戦いますか?いいえ、戦いません
「中世の悪魔……ですか?」
「そうそう、あんな顔だった気がする」
「私としては、バフォメット……でしょうか?」
「バフォメット?」
「えぇ、悪魔の名前です」
「へぇ~」
なるほど、あの悪魔はバフォメットっていうんですね!
「ていうかさ、知佳ちゃん」
「ん?」
「あれ、普通に黒山羊の顔じゃないの?」
「え?黒山羊なの?」
「まぁ、バフォメットは黒山羊の頭に人間の体が基本でしたか」
ほうほう、それじゃ岩の上から顔だけ出しているアイツが黒山羊なのかバフォメットなのかまだわからないと言う事ですね。
というのも、まだ結構距離があって鑑定が利かないんですよね。
「あれ、どうしようか」
「んー、動く気配ないしどうしようかね?」
せめて敵から近づいて来れば倒すんですけど……
「まぁ、時間あるしやるならやってもいいんだけど」
「焦って今やる必要もないですし、そろそろ出ます?」
と言う事で、黒山羊バフォメットは次回と言う事になりました。
その後KD対策本部へ寄って報告なのですが。
「今日はお早いですね」
「たまにはね。といっても、キリが良いから上がっただけですけど」
「なるほど。とはいっても、皆さん連日入りすぎではないですか?もう少し間をおいてお体をいたわったほうがよろしいかと思いますよ」
「その辺はね、ちゃんと考えてますので」
などと、阿方さんにまたもや心配されてしまいました。
もっとも週に二日お休み取る予定なのでね、阿方さんの心配も杞憂に終わるのです!
そして早く帰ってこれたのでね、さっそく合成を試してみようかと思います!
まずは、特別に作ってもらったオールステンレス製の矢と、ゴールデンイーグルが落とした風切羽根を合成してみましょう。
合成してみようと思ったのですが……出来なくはないみたいですがどうやらいまいちになりそう。
んー、ダンジョンストアで矢を買ってきた方がよかったかな?
でも、いまさらだし、とりあえず1本やっちゃいましょうかね。
矢には羽が3枚出ているのですが、どうやら使う羽根は1枚で良い様子。
まぁ、矢に使われている羽根と比べるとかなり大きいのでね。きっと特殊な力が働いて何とかなるんでしょう。
「というわけで、合成を……」
どうやら使うスキルはアイテム作成に分類されるみたい。
右手に矢羽根を外した矢を持って、左手に風切羽根をもって、出来上がりをイメージして……
「合成!」
すると、ぴかっと光ったかと思うと見事矢に矢羽根が付きました。
鑑定の結果はというと、魔物素材を合成した矢となっています。
効果は、どうやら速度がUPして結果ダメージも上がる様子。
「知佳ちゃんどんな感じ?」
「んと、速度UPとダメージUPみたい」
「どの位強くなったとかわかる?」
「説明だと1.1倍位?」
「1割かー。強いような弱いような……」
そうなのかな?
今までの武器で特定の相手に対してダメージ1.1倍とかあったから、普通に作った矢に合成しただけで1.1倍ならかなり強いと思うんだけど?
「あー、剣とかならかなり強いと思うけど、矢って一回使ったら基本それまででしょ?」
「ですね。回収して次の敵にとなるとまた使えますけど、同じ的には2回使うのは難しいですね」
なるほど、そう言う事なのね。
となると、元からもっと強い矢に合成すれば、さらに強くなるって事ですね!
……元から強い矢って、どうやって作ればいいんだろう?
素材をダンジョンでとってきて作れば良いのかな?
んー、今思いつくのはダンジョン産の鉄を使って矢を作ってもらう?
出来……無くは無いよね?
よし、今度簡易工房に言ったら佐竹さんに頼んでみよっと。
「それで、矢はそれで出来たとして、弓はやるの?」
「弓もやるー!」
そして弓ですが、すでに+がついて強くなっていました。
「ねーねー、なんか弓に+2ってついてるんだけど……」
「+2?強化されたって事?」
「だと思う」
「そう言えば前にも皮ツナギが強化されたと言っていましたね」
そう、最初の頃来ていた皮ツナギも、あまり長く使わなかったけれど強化されていたんですよね。
もっとも、元々の防御力が低かったのでいまいちでしたけど。
「と言う事は、ダンジョン内で長く使うと地球産の素材で作られた武器や防具も、どんどん強化されていくと言う事ですよね?」
「それについては武器開発部門の方でも話題になっていて、長いことダンジョン内で使った武器は、全くダンジョンで使っていない武器と比べて多少強くなっているらしいと言われてますね」
「近いうちに知佳さんに鑑定依頼が来るかもですね」
んー、家に持ってきてくれるなら空いてる時間でやっちゃうんだけどね。
鑑定するだけなら大した手間じゃないですしね!
まぁ、弓も合成しちゃいましょうね。
「んと、弓は風切羽根2枚位必要なのかな?」
「そんなに使うの?というか、弓に風切羽根合成って、どういう効果出るんだろう?」
「尾羽根は合成できないのですか?」
「たぶん無理?極意先生はやるなら風切羽根って言ってる」
「矢と同じように打ち出した矢の速度が上がるとかですかね?」
「とりあえずやってみよう~」
という訳で、弓を左手に、風切羽根2枚を右手に持って
「……どんなイメージすればいいんだろう」
「弓が強くなるイメージは?」
「それって、どんなイメージ?」
「そっか、言われてみればそうね?」
さすがに玲子さんも強い弓のイメージはいまいちない模様。
そしてそんな会話をしていると、薫さんから助言が。
「知佳さん、今は威力をあげようとしてイメージしようとしているのですよね?」
「ん、そだね」
「それじゃ、威力もですけど敵にもっとよく当たるようにってイメージしてみたらどうでしょう?」
「もっと当たるように?」
「ほら、急に動いたりした場合はさすがにちょっとズレたりしていたじゃないですか?」
「あー、そんなこともあったねぇ」
「そんなときでも当たるようにってイメージすればいいと思いますよ」
なるほど、威力だけが全てじゃないって事ね!
んんん……今日外したのはあれで、あれも当たるように……当たるように……
むむっ、そうすると尾羽根も使うのね!
「イメージ来た、尾羽根も使うと良いって!」
「それでは、そのイメージでやってみましょう」
というわけで、左手に弓を、右手に風切羽根2枚と尾羽根1枚をもって……
「合成!」
すると、またもやぴかっと光ったかと思うと、赤だった弓に茶色と黒で模様が入りました!
「おぉ、見た目が変わった」
「なるほど、合成された素材の色が出たのですね」
そして鑑定した結果はというと
「おぉ、発射速度と命中率がUPだって!」
「これでますます当たるようになりますね」
「うん、薫さんの助言のおかげだよ、ありがとー」
「ふふふ、どういたしまして」
その後はね、弓を引いてみて感触を確かめてみたりもしました。
その結果、今までより少しだけ引きが重い気がしますが、その分強化されていると思いましょう!
こんな感じで初めての武器への素材合成が終わりました!
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