お肉は出ましたか?いいえ、出ませんでした
さて、40階のボス部屋に来ましたが、広さは若干広いかなといった程度ですが、天井が今までよりも高いです。
今まではね、5m有るか無いかだったのが、7~8mはありそうですよ。
そして向こうの方に魔法陣の光が現れ、その中に人型が現れ始めました。
とりあえず、弓の準備をしつつ鑑定を。
「ラージリザードマンだって。特殊効果は水魔法のニードルとウォール」
「おっきい……のかな?」
「おっきいというよりは、装備が整っているほうが特徴的ですね」
このリザードマン、胸当てをした上に、ヘルメットもかぶっているんですよね。
さらにいうと、右手に反った剣、左手に盾を持っています。
まぁ、やる事は変わらないのですが、どこを狙いましょう。
心臓を守っていると思われる胸当てを狙いましょうかね。
「あ・た・れっ」
狙い通り命中したのですが、どうやら胸当てには刺さったけれど敵は無事な模様。
「当たったけど、途中で止められたかな?」
「でもダメージは入ってそうですね」
いきなり矢を食らってびっくりした様子でしたが、すぐ怒ったような表情になり剣を振り上げこちらに走ってきています。
あれ、走りにくくないのかな?
まぁ、こっちに来るなら、それはそれで手があるのですけどね。
「葵さんの手前に堀をだすね!」
そして葵さんの前方1mほどの所に、幅2m長さ4m深さ3mの堀を横長の形で出します!
すると、さすがに敵も知能があるせいか、突然現れた堀に落ちることは無く、警戒してか手前で止まりました。
それにしても、ラージリザードマンはこの距離で見ると確かに大きいですね。
普通のリザードマンは身長が2mほどだったのに対し、ラージリザードマンは身長が3mほどもあります。
これは近接戦闘をやるとかなり不利かもしれませんね。
でも堀で多少距離が取れているのでね、近距離に持ち込まれる前に皆の魔法を叩きこみました。
玲子さんがアイスニードルを顔に、沙織さんがファイアジャベリンを鳩尾の辺りに、楓さんはパラライズを、薫さんはロックストームを顔にむかって唱えました。
それら攻撃を一身に食らった敵はというとね、見た感じズタボロなんですが、まだ立っていますね。
なので良く見える喉を狙って
「あ・た・れっ」
ちょっと近いですけど、当てる分にはね。
そして矢は見事命中し、そのまま喉を突き抜けて向こうに飛んでいきました。
「やったかな?」
「倒せた!」
後ろに倒れていく敵を鑑定で見るとHPが0になったのでね、堀を戻しましょう。
「結局この階層のボスも、何もさせることなく倒せちゃいましたね」
「まぁ、距離離れて出てくるからね」
「知佳さんの弓もそうですし、皆も遠距離魔法がありますから楽ですよね」
そうなんですよね、何で敵は皆こっちに有利な位置に出てくるんでしょうね?
「そのうちすぐ側に出て来たりするのかな?」
「それは……どうだろうね?」
「何となくですけど、今後も離れた所に出てくる気がします」
「ですね」
まぁ、何か決まり事みたいなのがあるんでしょう。
「でもこれ、私達だからいいけど、近距離手段しかないPTだと逆に不利になる事もありますよね」
あー、言われてみればそうなのかな?
と言う事は、他のPTの人も遠距離攻撃を持てばいいって事だよね!
私的には弓がおすすめなんですけどね。
ただ防御を無視できる貫通攻撃スキルみたいなのが無いと、きついかもしれませんね。
「さて、ドロップは何が出るかな?」
「お肉は……期待できませんね」
「お酒とかも無さそう」
そうして出たドロップは、魔石の他に、盾が1つと薬草が3つ、中級のHPポーションが1つに初級の万能薬が1つでした。
この薬草はね、鑑定してみるとヨクナオルソウという、ナオルソウの上位版のような名前の薬草でした。
「へぇ、色々落としたね。それに薬草まで落とすんだ。こいつと何か関連性があるのかな?」
「ただのボスドロップの可能性が高いんじゃないですか?」
「そろそろ上位の薬草やポーションが必要になるって事かな?」
「敵もどんどん強くなってきていますしね。あまり実感ありませんけど」
まぁ、皆強いですからね!
でも、薬草の上位版かぁ、今の私で扱えるのかな?
……まだ私は未熟だと極意先生が言っている、気がする。
「薬草は、まだ扱えないっぽいから保存かなぁ」
「あぁ、極意先生?」
「うん、お前にはまだ早いっ!って言われた気がするよ」
「これからどんどんポーション作りもやって、スキルのレベルを上げないとダメって事かな?」
「きっとそう。知佳ちゃんはもっとポーションを作って私にくれるべき」
「いや、苦いのは作りたくないよ?」
「……残念」
などと言った感じで40階層のボスも無事倒し、魔法陣が再び光り出したので41階層へ移動です!
やってきました41階層……なのですが。
「荒野……ってやつかな?」
「ですね」
「向こうの方に岩山が見えますけど、あそこまで行けるんでしょうか?」
「知佳ちゃん、あそこって行けそう?」
「んー、無理じゃないかな?少なくとも出口はもっとずっと手前だよ?」
「これから先の景色って所でしょうか?」
「となると、46階層から岩山かぁ」
そう、この階層は荒野で荒れ果てた地って感じなんですけど、ずーっと向こうの方に岩山が見えているんですよね。
そして出口があるのもあの山の方です。
一見山まで行けるのかな?とも思ったのですが、スキルの感じだとこのフロアは広さは10km四方ほどらしく、岩山までは全然届かなそうです。
その事を伝えてみると
「10kmかぁ、広くなったねぇ」
「10kmというと、渋谷から池袋くらいまでの距離ですね」
「あー、その位あるんだ。遠くない?」
「でもここだと自転車が普通に使えますし、移動だけなら荒地というのを考慮に入れても、1時間かからずに着けると思いますよ?」
「ですね。あとはどのくらいの頻度で敵に会うかですが、いざとなれば逃げればいいですしね」
まぁ、実際の所はここから出口までは10kmなさそうですけど、それでも移動だけで見ても1時間位かかるんですね。
「この階層からは、1日に3階層行ければいい方ですかね?」
「敵次第じゃないかな?」
「頑張れば4階層行ける」
「一応何かあった時の為に泊りもできる準備もした方が良さそうですね」
んー?泊りの必要あるのかな?
「ほら、今までは各階層で入り口=外への出口でしたけど、今後は数階層外へ出られないと言う事もあるかもしれませんし」
「あぁ、小説とかだと5階層や10階層毎とか、ボス倒さないとダメとかもあるんだっけ?」
「それです。そうなった時に戻るのが良いか、止まって進むのが良いか判断しなければなりませんし」
「そうね。そろそろそういうのの対処も考えないとだね」
「一応キャンプセットは持ってきていますよ」
と、泊りの準備をって話をしていたところ、どうやら薫さんはすでにその可能性を考えていたようです。
「さすが、元出来る秘書さんは違うね!」
「いえ、いつか皆と泊りがけでダンジョン探索が出来たらいいなって、私の希望のためだけですね」
との事でした。
まぁ、無理して怪我したら元も子もないですし、お婆様達にも泊りがけでとは言ってきてないですしね。
泊りがけはどうしてもという時の最後の手段として、基本的には日帰りで無理のない範囲で行きましょう!
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