からまりますか?いいえ、すべります
第三階層ですが、ここはハクビシンが出るそうです。
ハクビシンてなんぞ?と思ったのですが、どうやらネコと狸のあいのこのようなものらしく、体長はしっぽも含めると1mほどにもなるそうです。
なのですが、みんなの敵ではなく、これまた一撃で撃破。
ドロップは毛皮なのですが、需要とかあるのかな?
ミンクなら高く売れそうなのにとは玲子さん談。
こいつも目的ではないのでサクサク進み、4階層へ。
4階層はサーベルラビットと言う、ちょっと長めの牙を生やしたウサギなんだとか。
角ウサギに続いて2種類目のウサギです!
こいつはね、毛皮の他に牙も落とすそうなので、ちょっとだけドロップを狙ってみたい気もするのですが、どうせ後の階層でも出てくるので、狙って探すことはせずサクサクと次の階層へ。
やってきました5階層!
ここで待望の羊さんが出たのですが、見た感じイメージにある羊よりももこもこしていますね。これが魔物じゃなかったらもふるのに……
とりあえずいつもの方法で攻撃してみましょう。
まずは私の弓。眉間を狙って……
「あ・た・れっ」
見事命中し、一撃で撃沈。
「あれ?普通の弓で倒せるよ?」
「知佳ちゃんの場合はスキルがあるでしょ?」
「あ、そっか」
そういえば、貫通攻撃というスキルがありましたね。
でも聞いた話だと頭の角が邪魔で攻撃がと言っていた気もするのですが、こうやって離れた所から弓で攻撃すればいいのではないでしょうか?
そう思って聞いてみたのですが
「そう広くもないダンジョンの中で動く敵、しかもこっちに向かってくる敵相手に冷静に弓で当てるって、結構難しいと思うわよ?」
だそうです。
なんでも、これが銃を使えるのなら普段の訓練もあるので行けるだろうとの事ですが、さすがに弓の訓練はしていないので、将来的には有効だろうけれど今すぐは難しいのではとの事でした。
しかも、羊のためだけに一人を弓士にするのもどうかと言う事で、他の方法を模索することに。
でもね、草原階層とかでも弓は有効だと思うのよ?
とりあえず、玲子さんと沙織さんにもいつもの武器で攻撃してもらったのですが……
「私は特に問題なく倒せるね」
とは玲子さん談
「私も特には……ただ、確かに槍を突き込む時に若干抵抗を感じますね」
とは沙織さん談
やはり槍を刺そうとすると柄の部分に毛が絡まって、それが抵抗になっている様子です。
とりあえず、玲子さんと沙織さんにはそれぞれ借りてきた武器で攻撃してもらったのですが
二人とも何とかなる模様。
まあ、レベルが違いますからね、力業で何とかしちゃってるのでしょうか。
それでもさすがに一撃でとはいかず、少してこずった模様。
んー、もっと細い物だと絡まない……とか?
でもそれはそれで専用武器を用意する必要がある?
ん……んん?
毛が絡むからそれが抵抗になる、何か引っかかるものが……
そうだ、来るときのから揚げ!
あれについてた爪楊枝、ビニールの袋に入っていたけど、ビニール毎爪楊枝をつまんで後ろから押しても、爪楊枝は中で滑って出てきたよね?
ということは……
「沙織さん、ちょっと槍貸してー」
「いいですけど、何か思いついたのですか?」
「ちょっとね、試してみたいことがあるの」
そうして何をするかと言うと、槍の穂先の付け根すぐの柄部分からルーズリーフの紙を数枚巻き付け、それを包帯なんかを止める為のテープで止めて柄部分にカバーを付けます。
その紙を巻いた部分を持って槍を前後すると、紙がカバーとなって握っているのに動きます。
そしてその紙を槍を振るだけではズレないように、槍にテープで止めちゃいましょう。
「知佳ちゃんそれ……」
「絡まるなら、絡ませたまま突けばいいじゃない!ということで、毛が絡んでも槍が動くようにしてみました」
「あー、なるほどねぇ。絡まっても良い様にしちゃうわけか」
「確かにこれならいけるかもしれませんね。ただ、紙だと1回で破れちゃいそうですけど」
「そこはそれよ。これで行けるなら別の手を考えればいいの。たとえば薄い鉄板でカバーを作ってスライドできるようにするとかね」
と言う事で試してみてもらう事に。
結果はと言うと、紙だとさすがに途中で破れるっぽいけど、先ほどと比べて格段に深く刺せる様になったとの事。
あとはこれを元にもっと良い形で実現してもらえばいいでしょうとの事で、ここに来た目的の一つは達成です!
