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スキル『砦』を使って快適ダンジョンライフ  作者: 日進月歩
第四章 ダンジョン発生から一月経過
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のけ者にしますか?いいえ、一緒に行きます


 あーさー


 さてさて、今日は予定通り朝から皇居ダンジョンですが、初の自転車での移動なのでね、それによってどの位階層の攻略スピードが速くなるかの実験も兼ねますのでね、楽しみです!


 今日はお休みの日なので、ミミちゃんもつれていつものごとく、警視庁地下にあるKD(皇居ダンジョン)対策本部へ一度顔を出します。

 そこでね、いつものやり取りの他に最後のメンバーが決まった旨を伝えると同時に、玲子さんが何やら封筒を渡していました。

 どうやら榊さんの身辺書のようで、それを受け取って中を確認したKD対策本部の総指揮官である阿方さんは途中で顔をしかめると。


「この人物、母方の祖母が海外の方のようですが大丈夫なのですか?」

「あぁ、その国の国民しかダンジョンに入れないという件ですか?」

「それもですが、祖母が祖国とつながっているとか……」


 何やら問題発生?そう思ってちょっと心配したのですが


「まず第一に、榊さんはすでにダンジョンに入っていますので、神に日本国民と認められたと思って間違いないと思います。そして次に祖母の件に関してですが、こちらの調査では問題なしと出ています。そうでなければ第三とはいえ会長の秘書にはなれませんから」

「それはそうかもしれませんが、場所が場所ですので……」

「もちろん、そちらでも公安なりを使って調査していただいて構いませんよ?そのための資料ですし」

「では、それまではこの方は皇居ダンジョンに入れないという方向でお願いしたいのですが?」


 えー、榊さんしばらくいっしょに行けないの?んー、それならしばらくは皇居ダンジョンはお休みしようかなぁ。


「そうですか、それでは許可が出るまで我々も皇居ダンジョンには入らないことにしますね」

「いや、あなた方は問題ないのでどんどん入って攻略を進めてほしいのですが……」


 玲子さんは私と同じ考えのようで安心しましたが、阿方さんは榊さんを除いて皇居ダンジョンに入ってほしいと……でもねぇ。


「んー、知佳ちゃんはどう思う?」

「えー、榊さんはもう私たちの仲間なんだから、榊さんだけ連れていかないっていうのは無いよね。それに連携の練習とかもしなきゃだから、一緒に行ってもいいって許可出るまでは行きたくないかなぁ?」


 と素直に思ったことを言うと、阿方さんは慌てた様子で手に持っていた資料を部下らしき方に渡して何やら指示を出し、その後こちらに向かって


「早急に手続きを済ませます。明日には許可を取り付けますので、取れ次第ご連絡させていただきます」


 と言ってきました。あれ?もしかして脅したことになる?ならない……よね?


「では、本日は午前中だけ皇居ダンジョンにこのメンバーで入り、午後はお休みさせていただきます。本日の夕方までに色よいお返事がいただければ、明日はこちらに一日入れるかと思います」


 玲子さんがそう伝えると、阿方さんも安心した様子でお礼を言ってきました。


……


 そんなこんながあり、やってきました皇居ダンジョン22階!

 初めて平原フィールドを見たミミちゃんはね、もう大興奮でその辺を走り回っています!

 走り回っていますが……案の定すぐ疲れて戻ってきました。


「はいはい、抱っこね」


 そうしてはしゃぎまわって疲れたミミちゃんを膝に抱え、皆の自転車を異次元倉庫から取り出してしゅっぱーつ!


 今回はね、敵が出たときの対策に、私のスキル『砦』の結界をうまく使ってやり過ごすという目的がありまして、最初に敵が出たときに結界の強度がこの階層の敵に通用するかを再確認して、問題なければ大半の敵は無視して進もうと言う事になっています。


 もっとも、前回の21階層の敵に対しては、葵さんが盾で受け止めた感じ何ら問題ないだろうという評価だったのでね、今回も問題はないだろうけど、皆自転車に乗っている状態なので一応確認しようと言う事になりました。


 確認しようと言う事になっていたのですが……


 かなり向こうの茂みの上からゴブリンの頭と思わしきものがいくつかちらほらと。


「ねー、あそこにいるの、ゴブリンだよね?」

「どれどれ……あー、ゴブリンっぽいねぇ」

「ゴブリンは、近づかせるの嫌ですね」


 やっぱりゴブリンは不評ですね。臭いしね!


