レベリングしますか?いいえ、まだしません
38階層に来たのですが、さらに沼地が増えているみたいです。
とはいえ、割合的には6対4でまだ陸地が多いですけどね。
この感じだと、全てが沼地になる事はなさそうという皆の見解ですが、どうなるんでしょうね。
もっとも、沼地といってもぬかるんでいるだけという所も多いようなので、他の人たちが進めなくなると言う事はなさそうです。
でも最悪を想定して、ゴムボートなどを用意した方が良いのかもしれませんね。
とはいえ、私たちは塀の上を進むのでね、今の所ボートの必要性は感じていません!
ちなみに、ぬかるんだ沼地の上でもこの魔改造された車椅子だと問題なく進めちゃうんですけど、どういう原理なんでしょうね?
「知佳ちゃんのその車椅子、一人一台あればすごく便利だよね」
「ですね。私も欲しいです」
「あ、あげないよ?」
「さすがに知佳さんから取り上げようとは思ってませんよ?」
などと言った会話もありましたが、ほんとこの車椅子をくれた地球そのものの意思さんには感謝ですね!
そうして進んでいると、30mほど先の沼地に半分埋まるように這いつくばる緑色の物体を発見。
「あれ、ワニかな?」
「ワニ……とは違いそうですね?」
「イグアナ?」
ワニと違って顔がもっとずんぐりした感じの爬虫類。
言われてみるとイグアナっぽい気も?
そこで止まって鑑定してみたのですが、突然立ち上がりました。
その身長は2mほどもあり、その手には槍を持っています!
「うわ、二足歩行のイグアナって……」
「リザードマンだって、ウォーターニードル使うみたい、気を付けて!」
「イグアナの頭をしたリザードマン、せめてトカゲに……」
楓さんがなにやらぶつぶつ言っていますが、私は弓の準備を。
葵さんも私とリザードマンの間に入って盾を構えてくれています。
「あ・た・れっ」
心臓と思わしき場所を狙って射った矢は見事命中!
そのまま後ろに倒れていきました。
「あれ、倒した?」
「さすがに心臓に食らえば大抵の生き物は死ぬと思いますよ?」
葵さんと玲子さんが警戒しながら近づいて行き、敵が死んでいるかの確認に行ってくれましたが、どうやら無事倒せていた模様。
「んー、やっぱり敵の死亡確認は知佳ちゃんに見てもらった方が楽だなぁ」
「そう?それならそれで鑑定するけど」
「だめですよ玲子さん。ボスの時はまだ良いですけど、フィールドの場合は他の敵が来る可能性もありますし、多数の敵がいる時なんかは戦闘中にいちいち見てもらう訳にはいかないんですから」
「そうですよ。それでこの間は攻撃を食らったんですから、私達も自分で敵の死亡確認をする癖をつけないと、後々大変になりますからね」
「だって、頑張って!」
何の話かというと、実は最近はボス以外では死亡確認を鑑定でしない事にしたんです。
なぜかというと、少し前に私が鑑定する前に、死んだと思って近づいた敵が実はまだ生きていたと言う事がありまして。
その後の話し合いで、戦闘中は私が確認しきれない事もあるのでね、各自できちんと死んだかどうか確認する癖を付けようと言う事になったんです。
「まあ、しかたないか。それにしても知佳ちゃんの攻撃、ワニの時はそろそろ火力が足りないかと思ったけど、まだまだいけそうね」
「でも、あくまで急所に当たった場合ですし、そろそろ武器をダンジョン産の良い物にした方が良いのかもしれませんね」
「そろそろレベルもどこかの階層で腰を据えて上げた方が良いのか、それともこのまま進むべきか……」
そう、私たちのレベルは最初の頃はガンガン上がっていたのに、最近は上がりづらくなっている気がするんですよね。
その辺は地球そのものの意思さんが、最初は死にやすいからある程度までは上がりやすくしてくれているのでは?という話になっていました。
ゲームなんかでも最初はすごく上がりやすく、途中からは上がりにくくなる物があるそうなので、そういうのを真似したのかもしれませんね。
「階層辺りのレベルの適正というのもわからないですし、難しい所ですよね」
「階層=レベルを適正と仮定すると、私たちはどう見ても低いですね」
今の私たちのレベルは私が23、薫さんを除いたみんなが22、薫さんが18と、階層より15以上低いんですよね。
「装備が良いから問題なくやっていけてますけど、そろそろレベル上げを考えた方が良いのかもしれませんね」
「でも逆にいうと、常に格上狩りをしている現状、他の人達よりもレベルアップは早いはずですよ?」
「まぁ、私たちは現状でも早すぎるって事だよね。自衛隊の人達って今レベルどの位なんだろう?」
「まだ15位じゃないかな?」
最近聞いた話だと、自衛隊の人達も10階層以降にどんどん行っているようですが、詳しい到達階層もレベルも教えてもらっていません。
まぁ、聞けば教えてもらえるのかもしれませんが、わざわざ聞くような事でもないですしね。
ただ、そうすると他の人達を参考にというのも出来ないので、今度聞いてみるのも手かもしれないですね。
以前皆で話した時は、日本が119のダンジョンを5年でクリア出来る事を前提として、そこから逆算で考えると早いチームで最初のダンジョンをクリアするまでに2~3年位はかかるだろうとの事でした。
その時にそんなにかかるの?と聞いてみたのですが、新しい階層に到達するたびに出口探し、情報収集、敵に見合ったレベル上げ、あとは必要ならば装備更新や、怪我をした時の治療にかかる時間などを考えると、事前情報がなければその位はかかるんじゃないかと言っていました。
とはいえ、一度クリアしたチームについては、次からのダンジョン攻略は今の私たちのようにサクサク進めるので、2つ目以降はぐんと早くなるらしいです。
ただね、皇居ダンジョンを攻略する人達は、私達の集めた情報を利用できているので、その予想はもう少し縮まるだろうとも言っていました。
そして私達については、私が初回クリア報酬でもらったスキルやアイテムなどを使っているのでね、2回目とまでは行かないけれど、1.5回目みたいな感じなんでしょうね。
そう考えると、一時期私たちを追い抜いていたアメリカさんのチームって、とてもすごいって思います。
まぁ、そんな感じでそろそろレベル上げをという話になりかけましたが、結果としてはもっと戦闘で苦労するようになってからでも遅くは無いだろうという事でまとまりました。
実際の所、現状は一撃で倒せない敵がいるというレベルであって、まだまだ行けるだろうと言う事ですね。
そんなこんなで、その後も何度かリザードマンが出てきましたが、特に問題なく倒せました。
ただ、持っている武器が槍だけではなく、弓であったり片手剣であったりと、持っている武器は複数種類ありました。
そしてリザードマンのドロップは、魔石の他に持っていた武器が残ることがありました。
敵の落とす武器はね、今までもゴブリンやコボルト等武器を使っている敵の場合は時たま落としていたんですけどね。
そして出口に着いたのですが、そろそろいい時間なので一度39階へ行って今日は帰るとしましょう。
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