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スキル『砦』を使って快適ダンジョンライフ  作者: 日進月歩
第四章 ダンジョン発生から一月経過
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留学先はどこですか?いいえ、お教えできません

前話ですが、最終修正前の物をUPしていました

修正内容は、塗り薬を治癒軟膏に修正したのと、それに伴って若干他の言い回し等が変更されていますが、ストーリーに大きな変更はありません。



 夕食後の報告会では、今日行ったポーション作成について報告したのですが……


「これがその治癒水とやらかい?知佳ちゃん以外でも作れるってのは良いねぇ」

「ですね、これもっと沢山ほしいわぁ」

「でもこっちの治癒軟膏も良いわね!」


 そう、今日作成した2つの品、治癒水と治癒軟膏をみんなに見せたのですが、その評価はすこぶる上々。

 とくにお婆様と美雪伯母さんの食いつきがすごいですね。

 曾お婆様も軟膏を手に塗った後、そのまま手をすりすりしているところを見るとかなり気に入ってもらえたのかな?


「しかし、知佳君以外でも作れるというのは大発見だね。我々も受け取った薬草でいろいろやっていたのだが一向に良い結果が出なくてね」

「それについても、さっき報告のあった魔力がある場所で作成する、というのをさっそく明日試してみましょう」

「で、治癒軟膏の方はまだ作り方が確定していないと?」


 そう、軟膏の方はね、鑑定しつつ極意先生の指示に従いつつでやったので、こうやればいい!という方法がまだ確立できていないんですよね。


「大体の作り方は判っているのですが、作成途中でどう見てもおかしなことがあったので、その辺は要検証といった感じですね」

「おかしな事?」

「溶液を煮詰めていた時なのですが、どう見ても水分の減り方が早かったんです」


 たしかに、あの水の減り方は変だよね。

 その辺はやっぱりポーション作成のスキルか何かの影響なのかな?


「なるほど。それでは後日時間のある時で良いので、知佳君以外でも出来るのか、あとはなるべく詳しい手順などを調べて纏めてくれるかね?」

「わかりました」


 それじゃ、明日学校が終わった後……は皇居ダンジョンか。

 帰ってきてから時間があったらかな?

 もしくは土曜日?


「その確認、急いだ方が良いですか?」

「いや、素材となる薬草もそれほど量があるわけでもないし、今日明日というほど急ぐこともない。手が空いた時でいいよ」


 それじゃ、手が空いた時にじっくりやるとしましょうかね。

 そうそう、他にも報告があったんだ。


「あとね、今日の試験を受けて思ったんだけど……」


 と、思ったよりも良くできた事、沙織さんも同様の感想だったことを伝えた。


「となると、レベルアップがダンジョンでの戦闘以外にも影響が出ていると言う事かえ?」

「たぶん?」

「そうですね、我々の方で倉庫ダンジョンに入ってもらっている他のメンバーからも、そういう報告は上がっていますね。力が上がった気がするとか、体力が付いたとか」

「その辺は、一応命がけで戦闘を行ったせいではという話もありましたが、実際に測定した結果数値上で明らかに上がっているという報告がありますね」


 どうやらお爺様たちもその事には気が付いていて、実際に体力測定などを行っていたようです。


「でね、私が思ったのは、曾お婆様たちも安全を確保したうえでだけど、少しでもレベルアップすれば体調とか良くなるんじゃないかなって、思ったんだけど……」

「おやおや、私の体の心配まで、知佳ちゃんは良い子だねぇ」

「そうだね、今ならそれなりにメンバーも育ってきているだろうし、パワーレベリングというのだっけ?やってもらうのも手かもね」


 と、どう見ても自分で先頭に立って戦いそうな表情でお婆様が言っています。

 その後の話し合いで、後日時間を作ってやってみるそうです。

 私たちが手伝おうかといったのですが、そこまでは必要ないと言われました。


 なんでも将来的には二条グループの社員に対しても、徐々にやっていく予定なんだとか。

 それでその事前試験も兼ねるとの事。

 そしてお爺ちゃんや高志伯父さんも、学力にも差が出る様なら仕事が楽になるかもしれないなどと話していますね。

 そのうち会社の重役から優先的に、ダンジョンに行ってパワーレベリングとか始めそうですね!


 そんなこんなで今日の報告会も終わり、あとは寝る時間までネットでもしましょうかね。

 え、試験勉強はしないのか……ですか?

 学力試験ですからね、実力を試すためにも今ある学力で挑むのです!


……


 あーさー


 今日の試験が終われば、しばらくは学校を休学するのでね、試験がんばりましょー!


 そして、今日の試験は理科と英語!


 元々どちらも得意な方ではないのですが……


 やはりレベルアップの恩恵があるのか、昨日と同じようにどちらもサクサクと解けます。

 ですが、英語は前から半分諦めていた事もあって、あまり勉強していなかったのでね、単語の判らない所がちらほらと。

 休学中は英語を中心に勉強するのが良いかもしれないですね!


