落石ですか?いいえ、ちがいます
その後も46階層は特に問題なく出口へ到着。
え、採掘はどうしたのかって?
えっとですね、実はそれっぽい場所を探したのですが、特に見つからなかったのですよ。
というのも、実は誰も鉄鉱石の鉱脈というか、そういうのを見たことがなくてですね?
どこを掘ればいいのかさっぱりなので、途中玲子さんが適当な場所を掘ってみたりもしたのですが、その結果取れた岩はただの岩でした。
もちろん、私も色々な場所で鑑定をしてみたのですが、特にこれっていう物は見つからずじまいでしたので、46階層での採掘はあきらめる事に。
まぁ、本当に鉱石の取れる場所があるのかどうかもまだ不明ですしね。
そして47階層です。
ここも坂の勾配が若干きつくなってきたかな?という気はしますが、46階層と特に変わりは無い様子。
新たな敵は何でしょうかね。
また前みたく突然魔法を使われると危険なので、周りには十分注意して進むことにしましょう。
そうして警戒して進んでいると……
「ねぇ、あの岩動かなかった?」
「どれ?」
「あれあれ」
そう玲子さんが言うので指さしたほうを見たのですが、特に動いてはいない様子。
「また亀かな?」
「亀にしては形が違わない?」
「たまたま動いただけでは?」
「あー、もしかしたら落石とかもあるのかな?」
なるほど。確かに今までは無かったですけど、落石とかもあるのかもしれませんね。
でも、ダンジョンの中で地震は起こったことがないので、何を契機に落ちてくるのでしょう?
重力に負けて?
それとも、支えている土台の劣化?
はたまた、モンスターが落としてくる?
いづれにしても危険な事に変わりは無いですね!
そしてその玲子さんが指さした岩をしばらく見ていたのですが、確かに動きました。
しかも落ちるとか転がる感じではなく、確実に横に移動している感じです。
でも上下運動がなくただ単に横に移動しているって、どういう事でしょう?
「確かに動いてますね。でも何でしょう……生き物の動きではない気もしますが」
「たしかに。生き物なら上下運動や傾いたりも加わりますよね?」
よく判らないので、とりあえず鑑定が使える距離まで近づく事に。
そして鑑定を行うと……
「ロックオクトパスだって。特殊能力はないっぽい?」
「岩ダコ?真ダコじゃなくて?」
「ロックオクトパスだから、岩ダコが正しいんでしょうけど……岩ダコも真ダコも同じだったように記憶していますが……」
「もしかして、岩が張り付いているから岩ダコなんじゃ?」
結局遠くからではわからないと言う事でさらに近づいたのですが、その全体像が明らかになると
「頭に岩を張り付けてるのか、はたまた岩をかぶってるのか……」
そう、その姿はタコの頭に岩がびっしりと張り付いていて、見た目だけで言えば岩にタコの足が生えたという姿でした。
「なるほど、岩から足が生えてるから岩ダコか……」
「も、もうちょっとこう、ネーミングセンスをですね?」
まぁ、敵なことに変わりは無いのでね。
「あ・た・れっ」
その岩の中心を狙っていったのですが、見事矢がはじけました。
「あー、やっぱり硬いねぇ」
「向かってきます!」
「やっぱり亀みたく岩の中に隠れるとかはできなさそうね」
敵が近くにいるというのに、皆結構冷静に観察していますね。
まぁ、移動速度は遅いですしね。
そう思っていると、葵さんがおもむろに爆砕君を取り出して突っ込んでいきました。
そして振りかぶりざま頭を爆砕君で叩き潰したのですが
「岩が剝れたね」
「張り付いていただけみたいですね」
「知佳ちゃん、今よ!」
「あ・た・れっ」
射った矢は見事命中したのですが、今度は矢が向こうに突き抜けていっちゃいました。
「あー、やっぱりあまり効果ないかぁ」
「なんでー?頭撃ち抜いたのにっ」
「知佳ちゃん、タコの頭は頭であって頭じゃないのよ?」
「どいう事なの?」
なんでもタコの頭は実は胴体で、中には内臓が入っているのだとか。
たしかにそれじゃあ一撃で倒せないですね!
「というわけで、私たちの出番ね!」
「はいっ」
そう言って玲子さんと沙織さんが突っ込んでいき、岩の剝れた部分を攻撃し見事倒しました。
途中ね、玲子さんがタコの足につかまれそうになったりもしましたが、それは見事に躱していました。
「こいつ、岩が付いている部分が硬いだけで、特に脅威という感じでもなさそうですね」
「私たちはその岩を剥せたからね。もし剥せなかった時どうなのかが気になるわよね」
「それじゃ、次は岩が付いたままでやってみましょうか?」
「そうね、その位はやってみてもいいかもね」
そしてドロップは、魔石、墨、タコ足1本でした。
「タコ足?」
「食材かな?」
「結構大きいですね……」
その大きさは、一番太い所で太さ5cm、長さは50cmほどもあるでしょうか?
これは、お刺身にして食べるのが良いのかな?
「これだけあれば、何個たこ焼きが作れるか……」
「薫さん、もしかしてたこ焼き好き?」
「はい、大好きです!」
なるほど、関西方面出身だったはずだし、そのせいかな?
「あ、出身は関係ないですよ?」
「え?私また顔に出てた?」
「いえ、こちらに来てタコ焼きをしょっちゅう食べていたらよく聞かれたので」
「なるほど、みんな思う事は一緒……と」
「まぁ、タコ焼きも良いですけど、刺身やほかの海鮮系のお料理にも使えますしね」
「それよりも問題は味よ味!お刺身にするなら今少し食べても……」
「玲子さん、一応持って帰ってからにしましょう?」
どうやら玲子さんはお刺身で今食べたいようですが、お家帰ってから皆で、ですよね。
「玲子さん、タコ刺しをおつまみに一杯やる方が良いかと思いますよ?」
「それだ!」
どうやら葵さんと玲子さんは、今晩はタコのお刺身をつまみにしてお酒を飲むようです。
明日はお休みなので、それもいいかもしれませんね!
私?私はもちろん、お茶で参加です。お酒は二十歳を過ぎてから!
実はタコ刺しのくにゅくにゅ感と、噛めば噛むほど味が出てくるのが好きなんですよね。
「誰も墨には注目しない」
「え?だって墨は食べられないでしょ?」
「イカ墨みたく、タコ墨でパスタを作る手も」
「あー、その辺どうなんだろう?」
「タコ墨料理って見た事ないですよね」
「タコ墨料理は、取りづらいのと普通には流通していないから一般的でないだけで、食べられないわけではないですよ?」
「へぇ、さすが薫さん物知り」
そしてこのタコ墨は、楓さんがイカ墨パスタみたくして食べてみるそうです。
そしてその後、出口へ行くまでに何度か岩ダコと戦ったのですが、玲子さんは結構戦いづらそうでした。
逆に沙織さんは槍なので、かなり戦いやすいと言っていたのが印象的でした。
そんなこんなで47階層の出口へ無事到着、もうお昼をだいぶ過ぎちゃっていますが、ここでお昼にすることにしました。
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