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スキル『砦』を使って快適ダンジョンライフ  作者: 日進月歩
第四章 ダンジョン発生から一月経過
180/232

●その頃のM王国の様子と……

 ◆◇◆ M王国大統領官邸執務室 ◆◇◆


 そこにはこの国の大統領と高官数名がいた。


「なぜ日本からは我が国にはろくに情報が来ないのだ?他国に潜り込ませているスパイからはすでに21階層に到達しているという情報が来ているぞ!まさかお前らの所で止めているわけじゃあるまいな?」

「そんな事するはずないでしょう?そもそも、最近は我が国に対して反抗的な態度を取っていますからな、ダンジョンで少しでも有利に動きたいのでは?」

「だからといって、我が国に情報を渡さないなど、許されざるべき事ではないかね?」

「あれじゃないですか?数年前の連中の巡視艇、あれに戦闘機が誤って攻撃したのを今でも根に持っているのでは?」


 そう、数年前の夏に、日本の近隣国であるこの国は自国の海域に日本の漁船が入り込み、不法に操業を行ったとして海軍が警告を与えに漁船に接近、警告を行った。

 しかし、向こうはそれに対して海上保安庁が、近海にいた巡視艇をまわし巡視艇がこれに対応。

 これを軍は領海侵犯とみなし、空軍が緊急発進。

 そして戦闘機にて威嚇飛行をしたのだが、それにもかかわらず退去しなかったため、巡視艇に対し機銃にて威嚇射撃を行った。

 威嚇射撃を行ったのだが……その時狙いを誤って銃弾が船のエンジンに当たり沈没させてしまったという経緯がある。


 この国にとっては、ちょっとしたミスであり、その位は見逃せよと言うのが軍および国の上層部の見解であった。

 そもそもが自国の海域に入ってくる方が悪いという認識であり、そのまま戦争に発展させなかっただけありがたいと思えと言う官僚までいるのだ。


 しかし、これはあくまでこの国での認識であり、その該当する海域は実は日本のEEZ(排他的経済水域)内であった。


 なぜこんな認識違いが起こったのか、これには深ーいわけがある様で全くなく、実はこの国の電子機器が古く、またオペレーターも新人で不慣れであり、単に座標を間違えただけであったのだが、このミスを知った軍上層部はこの件を隠蔽、日本が不法に自国の海域に侵入したと報告。


 その結果、過去には友好国であった事もある日本は、現在この国を潜在的敵対国とみなし、国交断絶に向けて動いている状況である。

 しかし、この国としては日本は自分たちよりも格下で、自分たちに対しては常に自分たちを敬わねばならない、自分たちの為になる事をしなければならないと認識している。

 この認識には、その巡視艇沈没の件に対しても日本からは遺憾の意を伝えられただけで、物理的反撃が何もなかったのも災いして、「日本は我が国に頭が上がらないのだ!」と勘違いを冗長させているのも要因の一つだろう。


 そんなこんなで、日本側からしてみれば「なぜ潜在的敵国に情報を与えねばならないのだ?」と言う状況にある。


 しかし、そこはそれ、お人好しの国日本も、潜在的敵国に対しても最低限の共有するべき情報は与えていた。

 もっとも、これについては国交の全くない国に対しても渡している情報であり、全世界、人類として知っておくべき最低限の情報と言う認識である。


 ただ、これら情報を与えられ、なおかつ世界の半分以上の国との国交がないこの国にとって、全ての国にこれらの情報を流しているとは思っておらず、いまだ日本は自国を友好国とみている……いや、自国を上とみなし敬っていると勘違いしているのだ。


 そんな折、ある一人の高官がこう言いだした。


「そうだ、我が国が音頭を取って世界ダンジョン会議を発足してはいかがでしょう?」

「なんだそれは」

「ダンジョン攻略に関しての情報共有を世界規模で行い、各国が効率的にダンジョンを攻略できるよう取り決めを行う組織です!」

「ふむ、その組織の発案を我が国で行い、音頭を取っていこうという訳か」


 その発案に、満面の笑みを浮かべそう答えた大統領はと言うと、世界各国から称賛を浴びる姿を思い浮かべているのだろうか?


