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スキル『砦』を使って快適ダンジョンライフ  作者: 日進月歩
第四章 ダンジョン発生から一月経過
201/232

困りますか?いいえ、困りません

いつも誤字報告有難うございます


 どすどすびちゃびちゃという足音を立ててこっち向かっていたのは何と


「クマ?」

「くまだね」

「ベアーともいう」


 そう、全身焦げ茶色で四つ足で立っていてもその高さは1mを超えるほどの熊でした。


「これは……今までにない強敵かも」

「先手必勝、知佳ちゃん!」

「うん、あ・た・れっ」


 そして現れた熊の額を狙って撃ちこんだのですが……


「やった!」

「まだよっ」


 額には当たったのですが、角度が悪かったのか額の肉をえぐって矢は後ろに飛んでいきました。


「アトラクト!」


 すかさず葵さんがアトラクトで熊の注意を引きつけ、玲子さんと沙織さんが左右に散開。

 すると熊はその場で2本足で立ち上がりました!


「うわ、おっきい……」


 その姿は身長2mを超える巨体で、圧迫感がすごいです。


「これは、気を付けないとかなりのダメージを受けそうですね」


 葵さんはそう言いつつも盾を構えたままじりじりと前に……

 さすがに葵さんでもあいつの攻撃を受けるのはまずいんじゃ?


「受けてみます、皆さん近寄らないで」


 どうやらこいつの攻撃力を測るみたいですが、大丈夫でしょうか?

 何かあったらいつでもヒールをかけられるように心構えだけしておきましょう。


 と思っていると、前に出てきた葵さんに対し熊は右手を振り下ろし、突きだされた盾を殴りつけました!

 ガシンッといい音はしましたが、葵さんは微動だにしません。


「これなら知佳さんの防御は抜けそうにないです」


 とその振動から熊の攻撃力を測った葵さんの発言に、皆の緊張感も多少緩みました。

 もちろん皆さんそれで油断すると言う事は無く、警戒しながらクマの左右に移動していったのですが……

 そこで突然ミミちゃんが巨大化してクマに突進を!


「ミミちゃん!」


 その巨大化した姿で熊の喉元に噛みつき、肉を引きちぎらんばかりの勢いで体を半回転させながらクマの後方に体を振り、向こうへ飛んでいきました。

 その攻撃を食らった熊はというと、体が半回転し玲子さんの方を向く形に。

 そこを隙と見たのか、結果的に背後に回る形になった沙織さんが、熊の心臓と思われる個所に背中から槍を突き込みます!


