自転車に乗りますか?いいえ、乗りません
本日二話目です
塀の幅を2mに広げたので、皆自転車に乗るかと思ったのですが
「さすがにスピード出せないから、歩きで良いかな?」
「そうですね、もう少し道が長ければ良いのですが、これだと知佳さんが急に止まった時に落ちちゃいますしね」
との事。たしかに私の前方4mまでしかないと、自転車でスピード出すのは無理かな?
そしてここでの敵は、今までと変わりは無いのですが、やはり地形的に出やすい敵と出にくい敵がいるようです。
ただしゴブリン、あんたはどこにでも出てくるね!
ゴブリン集団が出た時は容赦なく遠くから弓を射って倒します。
皆もね、近づかれるのが嫌なのか魔法でバンバン倒していきます。
そしてこの階層の新しい敵が出たのですが
「カエルだねぇ」
「どこからどう見てもカエルだね」
「おっきいですけどね」
そう、どう見ても緑色のカエルなのですが、体高は1mほどとカエルにしては無茶苦茶おっきいです。
置物なら背中に立てそうですね!
しかし、敵まではまだ距離があるのでね、鑑定!
「ヒュージトードで、体液に麻痺毒があるって!」
「トードですか、ヒキガエルの一種って事ですね」
とりあえず毒持ちって事だし、近づかれる前に喉元を狙って
「あ・た・れっ」
見事当たりました!
当たったのですが、若干見下ろす感じだったのでそのまま地面に矢が抜けちゃったみたい。
「んー、ダメージは行ってるっぽいけど、あまりダメージになってなさそうな気も?」
「ヒューヒュー言ってるので、呼吸に影響があるかもしれないですね」
そう、喉の膨らむところが見事に穴が開いたんですよね、小さいけど。
おかげでさっきまで膨らんだり縮んだりしていた喉が、縮んだままになっています。
「とりあえず毒は嫌だから、アイスニードル!」
「ブリーズストーム」
「ですね。ファイアニードル」
と、玲子さん、楓さん、沙織さんがそれぞれ魔法を打ち込みます。
葵さんは敵の攻撃を警戒して盾を構えていますね。
そして皆の魔法攻撃を食らった蛙はというと、どうやら倒しきれたようで最後にひと鳴きして倒れました。
ドロップはね、魔石と肉、あとは片手で握れるくらいの小さなツボが出ました。
「この小さなツボ、何でしょうね」
「カエルから小さなツボといえば、ガマの油!」
「ガマガエルじゃないですけど?」
鑑定してみると、確かに油と出ますね。
「油らしいよ?ガマの油じゃないけど」
「傷薬になるのでしょうかね?」
「錬金素材かな?さすがに調理用油って事は無いよね?」
「お肉も出てるから、その油で焼けって事だったりして」
などと玲子さんがちょっと怖い事を言っていますが、蛙のお肉って美味しいんでしょうか?
あ、鶏肉みたいな感じなのですか……料理人さんに任せますかね。
その後、カエルの毒がどんな毒か試そうかという話もありましたが、さすがにこの辺の階層で効果を確認するのもね。
と言う事で、毒の確認はしない方向でと思ったのですが……
葵さんから、効果のよく判らない毒を戦闘中に食らうほうが危険では?
という意見があり、私と薫さんの二人が状態異常回復を使えるのと、毒消しが初級から特級まであるので、さすがにどれかで毒を消せるだろうと言う事と、まだ入り口側も近いのでいざという時はこの階層の探索はやめるという条件で試すことになりました。
そして誰が試すのかという段になって、玲子さんと葵さん、楓さんの3人が立候補したのですが
「食らう可能性が一番高いのは私なので、私が試します」
という葵さんの発言でね、葵さんが試すことになりました。
なんでも、実際に毒になった時の感覚を試しておきたいんだそうです。
しびれるのか、痛いのか、感覚がなくなるのか、そういうのを事前に知っておけば、いざ戦闘中に毒になった時に慌てないで済むからとの事でした。
もう本当にね、頭が下がる思いです。
そして、毒消しについては私が慌てるといけないので玲子さんに渡し、いつでもOKな状態にして攻撃を受けることに。
そして敵の攻撃方法はというと、体当たり、舌を伸ばしての鞭のような攻撃、舌を絡み付けての噛みつきとありましたが、どれもダメージを与えることはありませんでした。
「これ、もしかして防御が硬すぎてダメージが入らず、結果毒状態にもならない?」
「体液にとあるので、体液が付着した段階で毒になっても良さそうなのですが……」
「でもならないよね。防御のせいなのか、はたまた別の理由なのか」
攻撃でダメージが入らないと毒にならないのかな?
もしそうだとすると、体液が付着しただけでは毒を食らわないと言う事なので、かなり戦闘が楽になるらしいです。
「それでは防御が一番弱い私が試しましょうか」
そこで名乗り出たのは薫さん。
確かに見た目的に布防具なので一番柔そうですが……
「それなら肌の露出が多い私のほうが適任」
と言って楓さんが立候補し、結局楓さんが試すことになりました。
その後、5回目の舌での攻撃を腕で受け止めたときにで毒状態になりましたが、どうやら攻撃を受けた周辺がしびれる模様。
「しびれて感覚がない。力も入らない。正座してしびれた時と一緒」
との事。そこまで解れば後は問題ないと言う事で、私が状態異常回復をかけるとすぐに治ったようで、しびれも即消えたとの事。
「もしかして、正座のしびれも知佳ちゃんの状態異常回復で治る?」
などと言っていますが、そんなに正座することがあるんでしょうかね?
その後は特に問題らしい問題もなく、時たま変わった草や既存の薬草を見つけては採取してもらい、無事出口に着くことが出来ました。
もうそろそろいい時間なので、今日の探索はこれで終了。
KD対策本部に今日の分を報告して帰りましょうね。
……
「また大幅な階層更新ですか……いったいどうなっているのやら」
「何か問題でも?」
阿方さんは頭が痛いと言った感じでそう言ってきて、それに対して玲子さんが聞き返しますが
「問題……まぁ、こちらの問題ですが、相変わらず進むのが早いなと。よほど良いスキルをもらったのですね」
「出口の方向が分かればこんなものでは?」
「方向が分かるだけでここまで進めるなら苦労は無いのですがね。まぁ、皆さんお怪我はなさっていないようですので、良しとしましょう」
どうやら私のスキルに興味がある様ですが、教えちゃいけないって言われてるのでね、内緒です。
もっとも、向こうも教えてもらえると思って言ってるわけではなさそうですが……上から聞き出せとか言われてるのでしょうかね?
まぁ、言い方はあれですけど、こちらの心配もしてくれているようですしね。
ただ、渡した地図を見て顔をしかめてるのは何でしょうね?
「よくここまで一直線に出口に向かえますね?」
「出口の方向が分かっていますから」
「それでも普通はもっとこう……周りをチェックしてみるとか、したりしませんか?」
「攻略が目的ですし、寄り道の必要性を感じませんので」
んー?もっと周りを調べてほしいって事なのかな?
でも、特に面白そうなものもなかったですし、敵と会う確率が増えちゃうだけですしね、余計な事はしないのが一番です!
そんなこんなで今日の報告も終わったので、お家に帰りましょうね。
そうそう、そろそろ通常の矢がなくなりそうなので、帰りにお店によって買ってきてもらう事に。
私が行ってもいいのですが、車椅子なのでね。
私は車の中で待っていて、薫さんに頼んで買ってきてもらう事にしました。
この間薫さんにもらった矢も良い物なのですが、通常は市販の矢で十分ですからね、あれは強敵用のとっておきにするのです!
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