「そして当然最初の代表には我が国からの人物を据えると言う事か?」

「その通りです!そうすれば有益な情報はすべて我が国が率先して知る事ができ、それら情報のうちどの国にどの情報を与えるかも我が国の胸先三寸次第」

「なるほど、その組織を使えば各国でのセーフダンジョン保有数の取り決めたりもできますな!」


 と、アイディアはいい感じであるが、所詮は取らぬ狸のなんとやら……

 まず世界各国への声掛けは、まあ電話するだけ、メールを送るだけなら出来なくはないだろう。


 しかし、こういう事は主要国首脳会談(通称G7)なり、G20なりの世界の中の主要国と話し合い、取り決める物ではないだろうか?

 にもかかわらず、この国の首脳たちは自分たちが連絡すれば各国は二つ返事で了承するだろうという、たとえアメリカをはじめとしたG7参加国が単独で言い出しても、きちんとした根回しなどの調整をしなければ到底無理なことを、平気で出来ると思っていたりする。


 さらには、この国が思いつくことを突飛な事柄にはめっぽう強い日本が思いつかないわけもなく、すでに同様の組織発足に向け日本が音頭を取り、アメリカをはじめ、フランスやドイツなどG7参加国が主導して進んでいるという実情があるため、この国が主導してという案が実現されることはない。


 いや、この連中からしてみると、自分たちが一度思いつき、有効かは判らないが他国に打診した段階で、この組織がもし立ち上がれば自分たちの功績だと言い張ること間違いないだろう。

 そう、たとえこういう組織を作ろうというメールを各国大使館に一度送っただけで、組織の詳しい内容も、運営方針の取り決めなどの話し合いもしていなく、結果その内容を無視され返信が来てないとしても……




 なお、今回出てきたこのM王国、その名前をムーリンク王国と言い、所在地としては台湾の南東、フィリピンの北東、グアムの北西に位置し、日本から見ると九州の真下よりやや西よりに位置するところにあり、台湾より少し小さい国土面積を持つ島国である。


 元々は某国の植民地と化していた時代があり、第一次大戦後日本が植民地から解放、日本の領土に組み込んでいた。

 その後、第二次世界大戦での日本の敗戦にあたり独立、戦勝国からの日本へのパッシングなどもあり、日本はこの国に対して数年前まで友好国として色々と便宜を図っていたという歴史がある。

 この国の国名、ムーリンク王国とは「ムー王国と繋がるもの」と言う意味があり、自分たちはムー大陸の生き残りだと主張しているが、その実この島の住民の起源は大航海時代の流民達である。

 そして、王国と名が付くのに大統領制なのはあくまでこの国が独立するときにそう名付けただけであり、その国名は世界各国からは嘲笑の的であるが、この国の国民は誰も気が付いていない。


 また、この国の人々は上記のような認識のため、現在の人類の起源は自分たちだと主張しているが、誰も相手にしていない。

 さらにいうと今回のダンジョン発生について、この国の国土面積や人口数から見て、資源埋蔵量の多い他の国々と比べた場合その数が多いため、神に優遇されている=神に認められた国と勘違いしている。

 もっとも、この国と比べると日本はさらに多いのだが、その事には目をつむっているようだ。

 そう、ダンジョン発生数は国土面積や人口数も確かに要因の一つではあるが、その国の国土面積に対する資源埋蔵量も関係しているのだが、その事には気が付いていない。


この国、いままで名前は出てきていませんが、存在はちらほらと出てきていました。

世界に一つくらい、現実には存在しない島国ができても異世界扱いには……ならないですよね?

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お暇でしたらこちらもよろしくお願いします
― 新着の感想 ―
[気になる点] この国の国名、ムーリンク王国とは「ムー王国と繋がるもの」と言う意味があり、自分たちはムー大陸の生き残りだと主張しているが、その実この島の住民の起源は大航海時代の流民達である。  そし…
[気になる点] 王国の国家元首は国王なので、同じく国家元首である大統領がいることに違和感を覚えました
[良い点] 某K国と似通った感じですね。フィクションだから好きにやっちゃって下さいw
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