 そんなこんなで最後の試験も無事終了、回答欄はほぼ埋めることが出来ました。


 そして現在帰りのSHRですが、どうやら先生から一言ある様子。


「えー、二条さんと近衛さんですが、ご実家の事情によりしばらくの間休学することとなりました。復学予定は……秋頃でしたか?」


 そう先生がこちらを向いて言うと


「そうですね、夏休み明け頃には戻ってこられると思うのですが……」


 と、少し考えた風を装った後、当初の予定通りの回答を沙織さんがしています。


「とのことです。近衛さんは約一月と短い間でしたが、戻って来てからも皆さん仲良くしてあげてくださいね。では皆さん、よい週末を」


 と挨拶し、先生は教室から出ていきました。

 ですので、私たちも帰ろうと思ったのですが……


「近衛さんっ、しばらく休学って、海外留学?」

「期間的にそうよね、どちらに行かれるの?」

「もう留学先の学校は決まってるの?」

「やっぱりこの間の件が問題なのかしら?」


 あー、やっぱりこうなっちゃいますよね。

 どう答えようか悩んでいると


「皆さん、そんなに問い詰めるように聞かれては知佳さんも答えられないわ」


 と沙織さんから救いの手が!


「今、世の中にダンジョンが出来て、色々と大変でしょう?それで私も知佳さんも将来設計を見直すことになりまして、今回の休学はそのためなの。そして行先は、申し訳ないけどお教えすることは禁止されているのよ」

「そうなんですか?それにしても急ですね。寂しくなりますわ」

「そうですね、私も知佳さんのおかげでせっかく皆さんと仲良くなれたので少し残念ですけど、戻ってくればまたご一緒出来るので、その時はよろしくお願いしますね」


 おぉ、これなら留学と明言しなくても、皆さんそう勘違いしてくれる!?


「そうですね、私達もとても残念ですが、将来を見越してと言われてしますと仕方ないですね」

「あーぁ、うちの親も将来を考えて海外留学させてくれないかなー」

「私はこの学校のままの方が良いわ。新しい所で一から友達作るの大変そう」


 その後は皆さん思い思いの事を言いつつ、私達との一時の別れを惜しんでくれました。

 わたしもね、皆さんとはそれなりに仲良くなれてきた所なのでだますようで心苦しいのですが、やらなければならない事があるのでね。

 ここはぐっと我慢です!


「さて、それではもう迎えの者が来ている時間ですので、私達はこの辺で失礼しますね。皆さん、お体に気を付けて。またお互い元気でお会いしましょうね」

「みんな、短い間だったけどありがとう、仲良くしてくれて嬉しかった。戻ってきたら、また仲良くしてね!」


 そうして沙織さんに車椅子を押してもらい、教室からまさに出ようとした瞬間。


「近衛さんっ!」


 と私を呼ぶ男子の声が……

 えーっと、彼の名前は何と言いましたっけ?

 一度聞いた気が……ほら、あの足を引っかけた子です。


「こ、このあと少しだけ時間、もらえないかな?」


 何やらちょっと焦った感じ?

 それと共に一部の女子がキャーキャー言いだしましたが、何でしょうね?

 でもすでに予定時間をオーバーしているので、もう迎えが来ちゃってますよね……


「えっと、ごめんなさい。もう迎えの人が来ていると思うので無理です」


 そう言うとその男子生徒はがっかりした様子でしたが、もう一度謝りたかったのかな?

 でも、もう何度も謝ってもらったし、いいよね。


「あの時の事はもう気にしていないので良いですよ。それじゃ、待たせちゃ悪いので、皆さんまたね~」


 そう皆の方を見てバイバイと手を振ると、寂しそうな表情をしてくれている人が何人もいます。

 私も少しはこのクラスに溶け込めていたと、思っていいんでしょうかね?

 ただ、気になったのは何人かの方達が苦笑いしていた事ですね。


 その後迎えの車に乗ると、おもむろに沙織さんから


「知佳さん。さっきの笹本君、よかったの?」

「笹本君?あー、あの人そういえば笹本君って名前でしたっけ?どうにも名前が出てこなくて……それで、よかったとは?」

「あれ、きっと告白しようと思ってたんじゃない?」

「え、告白?私に?」

「あの感じから行くと、きっとそうだと思うわ」


 んんん?

 何やら思いつめた感じでしたし、最後にもう一度謝りたいのかと思ってましたけど、そっちでしたか。

 今はそういうのまったく興味ないので思いもよりませんでした。


「なんか思いつめた表情してた気がするけど、そういう事かぁ」

「やっぱり気が付いてなかったのね」

「んー……まぁ、笹本君の事よく知らないし、どのみち断ることになるからいっかな?」


 その後は迎えに来ていた玲子さんから色々問い詰められましたが、特に興味がなかったのでね、ありのまま伝えると玲子さんも苦笑いしていました。

 あぁ、一部の女生徒の人たちが苦笑いしていたのはそういう事だったのですね。


この作品の半分は皆様の優しさで出来ています。


ですので、もしほんの少しでも


面白かった!

続きが気になる!

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と思ってくださる優しい方がいらっしゃいましたら、是非ブックマークや評価のほどをお願いします。


また、皆様からのご意見ご感想、忌憚ない意見もお待ちしています。


これらはこのお話を作る原動力になっています。


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― 新着の感想 ―
[一言] 妾発言君はダンジョン探検の時に結果的に庇ってた子に目を向けてみてほしいかな〜
[一言] レベルアップにより高齢の方が若返る現象があるかも……まあ直接でなくても身体能力が上がり、各種薬品などで体内外が健康になりますからね。 ダンジョン一般解放後の格差がひどいことになりそうですが……
[一言] お婆さんズはパラメータの初期値も高かったので、ちょっとレベル上げるだけでも実感できるくらい好影響ありそうな。 でもって笹本くんみたいなまとも且つ真っ当な人はけっこう好きなので、エピローグや完…
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