これで完成ですか?いいえ、まだいけます(改訂)
さて、煮込むのは何か違うと極意先生が言っていたのですが、一応薬にはなりました。
しかし、違うと言うのなら別の方法も試さなきゃですよね!
なので、もう一つの案であったすりおろしを試すことに。
今度はきちんと作業中も鑑定をかけながらやりましょうね。
なのですり鉢とすりこ木を用意し、根っこをそのままだと大変そうなので再び刻み、それをすり鉢に入れてゴリゴリとやっていたのですが……
「おぉぉぉ、ゴリゴリやるたびに魔力が抜けていく」
「あー、ちぎるの上位版?細胞をつぶすと抜ける感じなのかもしれないね」
という訳で、どうしようかとしばし話し合った結果、ウォーターの水に浸してすりつぶしてみようと言う事に。
すると、魔力が抜けることなく水の中でどんどんとすりつぶせていきます。
すりつぶせていけるのですが……
「濁ってきた」
「ですねぇ」
「白く濁った液体」
と、その見た目は水で薄く溶いた片栗粉のような、薄いカルピスのようなそんな感じの白い濁り水が出来ました。
「これ、このまま飲めばいいの?」
「いや、これだとただの根っこをすりおろした水じゃないですか」
そして鑑定結果も、すりおろした根の混ざった水としか出ません。
なので、これを煮込んでみましょう。
すり鉢の中身をね、残っている根っこ毎ビーカーに移してぐつぐつと……
「おぉ、薬効がにじみ出ているみたい」
そしてほのかに土臭いような臭いも……
ただ、前ほど強烈という訳でもなく、根野菜を煮たりしたときレベルですね。
そうして鑑定しながら煮込んでいると、極意先生がこの辺で煮込むのをやめろと言ってきます。
なので火を止め冷ますことに。
「知佳ちゃん出来たの?」
「んー、極意先生がもうやめとけって」
「煮込みすぎて必要外の成分も出るとかでしょうか?」
そして冷ましたものを鑑定したのですが、薬効成分を抽出した液(薄い)と出ました。
これって、まだ完成していないって事かな?
「漉した後にさらに煮詰めるとかでしょうか?」
「他の何かと混ぜて使うのかも?」
「とりあえず飲んでみる?」
「いやいや、これをこのまま飲むのはやめようよ……」
と、相変わらず怖いもの知らずの楓さんを抑えつつ、ここからどうしようかといろいろ話し合ったのですが、手としては
・さらに煮込む
・他の何かと混ぜてみる
の2択。混ぜるって、何を混ぜればいいんでしょうね?
すると、横で見ていた薫さんが、乳化させれば塗り薬になりそうとの事。
液体を乳化させるのって、何を混ぜれば出来るんだろう?
あ、代表的なのはマヨネーズですか。
あれは卵と油、あとお酢だっけ?
油……つい先日出ましたね?
あの油なのかな?
まぁ、とりあえず煮込みましょうか。
水分が減ればまた何か変化するかもしれないしね。
と言う事で、漉した後に煮立たない程度に火を調整してしばらく煮込むことに。
お水が飛んで薬液が濃くなることを想像しつつ、ガラス棒でかき混ぜながら煮込んでいると……
「なんか、見た目的に明らかに減っていってない?」
「そうですね、どう考えても蒸発の範囲を超えて減っている気がします」
そう、なぜかひと回しするたびにお水の量が目に見えて減っていきます!
そうして十数回も混ぜると、お水の量が半分以下に。
これ以上はやめておけとの極意先生のお達しにより、ここで中断。
鑑定結果は薬効成分抽出液となりました。
うん、成分抽出液としてはこれで完成なのかな?
でもこれ、あくまで抽出液であって薬とかじゃないよね?
あ、でもこのままでも治癒水よりは薬効ありそう。
その事を伝えてみると
「素材の一つとしては完成した。と言う事ではないですか?」
「というと?」
「そのままでも薬効はあるけど、まだそこから進化するというか、他の物と混ぜてさらに良い物に出来る。とかですかね」
なるほど、まだ先があると。
となると、さっき出てた乳化させるとかかな?
極意先生も反対はしていない様子だし、やってみましょう!
となると、カエルの油を取り出して、少しずつ混ぜつつガラス棒でぐるぐると……
マヨネーズのように乳化した姿をイメージして混ぜると、ひと回しごとに徐々にガラス棒が重くなっていく気がします。
そして油を足しつつ混ぜていると、角が立つくらいになった所で、鑑定の表示が治癒軟膏に変化しました!
それと同時に、極意先生もそろそろいいんじゃない?と言ってる気がします。
んー、軟膏っていうくらいだから、塗ればいいんですよね?
「知佳ちゃんできたの?」
「うん、治癒軟膏だって」
「治癒軟膏……名前からして回復効果のある塗り薬なのでしょうか?」
「とりあえず塗ってみる」
楓さん、飲み物に限らずチャレンジャーのようで、さっそく指で一掬いした後手に塗り込んでいました。
さすがにね、鑑定の結果は薬と出ていましたが、その効果は詳しく判らないので何かあったらすぐにヒールをかけられるよう、心構えをしておきましょうね。
そしてぬりぬりと塗った後、まじまじと手の裏表を見ていたのですが、塗りこんだ後はすーっと肌に吸収される様に消えましたね。
「これ凄い、べたつかないし、すべすべさらさらになった!」
とその手をみんなに見せてきました。
確かに軟膏やハンドクリームを塗ったような感じは全くしないですけど、すべすべになっているのでしょうか?
思わず自分の手と比べてみたのですが……
「さすがに中学生と比べるのは間違い」
とちょっとすねた感じで言われてしまいました。
そして楓さんの手を見ていた玲子さんと薫さんもおもむろに軟膏を指でひと掬いし、手に塗り込み始めましたよ。
その後、まじまじと手を見ていたのですが、急にこちらを見て
「知佳ちゃん、これ大量生産しよう。絶対売れるよ!」
「そうです。総裁に言えば色々な手続きはきっとしてくれますから!」
とすごい勢いで言ってきました。
でもね、売るほどの量をだれが作るんでしょう?
そう聞いてみると、皆さん目を彷徨わせて横を向いてしまいました。
効果にばかり目が行って、その事には気が回っていなかったみたいですね。
ただ、先ほどの治癒水が私以外でも作れたことを考えると、これも他の人でも作れるのかな?
そう言ってみた所、タイミングがいろいろ難しそうだけど、もしかしたら出来るかも?と言う事になりました。
ただ、今日はもうすぐお夕飯なのでね、今日は終了。
後日時間のある時にきちんと手順等をまとめて、あらためて他の人がやってみることに。
というわけで後片付けです。
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