お部屋に戻りますか?いいえ、まだもどれません
ごーはーんー!
今日のご飯は鳥の照り焼きと棒棒鶏サラダ!
照り焼きにしたもも肉がテラッテラと輝いています!
照り焼きの甘辛いたれと絡んでじゅわっと出てくる肉汁がですね、もうね……ほっぺた落ちそう!
棒棒鶏もさっぱりと仕上げられたお肉に絡みつくゴマダレと、シャキシャキレタスのハーモニーが……二条家の料理人さんすごいです!
今日もおいしいご飯有難うございます!
さて、ご飯が終わった後はまたいつものようにみんなで集まってお話です。
「知佳ちゃん、明日の話なんだけど、明日はダンジョンに行く予定じゃ無かったよね?」
「そうですね、土日とダンジョンに行く予定なので、明日はダンジョンはお休み……だよね、玲子さん?」
「そうね、明日は自転車も届く予定だし、ダンジョンはお休みの予定ね」
いよいよ皆の自転車が届くのです!みんな乗れるのかな?
わたしはね、自転車なんかよりもっといいこの車椅子があるのでね、悔しくなんかないのですよ?
「そこでだね、学校が終わったら本社のほうに顔を出してほしいのだけど、いいかね?」
ん、本社?本社ってなんぞ?
「本社……というと?」
「あぁ、場所なんかは玲子君が知っているから、知佳ちゃんは車に乗っているだけでいいよ。もちろん社内では車いすで良いからね」
ふむー、まぁ特に用事もないし?
「連れて行ってもらえるなら、いいですよ?」
「そうだな……学校が終わってまっすぐ来れば3時頃には着けるかな?そこで新しい人と面接してもらおうと思ってね」
「あぁ、新しいメンバーが決まったのですか?」
「決まったというか、数人候補がいてね。その中から最終的に……と言った感じかな?せっかくなので今回は知佳ちゃんにも直接会って決めてもらおうと思ってね」
「私が決めるんですか?沙織さんや他の人の意見なんかは?」
えっと……そんな大事な事を私が決めちゃっていいのですかね?むしろ跡継ぎの沙織さんや、大人な他の3人に決めてもらった方がいいような?
「その顔だと自分が決めていいのか悩んでるようだね。玲子君や葵君、楓君は誰が来てもそれなりにやっていけるだろうし、沙織は……人見知りは激しいが、知佳ちゃんが選んだ相手ならきっと上手くやっていけるだろうからね」
「そうね、私たちは仕事と割り切ることもできるし、知佳ちゃんがやりやすい相手を選ぶのが一番だと思うわ」
「そうですね。お爺様の言い分に思うところがないわけでもないですが、知佳さんが選んだ相手ならうまくやっていけると思うわ」
「私たちはそういう訓練も受けているから、よっぽど変な相手でなければやっていけるので、知佳さんがこの人と思った相手を選んでください」
「その場のノリで好きに選べばいい」
と皆さんおっしゃりますが……なるほど、大人な三人は誰が来ても基本問題なしと。そして沙織さんも人見知りはするものの、私がOKを出せば大丈夫と。
そこにちょっと納得いかないものがあるけれど、あとは私が受け入れられる人かどうかが問題……と。
「まぁ、そういう訳で知佳ちゃんとの相性が一番大事だと思うのだよ」
うーん……
ま、まぁわたしも人見知りするほうだし?せっかくの申し出だから選ばせてもらいましょうかね、この私がっ!
「えっと……そういう事なら、せっかくなので。でも、それで最終決定ってわけじゃないんです……よね?」
「いや、最終決定だが?」
えー、私が最終決定なの?いや、そう言ってたけど、言ってたけどーーー、もしかして責任重大!?
「あぁ、選んだ相手は今後一緒にダンジョンに行ってもらうが、選ばれなかった人達も今後ダンジョンアタックチームとして別PTとして活躍はしてもらうから、そう気負う事はないよ。あくまで知佳ちゃんと一緒にもぐってもらう相手というだけだし、後でそりが合わない様ならメンバーチェンジもできるから気楽に構えてくれ」
んー、結局はお試しみたいなものなのかな?それじゃその場のノリで決めちゃいましょうかね?楓さんもそう言ってるしね!
そんなこんなで、明日の放課後は予定も決まり、この後は今日のダンジョンであったことの報告と、今後必要になりそうなもの(背負い子や藪漕ぎ用の道具など)の報告をして解散となりました。
そしてお部屋に戻ろうとしたその時……
『全世界の諸君、お疲れさまだ。地球そのものの意思である』
と、どこかで聞いたような声が聞こえてきた。
「えっ」
「おや」
「ふむ」
「あらぁ」
どうやらみんなにも聞こえてるみたいですね。
この声、今思ったけど耳から聞こえてきてるんじゃなくて、頭の中に直接聞こえてきてる……のかな?
いや、聞こえるというのも違うなぁ、言っている事を認識したというのが正しいのかな?
そう考えていると、お部屋に戻るために立ち上がろうとしていた皆はまた椅子に座り直し、話を聞く体制になったようです。
んー、この声……どこ、で……
「あぁ、しゃべり方が違うけど、あの人だ。ダンジョンで色々くれた人だ」
そう思っていたら、あの時とは違って厳かな口調で続きをしゃべりだした
『ここでとても残念なお知らせがある』
『私は良かれと思い、全ての国に対し資源発掘のためにダンジョンを作成した。だが、一部の国ではダンジョンを兵器として使おうと企んでいる者がいるようだ』
『そしてその実験を行うため、いくつかのダンジョンに全く入ることをせず、その結果がどうなるか試そうとしている』
『結果、本来ならすでにそれらのダンジョンが崩壊し、中からモンスターがあふれ出しているはずだが、今回だけは特別にダンジョン崩壊を私のほうで無理やり止めている』
『だが!それは私の望む所ではない。よって、今から一週間待つ。一週間以内にそれらのダンジョンの攻略度が規定に達しない場合、その国はダンジョン攻略を放棄したものとみなし、その国に存在する全てのダンジョンを消去する』
『この時、一定以上攻略されていなかったダンジョンからはモンスターがあふれ出し、お前らの国を蹂躙するだろう!』
『そして、全世界の諸君にこの言葉をもう一度言おう』
『ダンジョン内で取得した物はその取得したPTの物である。よってそれらより不正に取得物を得ようとする者には罰を与える』
『ダンジョンの中には危険がある。よってダンジョンの中でケガをしたり死んだりする事も当然ある。ゆえにダンジョンに入るのは自己責任だ』
『いいか、ダンジョンに入るのは自己責任だ。他人が強制してダンジョンに行かせて良いものではない!ダンジョンを処刑場のごとく扱った者達には罰が下ると心得ておけ!!』
『ついでに一つ助言しておこう。今はダンジョン崩壊への進行度はゆっくりだが、今後一年をかけて崩壊進行速度は徐々に早くなっていく』
『なので早めにダンジョンに入る人員が増えるよう、今から準備をすることをお勧めする』
『最後に。ダンジョン攻略について各国間で協力すること、競う事は推奨する。だが、争う事は止めておく事をここで忠告しておく』
こうして、一月前に世界中を激震に飲み込んだあの声が、再び世界中を激震に飲み込んだのだった。