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スキル『砦』を使って快適ダンジョンライフ  作者: 日進月歩
第三章 皇居ダンジョンへ行こう!
109/232

●その後のKD対策室メンバーと……


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ その後のKD対策室メンバー ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「やっと俺達もダンジョンに入れるようになった訳だが、これなら最初から俺達が入っていても問題なかったではないか!」


 そこには予想通り敵が大して強くなかったため、これまで待たされた2週間以上の期間は何だったのかと憤慨している男がいた。


「ですが隊長、4階までは確かに問題ないですけど、5階以降は知らずにいたらまずかったかもしれないですよ?」

「麻痺毒だったか?それだって敵が1匹なら特に問題はないだろう?」

「でも、麻痺している間に他の敵が来たらやばいですって。死人を一人も出さない様にって案件なんですから、確かにあのメンバーに頼んで正解だったと思います」

「とはいえな、あんな小学生か中学生か分らん、しかも足が悪くて車椅子に座っている様な子までいるんだぞ!そんな子供に先に行かせて、何が自衛隊だ!」


 そう言った隊長と呼ばれた男の表情は、仕方ない事とは言えやるせない気持ちが表れていた。

 なぜあんな子供を先に行かせなければならないのか、自分は民間人、特に子供たちの平和を守るために自衛官になったのではないのか、そういう後悔と共に自分が自衛官を志した時の気持ちを自問自答しているようだった。


「仕方ありませんよ、向こうは俺達よりもはるかにベテランなんですから」

「それだ!なんであんな子供が俺達よりベテランなんだ!?」

「さぁ?どこか別のダンジョンに潜ってたからでしょ?」

「別のって、何処のだ?現状発見されているダンジョンは全てダンジョン対策室の方で封鎖していて、一般人は侵入不可能のはずだ」

「あれじゃないっすか?世界初のダンジョンクリアメンバーってやつ」


 隊員の一人が発現したその言葉を聞いて、信じられないという顔で隊長は言い返したが


「あんな子供たちがか?」

「なんか問題が有ったっぽいですからね。たまたまその場に居合わせてってやつじゃないですか?」

「それがたとえ本当だったとしてもだ、子供は大人に守ってもらうもんなんだ、それを……」


 どこか納得のいかない表情で隊長はダンジョンを進んでいくのだった。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 数日後のKD対策室メンバー ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「それにしても、このライトというのは良いですね!1回で1時間ほどしか持たないとはいえ、MPさえあれば何度でも使えるんですから、ランタンの燃料が無いだけでも楽ですよ!」

「しかもランタンなんかよりもはるかに明るいと来たもんだ、なあ」

「さらには魔法陣の位置も知らされているからな。これなら確かにあのメンバーに先行してもらうべきっていうのも納得だ」


 数日前までの不機嫌さなど忘れたかのように、皆明るい表情でダンジョン探索を行っていた。

 ただし、約一名を除いてだが……


「いや、それでもやっぱり守るべき子供たちに先行してもらうというのは……」

「隊長まだ言ってるんですか?それはもうあきらめましょうよ。あのメンバーはわずか二日で10階層突破してるんですから」


 そう言われた隊長と呼ばれた男は、やるせない気持ちを隠そうともせず不機嫌になっていた。


「それに、5階層以降は毒があるからってんで、DPを提供してまでスキルを取る様にって言ってくれたじゃないですか!」

「そうですよ、現状碌にDPを稼げない状態なのにポンと大量のDPを提供してくれるなんて、そうそうできるもんじゃないですよ!」

「それもな、貴重なDPをこっちに提供するくらいなら、自分たちの装備なりスキルなりを整えるべきだと思うんだが……」


 そういう隊長の表情は、どこか納得がいかず、誰かを心配する表情をしていた。


「でも、それで人死にが出ちゃいけないって判断の元なんでしょう?だったら、その気持ちに少しでも答える様にするのが、俺たちなりの恩返しってやつじゃないんですかね?」

「そうだな、一人の脱落者も出すことなくこのダンジョンを攻略する!いいかお前ら、気合入れていくぞ!」


「隊長、気合入れるのは良いですけど、あのメンバーに追いつけるとはとても思えませんけど?」

「それでもだ、それでも少しでもあの人たちの負担を減らすんだ。あいにくと向こうは毎日ここに来れるわけじゃないからな」


 そして隊員全員が気合を入れ直してダンジョン探索の続きを始めるのだった。


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