もう一度ダンジョンに行きますか?いいえ、帰ります
その後、さすがにあの家に入るのはさらなる惨状を見るだけだろうとの事で離れに戻る事に。
一応母屋の水回りは葵さんが玲子さんから場所を聞き、最低限水を流してきてくれるそうです。
「どう?少しは落ち着いた?」
「うん、ありがとう玲子さん」
「それにしてもあそこまで酷い状態にするなんて、あいつらはホントどうしようもないわね!」
私の事なのにこんなにも怒ってくれる玲子さんには感謝の気持ちしか浮かびません。
そして、お茶をしつつ気持ちを落ち着けるために皆でしばしまったりしていました。
さんざん泣いて少しは気が晴れたし、お婆ちゃんとの思い出の離れは無事だし、実家の中もゴミの山になっているとはいえ片づければ良いだけ……
今度時間をもらって片づけにこよう……うん、そうしよう!
そんな中、今日はもうダンジョンに潜る雰囲気でもないし、二条家に帰ろうという流れに。
わたしも皆には申し訳ないのですが、多少気が晴れたとはいえこんな気持ちでダンジョンという危険がある場所に行く気にはならないため素直に帰る事にしました。
「せっかく調子よく進んでいたのに、私のせいで途中で中断になってごめんなさい」
「気にしないで、それなりに進めて新しい情報が手に入ったし、やらなきゃいけないことも出来たからちょうどよかったわ。ね、京香?」
「そうですよー、ダンジョンの中でお手洗いが無いのは大問題です!そこを何とかしないと続けて潜るなんてできませんよー」
「ふふふ、そうですね」
と、皆さん気を使ってくれているのが申し訳ないのですが、その気持ちを無駄にしないためにも早く立ち直らないとですね。
その後の帰りの車内は沈黙に包まれたまま二条家へ。
私は気分がすぐれないので夕飯までお部屋でお休みさせてもらう事にしました。
さきほどさんざん泣いて疲れたのもあって、部屋に戻りベッドで横になるとすぅっと意識が……
……
体がゆすられる感覚と、誰かが私を呼ぶ声が……
聞いた事のある声……その声をもっとよく聞きたくなって声のする方へ意識を向けると、そこには玲子さんの顔が。
「知佳ちゃん……おはよう、ぐっすりだったね。もうすぐ夕飯だから、そろそろ起きて顔洗ってね」
「おはよー、寝たら気分すっきりしたー」
夕飯の席は今日の話を聞いたのか皆さんの雰囲気がちょっと……せっかくの美味しい夕飯なのに、私のせいで申し訳ないです。
そんな私の表情から何かを感じ取ったのか食後のお茶の時間に曾お婆ちゃんが
「知佳ちゃん、私たちがもっと早く行動を起こしていれば……本当にごめんなさい」
と頭を下げて謝ってきました。でも、それは違うと思うの、悪いのは全部あの人達とあの人達から逃げた私。なので
「曾お婆ちゃん、曾お婆ちゃんのせいじゃないよ、悪いのは全部あの人たちと、あの人たちから逃げた私のせいなの」
「お母さま、それを言うなら私こそです!春香の子を守れなかったのは私の責任、こんなことじゃあの世に行った時に春香に怒られちまうよ」
「お婆様……わたしは大丈夫です、お家が無くなったわけじゃないから、ただ散らかってただけだから……。だから、片づけたら元通りだよ?」
「そう……そうだね、散らかったら片づければいいだけだね」
「うんっ、だから大丈夫!」
「そっか。そっか……」
そういって目元を抑え、涙をぬぐう曾お婆ちゃんとお婆様が、その隣には膝の上に置いた手を固く握りしめうつむいているお爺ちゃんと高志伯父さんの姿が……
みんな私のために怒ったり泣いたりしてくれてるのかな?これが、家族の暖かさなのかな?
今日の食後のティータイムは、そんな家族の暖かさを教えられたひと時でした。
そしてその後のお話で、今日のダンジョンアタックの結果報告はすでに葵さんから受けていること、明日はダンジョンアタックがお休みな事、代わりに春から転入予定の学校の転入試験がある事を教えられました。
今日のダンジョンアタックの報告は任せてしまったけど、まぁいいです。
明日のダンジョンアタックのお休みは、私の試験もあるし今までの情報をまとめたり、追加で必要になったものの準備などをするようで、これもいいです。
それより転入試験ですか、聞いてないですよ?急に言われても勉強してないよーーー!
