あの人達は家族ですか?いいえ、赤の他人です
話し合いが終わった後、お部屋に戻ってゆっくりしていたのですが……
ピリッピッピッピッ……ピリッピッピッピッ……ピリッピッピッピッ……
「うぇ、この音、義両親からだ……」
「あら、何かあったのかしらね?いつもは極力かかわらないようにしている人達なのに」
ピリッピッピッピッ……ピリッピッピッピッ……ピリッピッピッピッ……
「むぅ、でたくないなぁ」
「でも、出ないわけにはいかないでしょう?」
「そうなんだけど、仕方がない、出るかぁ」
ピリッピッピッピッ……ピリッピッ、ピッ
「はい、もしも『@%$&#!)=‘*:>$&!!』し……」
なんだろう、何を言っているのか判らない……これ、何語?
『%#$!=+<*@くぁwせdrftgyふじこlp』
うん、きっと間違い電話だろう、切っちゃえ。
ピッ
「こっちまで聞こえてきたけど凄い怒鳴ってたね、なんだろ?」
「わかんない、何か聞いた事がある言葉のような気もするんだけど」
「あぁ、○○語だよ?でも何であの人たちが?義両親からだったんだよね?」
「うん、義父からだったけど……え?○○の言葉なの?」
ピリッピッピッピッ……ピリッピッピッピッ……ピリッピッピッピッ……
「うわ、またかかってきた」
ピリ、ピッ
「はい、もしもし?」
『おい、貴様家に何かしただろう!』
「え?家に何かって、離れに鍵かけたくらいで何もしていませんよ?」
『そんなわけあるか!それならなぜ俺達が家に近づいたら頭痛がするんだ』
「いえ、本当に何もしていませんよ。むしろ何ができるっていうんですか?」
なんだろう、近づいたら頭痛がするって、そんな事どうやったらできるというのか。
むしろそんなこと出来るならもっと早くにやってるよ!
『それが分からないから聞いてるんだ、とりあえず今家から少し離れた所にいるから出て来い!』
「いえ、出て来いと言われても今私は家にいないので……」
『なんだと!何勝手に出かけているんだ、誰が出かける許可を出した!』
「誰の許可も何も、私が出かけるのにそんなの必要無いでしょう?」
なんで出かけるのにあの人たちの許可を取らないといけないの?表面上だけ家族と言いながら、実際は私を置いて3人で旅行に行くような人達なのに。
『くそっ、いいからとりあえずすぐ帰って来い!』
「いえ、今日はもう帰りませんよ?こちらにお泊りしますから」
『貴様、いったい今どこにいるんだ!』
「あなたにそれを「ちょっとかしてね。お電話変わりました、御影です」」
『貴様か、貴様がガキを連れ出したのか!今すぐそのガキを連れ戻して変なのを止めさせろ!』
「いえ、あなた方の言う事を聞く理由が無いのでお断りさせていただきます。それと、あなた方もいい加減近衛の家に不法にとどまるのをやめていただきたいと思いまして」
『なんだと、俺の家にいるのが不法だと!貴様、名誉棄損で訴えるぞ!』
「あの家はあなたたちの家ではなく、知佳ちゃんの家です。法律上の記載もそうなっていますので、あなたたちは現在不法占拠していることになります」
『そんなわけあるか、近衛が死んだ今、その妻を娶った俺の物だろうが!』
「なんと言われましても事実は事実です。名誉棄損で訴えるというならどうぞご勝手に。別件が目的ですが近日中にそちらに弁護士が向かうと思いますので、詳しくは弁護士の方とお願いします。あともう二度とこの電話にかけてこないでくださいねっ!」
ピッ
「っと、着信拒否しとかなきゃね……ん、これで良しっと」
「ちょ、ちょっと玲子さんいいの?そんなこと言っちゃって」
「いいのよ、二条の大奥様がそうしろって言ってたから。それに家に続く私道は関係者以外通行止めにするはずよ?」
「へ、そうなの?」
「あと倉庫の方も立て直し名目ですでに足場とか組んで隠すはずよ、下手な人に見られると困るからって。もっともあの家の周りは人通りはほとんどないから特に問題ないと思うけどね」
「立て直しって、さっきの話で言ってたやつ?なんか昨日の今日ではやいね」
「二条の人達、知佳ちゃんの義家族にかなりお冠だったからね。しかも、私も知らないことがいろいろあるみたいで、二度と知佳ちゃんには近寄らせないってカンカンに怒ってたわよ?」
「へ、へぇ~、他にもまだ何かあるんだ」
ちょっと何があったのか知るの恐いんですけど、もしかしてお婆ちゃんの遺産を使い込んでたとか?
