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スキル『砦』を使って快適ダンジョンライフ  作者: 日進月歩
第一章 その時地球が震えた
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●ダンジョン出現後の他国の状況


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ ダンジョン出現後のアメリカ某所 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 そこには迷彩服を着て手にはM4ライフルを構え、肩にはフラッシュライトを装備した男たちが集まっていた。


「よし、各PTは装備を確認後、順次中へ突入せよ」


 そう指示が出され、昨日発生したダンジョンへと乗り込んでいく面々。中へ入ったは良いのだがそこで早速問題が発生した。


「な、なんだ、真っ暗だぞ?ライトはどうした」

「いや、つけていたんだが入ると同時に消えたんだ」

「早くつけなおせ、全く周りが見えないぞ!」


 カチッカチッ


「ダメです、つきません!」

「こっちもダメでさ、カメラのライトも消えてる」

「なんて事だ、もしかしてダンジョンの中は電子機器が使えないという事か?」

「出口だ、とりあえず出口を探せ!」


 出口を探そうとする中、何処からともなく犬の唸り声のような物が聞こえてきた。


「な、何かいるぞ、モンスターか?」

「声からして犬か、オオカミあたりですかね?」

「周囲警戒、同士討ちに気を付けろ!」


 中へ入ると急にライトが消え、そんな状況でモンスターが発したと思われるうなり声を聞いて焦る面々だったが、隊員の一人がふとある事を思いついた。


「あ、そうだ」

「どうした、今は接敵中だぞ!」


 シュボッ


「おぉ、明かりだ。そうか、火ならつくのか!」


 その男がとった行動は、たばこに火を着けるジッポライターで灯り代わりにするという事だった。


「しかしライターのオイルもそう持ちませんよ、何か火をつける物は無いですかね?」

「とりあえず今はモンスターの排除を優先する。上手くその火で声のした方を照らしてくれ!」


 隊長はその火を見て酷く頼りないと思いつつも、今はそのわずかな灯りに頼るしかないと悟り、うなり声のした方を照らすよう指示を出した。出したのだが時すでに遅く


 ガウッ


「ぎゃぁーーー、う、腕がぁっ」

「ジョーイ、このっ」


 バララララララ


    チュンチュンチュンチュンッ


「ギャッ」

「グッ」


 急に襲い掛かられ、パニック状態を起こした隊員が一名、その隊員は敵がいると思われる方向に銃を連射した結果、弾が壁で跳弾し味方に当たってしまった。また反響音もかなり酷く、全員の耳にも少なくないダメージを負う事になった。


「クッ、耳がっ、反響が酷いな」

「音の反響が酷いぞ、これはサイレンサーを付けて来るべきだったか」

「隊長、ケビンとボビーが跳弾で!」

「クソッ、銃を使うときは角度に気を付けろ、かなり跳ねるぞ!あとバラマキは危険だから止めろ、単発で確実に狙うんだ!」

「この畜生がーーー」


 その後、何とかライターの炎に照らされた敵を発見、単発撃ちで狙い撃ち。その弾は見事的に当たった様だったが、倒すまではいかなかったらしくさらなる攻撃を仕掛けられてしまった。

 しかしその反撃も当てることかなわず、別の隊員からの反撃を食らい敵を倒す事に成功。


「何とか倒せたか。とりあえず他の敵の気配はないですね」


「ケビン、ボビー、ジョーイ大丈夫か?」

「あぁ、俺はかすっただけです」

「ぐぅっ、足が…」


 どうやら跳弾による被害は、一人はかすり傷だがもう一人は足に当たりあまりよろしくない状態のようだ。そしてそれ以上に最初に攻撃を受けた男は腕をかまれ肉をかみ千切られ、かなり血を流していた。


「隊長、ジョーイの腕が……」

「クソッ、肉がかみ千切られてやがる。早く止血を!」

「ハーンス、その火を何とか大きく出来ないか?」

「隊長、そうは言っても燃やすものがありませんぜ」

「くっ、何かないか……」



「止血、終わりました」

「よし、とりあえず第一目標をダンジョンからの脱出にする」


……


 そうして頼りない火を頼りに出口を探してさ迷い歩いているが、途中何度も敵の襲撃を受け隊員たちはさほど時間が経っていないにもかかわらずかなり疲弊していった。


 とそうした最中さなか、男たちをさらなる不運が襲った。


「クッ、またモンスターか」

「今度俺がやります」


 カチンッ


「ちっ、ジャムったか」

「どけ、俺がやる」


 カチンッ……ガシャッ、カチンッ


「なんだと、弾が出ねぇ」


 その後、他の男たちも敵に向けてトリガーを引くが、全ての銃において弾が出ることは無かった。


「仕方ない、ナイフで応戦だ」



 そして、男たちは出口を探す最中、敵の攻撃により隊員三名が命を落としたが何とか無事ダンジョンから生還。

 ダンジョンの中で起こった事柄に対し、余すことなく即座に軍上層部および大統領に報告された。


 その後の調査では、ダンジョン内に持ち込まれた弾薬は時間がたつと使用不可能になる事が判明。そしてそれら使用不可能になった弾丸は、ダンジョンから出た後も使えないままだったと後に報告された。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 某大陸大国 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「ダンジョンだと?新しい資源が取れるならどんどん人を送り込んで取ってこさせろ!」