 突然の背後からの攻撃に戸惑いを見せた熊ですが、その隙を突いた玲子さんに剣を喉に突き立てられると、血を吐いて倒れていきました。


 その倒れた熊にミミちゃんが近づいて行き、匂いを嗅いだかと思うとおもむろにクマの上に登っていきますが、登ったと同時に巨大化が解除。

 クマの上で遠吠えをあげています。

 あげているのですが、小さい姿なのでね、カッコいいというよりは可愛いと言った方が……

 可愛いからいっか。


 そうそう、鑑定をしなきゃだ。


「フォレストベアー、特殊能力は無しだって」

「知佳ちゃん、出来ればもう少し早めに鑑定お願いね?」

「う、うん。ごめんなさい。気を付けます」


 いけないいけない。そうだよね、何か危険な特殊能力を持ってたらまずいもんね。


 その後は熊がドロップに変わるまで待ち、出たドロップはというと、魔石、毛皮、肝でした。

 そしてミミちゃんはというと……


「うわ、足もお腹も泥でドロドロ。ミミちゃん待って待って、そのまま来ないでーーー」


 どろどろのまま私の膝に乗ろうとするミミちゃんを制止し、玲子さんにミミちゃんを持ち上げてもらって浄化をかけ、綺麗にしてから膝の上へ。

 危うく私の膝の上までドロドロになる所でした。


「それにしても、いきなり敵が強くなった気がするよ」

「見た目のインパクトはすごかったですけど、攻撃自体はそうでもなかったですよ」

「ただ、知佳ちゃんの攻撃がそれたのはびっくりしたね」

「角度でしょうね。あれだけ傾斜が強い状況だと頭蓋骨に矢が刺さらず滑ったのでしょうね」

「あー、知佳ちゃん目線だとさらに下からだから、なおさら角度がきついのか」


 そう、立っている皆からだと顔を見下ろす形でしたが、車椅子に座っている私からだとほぼ正面。

 そして熊の額は私から見ると斜め状態だったので、今度からはその辺も考えないといけないですね。


「この階層の新しい敵は熊と、くまったくまった」

「玲子さん、何が困るの?」

「あー、何となく?言って見たくなっただけ」

「困らないのね……」


 そんなこんなで久しぶりのミミちゃんの巨大化も見れたし、この階の新しい敵も見れたので先に進むことに。

 その後は特に問題らしい問題もなく、35階の出口に到着しました。


 あ、熊はね、四つ足でいる時は吠えた時に口の中を、立ち上がった時は喉か心臓の辺りを狙ってあげると良いことが判明。 

 倒し方が判ればそれほど怖い敵ではありませんでした。


 そしてやってきました36階。

 やはりと言いますか、木々の密集は減り、代わりに所々に沼地があります。


「湿地地帯って所ね」

「湿度がさらに増しましたね」

「まあ、知佳ちゃんの結界内にいれば快適なんだけどね」


 そして、ここから見える範囲では、沼地とそれ以外の部分の割合がどうやら2対8位らしく、進むのに特別な装備とかは必要ないだろうとの事。

 ただ、今の所沼地の深さが判らないので、落ちないように気を付けようと言う事になりました。


 これ、もし誰かが落ちて深かったらどうするんでしょう?

 ロープとか用意した方が良いのかな?


 そう思っていたのですが、どうやら薫さんがロープを何本か持ってきているようで、予備を私にも持っていてほしいと渡されました。

 準備良いね!


 そして沼地の深さなのですが……


「薫さん、なにそれ?」

「これですか?10フィート棒です」

「10フィート?」

「約3mですね。というか、これ実際は3mの棒なんですけど、雰囲気を出すために10フィート棒と……」


 と、少し恥ずかしそうに言っていました。

 どうやら会話で行うTRPGテーブルトークアールピージというゲームがあって、そのゲームで罠を見つけたりするのによく使うのだとか。

 そして薫さんはおもむろに自分の腰にロープを巻き付け、反対の端を葵さんにつかんでもらったかと思うと沼地に近づき、その棒をずぶずぶと沈めて行きました。


「それほど深くないですね。底無しという感じでもないので、もし落ちても自力で脱出は可能だと思います」


 との事で、どうやら深さは30cm有るか無いか位みたいです。

 とはいえ、泥沼なのでね、入ると歩くのが大変そうですね。

 それに、調べた所はその深さだけれども、中心の方や他の沼地も浅いかどうかは判らないので無暗に入らないようにと注意されていました。

 もっとも私たちは塀を出してその上を移動するので、移動には全く問題ないですけどね。


「知佳さん、ここは木々も少ないですし、塀の幅を2mほどに広げてもらってもいいですか?」


 と言われたのでね、ここからは塀の幅を広げて進むことになりました。


この作品の半分は皆様の優しさで出来ています。

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短編を書いてみました


勘違いからの婚約破棄騒動


お暇でしたらこちらもよろしくお願いします
― 新着の感想 ―
[良い点] 10フィートの棒! [一言] 懐かしの絶!天狼抜刀牙!
[良い点] ミミちゃんそのうち某犬漫画の抜刀牙みたいな技を編み出しそうw
[良い点] クマ くま ベアー おっと危ない… 10フィート棒は、罠探知の基本ですねー
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