いやでもそれは流石にない……よね?
「まあ、あの人たちと縁切るちょうどいい切っ掛けだし、良いんじゃないかな?」
「うーん、そんな簡単に縁切れる物なのかなぁ?」
「二条の大奥様に任せておきましょ、きっと上手くやってくれるわ」
「だと良いんだけど」
そして、最後にひと悶着あったけれど今日も無事終了し、明日はダンジョンに行くので早めに寝る事に。
もちろん、今日も玲子さんと一緒だよ?
……
あーさー、おはよーございます。今日も天気が良く、絶好のダンジョン日和です!
コンコン
「知佳さん、今よろしいかしら?」
む、沙織さんの声だ。
「はーい、大丈夫ですよー」
そう返事をすると、ドアを開けて入って来たのだけどその手には何やら黒い物が……なんだろ、服っぽい気もするけど結構厚みがありそうな?
「さっき届いたのだけど、これ知佳さん用のライダースーツなの。それなりの厚さの革を使っているからとりあえずの防具替わりにって」
そういって広げて見せてくれたものは、まさしく黒い革で作られたツナギだった。
「えっと、私……用?」
「えぇ、さすがに何も防具無しは危ないからって、お爺様が昨日のうちに連絡して取り寄せしてくれたの」
「え、サイズは?」
「玲子さんに聞いていたサイズで注文したのだけど、知佳さんの体型ちょっと特殊だから合うかどうか。それでね、サイズ合わせに一度着てみてほしいのだけど、いいかしら?」
「あ、はい。でもそれ、どうやって着れば?」
「それはわたしがお手伝いするわ」
そうして沙織さんと玲子さんに手伝ってもらってライダースーツなるものを着たのですが……
「お、お尻がっ……入ら……なっ……いーーーっ、ぐぬぬ」
「んー、やっぱり身長に合わせると知佳ちゃんだとお尻が入らないかぁ。やっぱり特注で頼まないと駄目ね」
「知佳さんて、お風呂の時も思ったけど、お尻大きいですよね。かといってウェストはそこそこだから特に太っていると言う訳でもないし……」
「胸もないしね!!グスン……」
「そ、そんな意味で言ったわけでは……あ、あれよ、胸が無いのはステイタスって、クラスの男子が言っていたわよ?」
「ステイタスじゃありません!ただ単にその人が特殊な性癖なだけです!さらに言うならそういう人とはお近づきになりたくありません!!」
「そうなの?まぁ、確かにあの方はクラスでも少し浮いていましたね」
「ぐぬぬ……やっぱり特殊タイプの人かっ」
そういいつつも、何とかお尻を入れようとしているのだけれど、革製品のせいか全く伸びる事が無く、どうやっても入らないのが確定した。
「ウェストとお尻のサイズはわたしとあまり変わらないのよね?わたしのを着てみる?」
「ぐぬぬ、この身長差でお尻のサイズがほぼ一緒とか……それはそれで……とりあえず着てみます」
そして沙織さんのを借りて着てみたのだけど
「お尻やウェストは大丈夫そうね。ただ……」
「ですねぇ、これは……」
「ひーざの位置ーがーずーれてーいるー、お胸もぶーかぶかー。駄目でしょこれっ!」
ライダースーツというのは着てみて分かったのだが、膝の位置や肘の位置はそこで曲げる様に元から成形されているらしく、違う所に膝や肘が来ると曲げるのに一苦労だった。
なので、長いから裾や袖を切って詰めて着るという事も無理そうです。
「ぐぬぬ……」