ここは異世界ですか?いいえ、地球です(改稿済)
「だ、誰?」
『わたし?わたしは地球そのものの意志だよ』
突然声が聞こえてきたので誰か来たのかと思って周りを見回したけど、誰もいない。
この声はどこから聞こえてきているの?
……とりあえず、気になったことを聞いてみよう。
「地球そのものの意志って、なに?」
『言葉そのまま、かな?まぁ、大いなる意思とでも思っていてよ。……あーそっか、さっきの話こっちには聞こえてなかったのか』
さっきの話って何だろう?ミミちゃんのお散歩を始めてからさっきの声が聞こえてくるまで、誰の声も聴いていないんだけど。
『簡単に説明すると、とりあえずここは異世界ではありません。地球に出来たダンジョンの中、その最深部です』
「え、地球にダンジョンなんて出来たの?」
地球にダンジョンって、まるでネット小説みたいなんだけど、そんなことが本当にあり得るの?
『そう、世界各国の資源のバラツキがね。ちょっと偏りが酷すぎて、それが原因で戦争が起こっている状況だからね。地球としてこのままいくと生命が住めなくなっちゃいそうなので、対応策として各国に資源の元としてダンジョンを作っちゃいました』
「作っちゃいましたって……」
この人、頭大丈夫だろうか?そんな理由でポンポンダンジョン作って資源が取れるならだれも苦労しないと思うの。
いや、意外と真っ当な理由な気もするけどね?
『そして、ある程度人々が密集している中で、長期間誰もいない所を作成地点としてマークしていたんだけど、たまたま作る瞬間に君がいてね。そのまま取り込まれて最深部に来ちゃったと言う訳で、それがここ。そして君がそこにあるダンジョンコアに触れた段階で、このダンジョンをクリアしたと認定されたってわけ』
あぁ、あの光る水晶玉はダンジョンコアだったのね。
という事は、さっきのはやっぱり私が原因!?
「わ、わたしはこの後どうなるの?」
『どうなるって、このあとクリア報酬を渡したら君の後ろにある魔法陣に乗れば外に出れるよ。それで、君にはダンジョン初クリア報酬をあげなければいけないんだけど、ちょっと困ってるんだ』
「困る……ですか?」
なぜ困るのだろう?くれるものがあるのならさっさともらって帰りたいんだけど、あれかな?あげなければならないけど、急だからまだ用意していなかったとかなのかな?
『私の予想としては初クリアは5人ないし6人で行われるものと思っていてね、それなりの魔力を用意していたんだ。ところが蓋を開けてみれば君一人でクリアしているじゃない。そこである程度君の希望を聞き入れる余裕がある訳なんだけど、何か希望はあるかな。もしくは困っていることとか?』
そういう事なのね、それなら足を治してもらいたいかな?
なのでそう伝えたのだけれども……
『あぁ、片足が上手く動かないんだね。そうだねぇ、でもそれはダンジョンの深層で稀にドロップするエリクサーを使えば治せる程度の事だし、初クリア報酬に使うにはもったいないかな?』
え、エリクサーを使えば治せるの?
エリクサーってあれだよね、ゲームとかでよくあるけど、出てもなかなか使えないという伝説のお薬!
確かにそんなすごいものがあるなら、私の足も治るよね?
「え、薬で治せるんですか?」
『あぁ、エリクサーだと、ギリギリ行ける?時間がたってるから厳しいかも?上位のハイエリクサーなら確実に治せるだろうね』
「じゃ、それください!」
『いや、ごめん。クリア報酬の宝物はもう決まってしまっていてね。そして初クリア報酬は物ではなくスキルなんだ』
「しょぼーん……」
ぐぬぬ、あげて落すとか、この声の主は鬼畜かっ!
