タコ墨は美味しいですか?いいえ、美味しくありませんでした
帰る前にね、一応ダンジョンストアで今日出たドロップ品の登録を試してみたのですが……
「楓さん、タコ墨登録できるみたい……」
「食材はできないんだっけ?」
「いちおう鶏の鶏冠が前に出来たから、絶対とは言えないのかな?」
「逆にいうと、食べる以外に使い道がある可能性のある物は登録できるって事よね?」
「墨という位だから、色を塗るか何かを書くか?」
そうなると、お札……は今のところ確認されていないから、魔法陣?
もしかして、これで魔法陣を書けばまともなものが出来るかもしれないのかな?
だとしたら前に書いたけども燃えた魔法陣のリベンジが!?
「まぁ、3つ出てるから1つはお料理に使ってみる?」
「そうする。残りはどうするの?」
「魔法陣を書くのに使ってみようかなって」
「あぁ、その使い道もあったわね」
というわけで、2つはキープです!
……
お家に帰ってきて、夕食後の報告会での話なのですが。
「タコが出たんだ」
「これがそのタコ足かね?」
そう言って高志伯父さんはタコのお刺身をしげしげと見た後、パクリと口に。
実はこの報告会ではタコ足が薄く切られ、お刺身状にしたものが出されているのです!
そして私はというと、もにゅもにゅ噛みながら報告内容を聞いています。
そう、報告は玲子さんに任せました!
あ、うなずいたり首を振ったりして会話にはちゃんと参加していますよ?
「なかなか味が濃くて美味しいわね」
「硬さも適度でいいね!」
「かなり上物ですねこれは」
などと、皆の評判も上々です。
わたしはね、タコ足はわさびをちょっと入れたお醤油を付けるのが好きなんですけど、薫さんはどうやらポン酢醤油を付けています。
「薫さん、それどんな感じなの?」
「タコの旨味が分かりやすいというか、お醤油とはまた違った美味しさがありますよ」
「ふむふむ……ちょっと付けてみていい?」
「どうぞ」
そう言ってお醤油皿を差し出してくれたので、ちょっと付けさせてもらいました。
すると……
「おぉ、これはこれでタコの甘みが増すというか……」
「でしょう?お醤油も良いですけど、私はこちらの方が好きですね」
そう言ってニコニコしながらタコをもきゅもきゅしています。
なるほど、タコのお刺身一つとっても色々と食べ方があるのですね!
そしてタコ墨ですが、楓さんが料理長と色々試してみたそうですが、結果は惨敗。
素直にイカ墨を使う方が良いそうです。
「それにしても、タコの頭に岩が張り付いているのか。それは倒すのが大変そうだね」
「そうですね。足でのまとわりつきや、振り回し攻撃をかわしながら葵にその岩を殴って剥してもらい、その剝れた所を攻撃するという方法が今のところ安定していますね」
「知佳君の弓矢ではだめなのかね?」
「さすがに普通の矢でははじけてしまって岩を抜けませんね」
「あら、タコなら目と目の間が弱点よ?」
「え……?」
「しらなかった?目と目の間の奥に重要器官があってそこを突けば一発よ?」
ほうほう、それは知らなかったです。
でも、目って有ったっけ?
「目ってあった?」
「岩の隙間からのぞいていた気がしますけど」
「岩の隙間に目がありましたよ」
そう、あのタコは岩から足が生えているんじゃ?という姿だったので、今にして思えばどうやってこっちを見ているのかが謎でした。
しかし皆に聞いてみると、どうやら岩の隙間から目が見えていたそうです。
私はてっきり足の下に目があるものだとばかり思っていました!
「それじゃ次はその目を狙って射ってみようか」
「そうね、上手く行けばそれで倒せるかもしれないね」
「いっその事頭の岩にロープを引っかけて、足の中心を見えるようにすれば頭の岩をはがさなくても上手く攻撃できそうですけどね」
なるほど、そういう手もありますね。
でもタコですし、吸盤で地面に張り付きそうな気もしますよ?
「まぁ、うちらは現状問題なく倒せてるし、新しい倒し方は特に考えなくても良いんじゃないかな?」
「そうですね。知佳さんに目を狙ってもらう位は試しても良いかもしれませんが、頭にロープを引っかけてというのは色々大変そうですし、止めておきましょう」
そんな感じで、タコの弱点を知れたのですが、結局はスルーすることに。
その後は採掘の話になったのですが、鉄鉱石の鉱脈は崖などの表に露出している場合もあれば、地面の場合もあるそうで、ネットで一度どういう所があるのか調べてみてはどうかという話になりました。
また、明日はどうするのかを聞かれたので、のんびりしつつポーション作成や、前に一度失敗した魔法陣作成なんかをやってみようと思っている旨伝えました。
「魔法陣って、前燃えたやつだっけ?」
「え、えへへ……あの時は、紙もインクも普通のを使ったから駄目だったのよ。今回は羊皮紙とかタコ墨使ってみるからたぶん行けるかと……」
「たぶんねぇ。一応やる前に一声かけてね?」
「え?でも玲子さん明日お休みじゃ?」
「お休みよぉ。だから知佳ちゃんの面白行動見て疲れをいやすの!」
「面白行動って……普通にいろいろやってるだけなのに」
などと玲子さんがひどい事を言ってきますが、まぁ二条家に来る前からしょっちゅう一緒にいたのでね、ありがたい事にいつも一緒にいるのが当たり前に感じちゃっています。
そのおかげで、お祖母ちゃんが亡くなった時も、寂しくはあったけど我慢出来てたんだと思います。
「そうか……また新しい薬が出来たら教えておくれ」
「知佳さん、例のの治癒水と治癒軟膏をね?
どうやら治癒水も治癒軟膏もかなりの人気の様子。
そしてその人気は、このお屋敷のメイドさんに限らず、どうやら美雪伯母さんの交友関係でも広まり始めたのだとか……
「美雪、あまりダンジョン産の物を使ったものを広めるのはだな……」
「あなた?そんな事を言ってどうするの?これからどんどん広まっていくのですから、早いうちにうちが広めて、家の物が本家本元と知らしめないでどうするのです?」
なんか、色々と考えているのね。
でもいいのかな?私以外が作ると品質が落ちるんだけど?
「それ込みでよ。始めのうちは試作品と言う事で効果の良い物を。そして後から大半の人には量産品を提供するの。もちろんきちんと説明したうえでよ?でもごく一部親しい人にだけ限定品を……とね?」
そう言っている時の美雪伯母さまはちょっと暗黒面に落ちている気がしました。
そんなこんなで夜も更けていき、今日は寝る事に。
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