私が二条家でお世話になる事になったための転校ですが、その学校は私立だそうで前の学校の成績表をすでに提出してあるそうなのですが、一応転入試験を受けないといけないのだとか。
お婆様からは前の学校の成績を見る限りだと問題ないだろうとの事でしたが、何の準備もなしに試験とか言われても困っちゃいます。
かといって、試験範囲とかが分かるわけでもないので一夜漬けするわけにも行かず、なるようになれの心境で明日の試験に挑むことになりました。
そしてその後、お部屋へ戻ってミミちゃんをもふって気晴らししつつ、玲子さんとまったりお話して過ごしました。
明日は10時までに学校に行けばいいらしいのでね、夕飯前に寝たのもあるのでちょっとだけ夜更かしです。
そしてその会話の途中で今日のダンジョンの話になり、その流れからダンジョンカードを確認したのですが、見事にレベルが上がっていました。
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名前:近衛 知佳
識別コード:JPN0000000001
レベル:8
カルマ値:+101
ステータス
HP:121/156(↑35)
MP:142/212(↑70)
筋力 :10(↑3)
知能 :23(↑7)
知恵 :22(↑7)
耐久力:211(↑3)(+100)
敏捷度:105(↑2)(+100)
器用度:25(↑7)
魅力 :27(↑8)
運 :25(↑7)
所持DP:53
ダンジョン最高到達階数:2
日本第88ダンジョン:2
踏破ダンジョン数:1
日本第88ダンジョン
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見てみるとレベルが8へと一気に5レベルも上がってる。
そして裏面を見るとダンジョン最高到達階数も2に。
玲子さんはどの位レベル上がったんだろう、前回はわたしが3になっててみんなは2だったけど今回も違うのかな?
気になって聞いてみた所、6レベルになったそうです。
玲子さんは4レベルアップ?この差はいったいどこから?
でも裏面の階数が2になって、カルマの値が1増えたのは一緒なのね。
カルマが1増えたっていうのは、ダンジョンの階層クリア数で増えるのかな?
それともダンジョンに繰り返し入った数?同じダンジョンに連続で入ると繰り返しボーナスがもらえる的な?
もし階層クリア数なら奥に行けば行くほどカルマ値が増える?
でもこの数値、何の役に立つんだろう?裏を見なくても何階層奥まで行ったか分かるって事なのかな?
でもそれだと私の最初の+100って……まさか、ダンジョンが100階層まであって、そこまで行ったことになっててカルマが100になってるとか?
あれ?でもそれだと何度も潜ればどんどんカルマが増えて行く?
で、同じダンジョンに連続で入るとの場合は、1階だけで出入りを繰り返せば増えて行く?
んー、この辺も今後の調査次第なのかな?
それらの事を玲子さんに言ってみたところ、可能性はあるけどまだ分からないと言われた。
その辺も要調査事項という事で明日以降に報告をあげるためにメモをしていました。
まぁ、カルマが何の意味があるか分からないから、それほど調査対象としての重要度は高くないみたいだけどね。
そんなこんなで夜も遅くなり就寝です。
……
あーさー、一晩ぐっすり寝て気分すっきりです!
今日は転校予定の学校に行かなければならないので朝食後はその準備をと思ったら、美雪伯母さまが身だしなみをっ!と言い出しまして現在髪をいじられてます。
とはいえ、私の髪型は肩までの長さの普通のボブカットなんであまりいじりようが無いと思ったのですが、いじる人がいじると変わるものですね!
私の普通顔が少しは見られるようになってます!
なるほど、こういう風にいじると良いのですね、勉強になります。
そしてお洋服はというと、前の学校の制服を持って来てあったのでそれを着て、いざお出かけです!
お出かけ……と思ったのですが、どうやら今日は玲子さんがどうしても外せない用事があるとかで、一緒に来られないのだとか。
代わりと言っては何ですが、葵さんが運転手兼護衛をしてくれるとの事。
中学校に行くのに護衛?と思ったのですが、二条の関係者という事が分かったら狙われるかもしれないと言われると断るわけにも行かず、かつ車じゃないと行けないのでありがたくお願いすることになりました。
そして学園長先生にお話があるとの事で美雪伯母さんと、学校内での私の案内兼サポートとして沙織さんまで一緒に来てくれるとの事。
車に揺られること1時間、めちゃくちゃ立派な学校に到着です!
そして来客口でしょうか?随分立派な玄関がありますがそちらから校舎に入る事に。
さすがに車椅子と言う訳に行かないので、玄関で松葉杖に室内用のカバーを付けてもらい、校舎内の移動では隣に沙織さんがサポートについてくれた状態で学園長室まで移動です。