「じゃさ、私がサクッとやっちゃっていい?」

「そうね、特段目立ったレアも落とさないし、サクサクやっちゃってもいいわよ」


 それじゃ許可も出たし、この間動画で見た弓道の撃ち方を参考に考えた新しい撃ち方を試してみますか。


 弓で空を狙う様に矢をつがえつつ持ち上げて、そこから45度の角度に降ろすと同時に弓を半分引き……


「あ……」


 そこから敵に狙いを定めつつ限界まで引いて……


「た……」


 敵を射抜くイメージで……射るっ!


「れっ」


 放たれた矢はみごと狙ったところにヒット!


「おー、この距離を当てるとは、知佳ちゃんすごい!」

「知佳さん、今の撃ち方は……いえ、次は普通の撃ち方で狙ってみてもらえますか?」


 普通のっていうと、いつも通りかな?よーし、次はこいつを……


「おー?普通でも当たるのね。さっきのだと威力が上がったりするのかな?」

「えへへ、実は今のは隣のを……」


 そう、今回は狙った奴の隣のにたまたま当たっただけなんですよね。

 しかし、どうやら新しい撃ち方は弓道での撃ち方をまねしたせいか、集中力が付くというか、敵を狙うのにいい感じですね。

 もっとも連射には向かないですけど、遠い敵を狙うなら問題ないですよね?


「なるほど、それでも100m近くある敵に当てれるって、それはそれですごいですよね」


 とのんきに話していますが、実は敵はまだこちらに気が付いていません。

 いや、気が付いているのかな?きょろきょろした後、こちらを見つけた気もしますが、この距離で攻撃されたことを信じられないのか、さらに周りをきょろきょろして敵を探している様子です。


「とりあえず知佳ちゃん、最初の撃ち方で残りもやっちゃって?」

「はーい、やっちゃいますよー!」


 そして残り二匹いたのですが、こいつらも新しい撃ち方で狙ったところ、一匹目はきょろきょろするだけで動かなかったので問題なく、二匹目は逃げようとしたのですが、何となく矢が届く瞬間の敵の位置がわかる気がしたのでそこを狙って撃つとみごとに命中しました!


「すごいね知佳ちゃん、最後のやつは逃げようとしたようにも見えたけど、見事に当てたね!」

「この距離をバンバン当てられるって、大会に出ても十分上位狙える腕前ですよ?」

「えへへ、長距離の場合は役に立てることが分かってよかったよー」

「これは、私たちも何か遠距離の攻撃手段を持たないとやる事なくなるかもしれませんね」

「それにしても、構えてから撃つ時に当たれって言ってたけど、おまじないか何か?」


 そこやっぱり聞かれましたか。それはね、決して厨二病ちゅうにびょうを発症したわけじゃないのでね、きちんと説明しなきゃですよね。

 なんといっても、私はもう中学三年生ですからね!


「んっとね、ネットでいろいろ見ているときに自衛隊の人たちが使う銃をたまたま見てね。それで、安全装置に「あ」「た」「れ」って書かれているのを知ってね、私も「あたれ」って言いながら矢をったら当たるかなって」


 そう、わたし的には「あたれ」というのは、日本を守ってくれる自衛隊の人たちが使っている銃に書かれている文言だったので、まあおまじない的なっていうのは間違ってないんですけど、あれで思ったより集中力が増した気がするんだよね。


「あの弓を上にあげて、降ろしながら引いていくのは弓道の?」

「そうそう、あれも動画で弓道の撃ち方見てね、ちょっカッコいいなって思ったのと、弓道がああやるのはなにか意味があるんだろうから、私も真似てみようかなって。ちょっと形変わったけどね」

「あー、やっぱり弓道のアレンジなんだ。それで集中力が増してあの距離でも当たるようになったと見るのがいいのかな?」


 そんなこんなで私が新しく考えた撃ち方は成功に終わり、結界の実験をするための次なる敵を求めて自転車で22階層を進んだのでした。

 あ、ゴブリンの落とした魔石はちゃんと拾っておきましたよ?


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短編を書いてみました


勘違いからの婚約破棄騒動


お暇でしたらこちらもよろしくお願いします
― 新着の感想 ―
[一言] 天才スナイパーだった!
[良い点] こないだから読み始めて追いつきました。 スキルを十全に使えないって当たり前ですよね、私スマホもフルスペックから考えると一割も使えてるかどうかわかりませんもん。 補助知性という概念を持ち込ん…
[一言] まさかぼ89式の あんぜん たんぱつ れんしゃ とはw
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