
あの惨状が何処にもありません!
え?どういう事?一昨日はあれだけゴミ袋の山であふれかえっていたのに、今はゴミのかけらも無いですよ?
「……え?あれ?ここ……私の家……だよね?」
「そうよー、昨日業者の人を呼んでね、頑張ってお掃除したの!」
「あ……玲子さん、それで昨日あんなに疲れて……」
その話を聞いてまたまた涙が、それも一昨日とは違う嬉しさからくる涙が出てきました。
そしてわたしは嬉しさのあまり、片方の足しか自由にならないにもかかわらず思わず玲子さんに飛びつき
「あ、あ゛じがどう゛ぅ~~~~~~~」
と、泣きながらお礼を言いました。
そうしてしばらく玲子さんに抱き着いたまま泣いていましたが、玲子さんはわたしを抱きしめながら優しく頭をなでてくれて
「知佳ちゃんの大事なお家だからね。綺麗にしてあげないとって思って、二条のおばさまにお願いして掃除のプロを頼んでもらったの。それでゴミとそうじゃない物の判別のためにわたしもね」
「う゛う゛うぅぅぅぅ~~~~」
「ほらほら、もう泣かないの……ね?」
「う゛、うん……ぐすっ」
「玲子さん、本当にありがどう」
「ふふふ、どういたしまして。これで今日のダンジョン探索も心置きなくできるでしょ?」
「うんっ」
こうして今日は朝から玲子さんにサプライズで泣かされたのですが、とても嬉しいサプライズでした。
そして呼吸が落ち着き、少し離れで休んでからいよいよダンジョンアタックです、頑張りますよーーー!