え?剣の方はいいのかって?
そこはそれ、技術を磨いて毛のない所を攻撃できるようにしてもらうしかありません!
あとは羊用に、小型でもいいので弓などの遠距離手段を用意してそれで攻撃するか、何か魔法を手に入れるかですね。
あ、魔法では簡単に倒せましたよ?
使い捨てのスクロールはそこそこ安価なので、そっちを使うという手もあるかもしれませんが、幾ら安価とはいえ羊からのドロップではどう見ても大赤字なので、現実的ではないですけどね。
実はあと一つ思いついた案があるのですが
「油かけて火をつけて毛を燃やすっていうのは……」
「羊がこっちに来て燃え移るかもしれないから却下ね」
と言う事でした。
そんなこんなで依頼事項は達成し、ドロップ品も羊肉に羊毛と確保したので、そろそろいい時間ですし6階層に移動して外に出ましょう。
ちなみに羊毛は一抱えほどの塊なのですが、どうやらギュウギュウに糸で纏められているらしく、解くと掛布団1枚分ほどになるのだとか。
これは明日も羊を沢山倒して、皆の分の掛布団と敷布団両方作れるくらい羊毛を集めたいですね!
あ、羊肉も当然沢山集めますよ?
ダンジョンから外に出ると、着替える前に榊さんがお婆様達に連絡を入れてくれました。
そして着替え後はいつものような詳しい報告は特になく、無事出てきたことだけを報告してお婆様たちと合流し、今日泊まる予定のホテルへ移動。
なにやらね、駅のすぐ近くのホテルで、ここの最上階フロアが空いていたので借り切ったとの事……
予約入れたの、昨日の夜だよね。そんなこと可能なの?
まあ、空いていれば可能なの……かな?
ここですでに来ていたお爺ちゃん達とも合流し、レストランでみんなでお食事を。
レストランで食事とか初めてなんだけど?マナーとか学校でちょっとやっただけなんだけど?
と思っていると、特に気にしなくても良いとのことなので、一応周りの人をチェックしながら食べることに。
コース料理っていうの?一度に全部出るんじゃなくて、食べたら次が出てくる奴。
初めて食べたけど大変美味しゅうございました。
その時にね、もしマナーを勉強したいなら家でもたまにコース出してもらうよと言われたので、今後必要になるかもしれないと考え、お願いすることにしました。
まぁ、必要にならないに越したことはないんだけどね!
その後は一番大きなお部屋に集まり、今日のダンジョンでのお話を。
とりあえず6階まで到達したことを報告し、敵は弱くて何も問題がなかったこと。
そして今回の目的の一つである羊の倒し方については
・弓矢や魔法などの遠距離攻撃を使って頭を狙う
・どうしても近接戦闘で倒したいなら、槍にカバーを付けて毛を巻きつけられても大丈夫なようにする
・それらが無理な時は技量をあげて頭を狙う
というのを伝えた所、その案を自衛隊の方達に伝えておいてくれるそうです。
ただ、とりあえずは紙を巻くなり布などを巻くなりで対処するけど、将来的にはそれ専用の槍を作ったほうが良いかもという話になりました。
その後は羊肉と羊毛が取れたことに話が移り、羊肉は明後日に予定している花見でジンギスカンにしようと言う事になりました。
このホテルの料理人の人に味付けをしてもらうんだとか。
なんでも、ジンギスカンは事前にタレに漬けて味をしみこませておくのが良いのだとか。
ただ、気になったことが一つあったので聞いてみることに。
「花見でジンギスカンって、やってもいいの?」
「いいのとは?」
「ほら、最近ニュースでキャンプとかでもバーベキューは禁止とか多いじゃない?」
「あぁ、そのことか。ジンギスカンはね、ジンギスカン鍋という専用の物を使ってやるので、持ち運び出来るガスコンロを使うんだよ」
「もちろん、炭火と網でやる方法もあるけど、肉から出てくる肉汁をしみ込ませた野菜も美味しいからね」
との事でした。問題ないなら、良いのかな?
それに、肉汁のしみ込んだお野菜……さっきご飯食べたばかりなのに口の中によだれが出てきましたよ?
その後は各自あてがわれた部屋に移動し、お風呂に入ってから就寝です。
私は大きな一つのベッドのある三人部屋で、玲子さんと沙織さんと一緒に3人で寝ました。