「しかし、中は何が起こるかわかりませんよ?」

「ふん、人だけは腐るほどいるんだ、普段うちの派閥に反抗的な連中からどんどん送り込め。もちろん出てきた奴はきちんと歓迎してやるんだぞ?」

「歓迎…ですか?」

「そうだ、歓迎だ」


 そう言ってにやりと笑い、その顔を見た相手も言いたい事が分かったのか


「了解しました、歓迎の人員も配置しておきます」


 そう敬礼して部屋を出て行った。



 その後、国内で発見報告のあったそれぞれのダンジョンに調査隊を投入しようとしたが、その実に4割ほどはダンジョンから一定の距離に近づくと頭痛を訴え、使い物にならなかった。

 また、ダンジョンに近づくことのできた残り6割の人々も、1PTにライト1つと各自にナイフを1本だけ与えられた状態でダンジョンに突入させられ、誰一人として出てくるものはいなかった。


「くそっ、まさか中で籠城しているんじゃないだろうな?」

「それについてですが、他国の情報でも出てきたものはいないとの報告が……」

「ちっ、それなりに武装させて突入させ、少しでも情報を得てからの方が効率的か」


「よし、下っ端じゃ話にならん、軍の特殊部隊に行かせろ!」

「ハッ、手配します」


 それらの報告を受け、命令を出していた男はこう思っていた。


 こんな訳の分からない物、一体だれが……まさか東洋の島国の新兵器ではないだろうな?いや、あの声はそういうものではなかったはず。いくら突飛な発明をするあの島国でもさすがに……と。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 某諸島のとある国 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「ダンジョンか、貧乏な我が国にとって転換期が訪れたとみるべきか、さらなる地獄の幕開けか……」


 見方によっては執務室と思われる質素な部屋の中で、口ひげを生やした男が難しい顔をしながら昨日発生したダンジョンについて思いをはせていたところ、驚くべき報告があった。


「大統領、どうやら民間人数名が有志を募ってダンジョンと思われる建物に入って行ったそうです!」

「なんだと!ただでさえ少ない国民を無駄死にさせるわけにはいかん、今すぐ辞めさせろ、まずは世界各国からの情報を待つんだ。特にこういう訳の分からん現象には東洋の島国が強いはず、あの国からの情報を得られれば……」

「しかし、すでに数組が突入したと」

「くっ、無事戻ってきてくれればいいが」


 どうやらその男はこの国の大統領のようだ。しかもかなり貧乏な国のようだが、その男は国民の安否を心配をしていた。



……



 そこは手に持った松明の光以外、一切の明かりの無い、石造りの巨大な通路だった。


「ここがダンジョンとやらかぁ、結構広いんだなぁ」

「だなぁ、とりあえず探し回ってみるべ」

「んだんだ。仕事しても一向に裕福にならねーでな、ここで一山当ててかーちゃんに美味いもん食べさせてやるべよ」


 そう言った男たちが手に持っている物は、松明に手斧や鉈などだった。


「ダンジョンって、暗い事を除けはそこそこ涼しくて過ごしやすいかもな」

「ばっかおめぇ、モンスターとか言うのがいるんだろここ?さすがにそいつらに怯えながらじゃ過ごしやすいも何もねえべ」

「ちげえねぇちげぇねぇ。しっかし、入った所から出れるわけじゃねぇんだなぁ」

「だなぁ、とりあえず出口探すか。出口見つけたら、その近くでモンスターとやらを探すべ」


 そのまま男たちは出口を探してダンジョン内を進んでいたが、数分進んだ所で前方に白い塊が動くのを見つけ警戒をあらわにした。


「お、なんか白いもんが動いただど」

「どれどれ、おぉ、でっけーうさぎだな」


 その視線の先には中型犬ほどの大きさのうさぎの様なものがおり、男たちに向かってジャンプしながら移動してきていた。


「あれがモンスターってやつだべか?」

「じゃ、いっちょやるかね?あの大きさなら持って帰ればみんなに肉が食わせられそうだでよ」


 そして大きなうさぎが男に一定距離に近づくと同時に戦闘が始まったのだが、うさぎは先頭にいた男の鉈の一振りで頭をかち割られ、あっけなく撃沈。その様はとても戦闘と呼べるものではなく、狩りと呼ぶのがふさわしかった。


「なんでぇ、モンスターと言っても、結局はおっきな動物けぇ。これならどんどん行けるなぁ」

「よっし、血抜きするべ」


 そう言ってうさぎの首を掻き切った後足を持って血抜きをしていたが、その途中で手に持ったうさぎが消え、代わりに2kgほどの肉が手の中にあった。

 また、それと同に足元に直径1cmほどの透明な石ころが地面に落ちた。


「あんれま、うさぎが肉になっただ」

「なんだって?おめぇもしかしてもう食っちまっただか?」

「いやいや、足持って血抜きしてたら、突然うさぎがこの肉に変わっただよ、後なんか石みたいなものが落ちたで拾ってくれ」


 そして地面に落ちた透明な石ころを拾い、男たちは出口を探して彷徨い歩き続ける事2時間、通路の先に光るものを見つけ無事ダンジョンから出ることが出来た。


 この時の戦利品として


  透明な石ころ ×6

  30cm四方ほどの毛皮 ×1

  2kgほどの生肉 ×2


 を手に入れ、それなりの量の肉にホクホクしながら家族の元へ帰っていった。



 余談ではあるが、大うさぎが落とした肉はたいそう美味しかったそうな。


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短編を書いてみました


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お暇でしたらこちらもよろしくお願いします
― 新着の感想 ―
[良い点] 鉱物だけではなかったんですね。大国からしてみれば無くてもやっていけるけど、溢れ出すのが怖い。小国にとっては資源を手に入れるチャンスと、バランスがとれているのかもしれませんね
[気になる点] 某諸島の住民の言葉をわざと訛り言葉にしていたところ。 差別ととられてもおかしくない表現なのではないかと思いました。
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