『期待させるようなことをしてごめんね。そうだな、君は他人からの干渉で色々と困っているようだし、その点についてと、安全快適にダンジョンをクリアするためのスキルにしようか』
「他人からの干渉……ですか?それに安全快適にって、それ良いんですか?」
『そう、今現在君の家を他人に乗っ取られたり、他人からの希望しない接触で不快な思いをしたりしているだろう?』
義家族、その中でも特に義兄にはすごく迷惑を掛けられているので、この申し出は私とって願ったりかなったりの内容だった。
「してます、めちゃくちゃ迷惑してますっ!というか、よく知ってますね?」
『まぁ、地球上の事なら大概はね?それに、一人くらいは安全快適にダンジョンを楽しんでくれても良いと思うんだ。決して、その位しないと魔力が余るとかは無いから、そこの所勘違いしないようにね?』
「あ、はい……」
余るんだろうなーこれ。でも、安全快適は望む所なのでありがたくもらっとこっと。
『よし、それじゃダンジョン探索にも使えるという事で、それ系のスキルを今作ってあげよう。もっともそれでも半分位かな?残りの分はどうしようかな』
「あの、ミミちゃんも一緒にここに来たのでミミちゃんにも何か……」
今現在ミミちゃんはわたしに残された唯一の家族だからね、出来ればずっと一緒が良いよね。
そう思ってミミちゃんを見るとミミちゃんもワフワフと同意してくれた。カワユス
『ふふ、そうだね。それじゃその子は君といつまでも一緒に居たい様だから、君の従魔としてずっと一緒にいられるようにしてあげよう。ついでに戦闘能力も少し引き上げておこうかな』
「戦闘能力?ミミちゃんと一緒にダンジョンに潜れって事?」
『そうそう、従魔だとPT人数に影響も出ないしね、戦力UPにはもってこいだと思うよ?』
そう言われたので、ミミちゃんに一緒にダンジョン潜るか聞いてみると、嬉しそうに尻尾を振って同意してくれた。
『あとは、そうだね。普段の移動も苦労しているようだからその椅子を魔力で動くようにしてあげよう。これでダンジョン内でも問題なく移動できるだろう?』
「えっと、ダンジョンに潜ること前提ですか?」
『潜らないのかい?潜らないとエリクサーが手に入らないよ?』
「あー、そう……ですね。エリクサーを探さないといけないのか」
『無理に自分で探さずに誰かから分けてもらうという手もあるけど、自分で探す方が現実的だと思うよ?初クリア報酬のスキルはそのための物でもあるしね』
「そうですね。出来る範囲で頑張ってみます」
そんなすごい薬、他の人に譲ってもらうなんて無理だろう。
そもそもそんなお金もないし、頑張ってミミちゃんと一緒に探すことにしよう。
『そうそう、ついでに下着も魔道具化しておいたから安心してね。それもダンジョンに潜るには便利な機能を付けておいたからね』
「下着も…ですか?」
知らない人に下着を魔道具化しましたとか言われても、全然安心できないんですけど!?
『元のままだと色々と不便そうだったし、微妙に魔力が残っていたからね。サービスだよ』
言われて意識してみると下着の感覚がない。
あれ、着けてなかった?いやいやいや、普通に着けてたよね?どういう事なの!?
『あとは、このダンジョンの初クリア報酬なんだけど、レアスキルがもらえる事になっているんだけど何がいいかな?』
「ま、まだもらえるんですか?」
『そうだね、さっきまでのは世界初ダンジョン踏破報酬で全世界でも先行5PTだけ、これから与えるのはこのダンジョンの初クリア報酬。これはどのダンジョンでも、そのダンジョンを初めてクリアしたPTだけがもらえる物なんだ』
「んー、それじゃお任せで?」
きっとお任せにしておけば悪い様にはしないだろうと、なぜかこの時の私はそう思って疑わなかった。
『あはは、そうだね。それじゃさっきのスキルと能力が被らず、かつ君にとって役に立ちそうなものをこっちで選んでおくから、詳細は後で確認してね』
「えっと、確認ってどうやれば?」
『あぁ、自分のもつスキルに関しては、意識すればどんなスキルを持っているのか、どうすれば使えるのかは解ると思う。そして君にあげたレアスキルは、鑑定・極、錬金術・全、白魔法、補助魔法、生活魔法、貫通攻撃の6つだから、自分に対して鑑定をかければそれぞれの詳しい詳細も解るよ』
言われて意識してみると確かに色んな事が出来るようになっている気がする。
せっかくなので自分を鑑定をしてみる事にして、自分の手を見ながら
「鑑定!」
と言ってみた。すると目の前に吹き出しのような物が突然表示されたのだけど、その感想はと言うと。
「おぉぉ、ふぁんたじぃ~」
そしてそこに書かれていた内容は……