貧弱ですか?いいえ、ムッキムキでした
そして16階へ来たのですが、ここからはまた敵が変わるのでしょうかね?
ダンジョン内部は相変わらず石の通路なのですが、ここのダンジョンは空があったり洞窟になったりはしないのかな?
それとももっと奥に行ったら出てくるのでしょうか?
そしてここで新たに出てきた敵はと言うと……
「前から敵4」
「なんかムッキムキなのが混ざってるわね」
「そうね、体はムッキムキだけど犬っぽい顔しているね、何だろうあいつ」
「んと、コボルトだって、レベルは皆7」
「7!?ここに来てまた強くなってきたわね」
「皆、落ち着いて対処すれば大丈夫よ!」
コボルトって、イメージだとゴブリンよりもひ弱そうな感じだったのですが、なぜかここのコボルトはムッキムキな体にチワワのような顔が乗っていました。
ステータス的には筋力も敏捷もゴブリンより高いんですよね。
なのでその点も伝えましたが
「ん、聞いた感じ力がちょっと強いゴブリンと言った感じ?」
「あとは戦い方かな?」
そして戦闘ですが、皆さんお強い。
ゴブリンコボルトの混成PTをいつも通り難なく倒しました。
「んー、コボルトもゴブリンよりちょっと強いだけって感じ?」
「そうですね、攻撃を受けた感じも多少衝撃が強いかなと言った感じですね」
「でもあの牙はゴブリンより痛そう。全般的に強化されてる感じですね」
といった感想でした。
しかし、明確にゴブリンと違う点が一つありました。
なんと、コボルトは魔石の他に、必ず鉄鉱石を落としたのです!
「あー、コボルトって名前の元がコバルトだっけ?だから鉱石関連を落としやすい?それとも確実に落とすのかな?」
「多少強くなっただけで確実に落としてくれるならゴブリンよりもコボルトの方が良いですね」
「ゴブリンほど臭くないしねー」
これ、ゴブリン無しでコボルトオンリーの階層があればそこを狙いたいところですね。
そして16階も問題なく魔法陣を見つけ17階へ。
「前から5匹くるよー」
「んー、また何か違う声が混ざっているような?」
耳を良く済ませてみると……
「グギャギャッ」
「キャフキャフッ」
「ホブ、ホブブッ」
グギャグギャ言っているのはゴブリンですし、キャフキャフ言っているのはコボルトなので、ホブホブ言っているのは新しいやつなのでしょうね。
そして声のする方にライトを出すとそこにいたのは……
「なんだろうあいつ、毛のない猪の顔をつぶしたような?でもゴブリンと似ている所もあるよね」
「ですね、声がホブホブいってるので、ホブゴブリンとかでしょうか?」
そこにいたのは、顔は玲子さんが言ったような感じで、身長が150cm位でかなりがっしりした体格の敵でした。
「鑑定の結果はホブゴブリン―、ステータス的にも結構強いよー。レベルは7」
そしてステータスはゴブリンの1.3倍くらいの強さでした。
「まぁ、それでも余裕でしょ」
「玲子さん、余裕なのは良いのですが、油断は駄目ですよ」
「わかってるわよ。数値的に余裕でも油断はしない」
「でも、こうまで敵が弱いと油断しそうになりますよね」
「そこが最初から強い武器を持って戦う欠点ですね」
なるほど、私は前線に立っていないのでいまいちわかりませんが、そういう事もあるのですね。
そしてホブゴブリンの動きですが、ゴブリンリーダーの如くゴブリンやコボルトに指示を出していました。
とはいっても、お前行け!みたいな感じですのでリーダーと言うよりはガキ大将レベルですけどね!
そんな感じでこの階層も問題なく進み、無事魔法陣へたどり着きました。
たどり着いたのですが、そろそろいい時間なのでね、18階へ一度行ったら今日は終わりと言う事になりました。
なったのですが、ゴブリンアーチャーから弓がドロップしていたので一度わたしが弓を使って見る事に。
車椅子に座ったままだと左のひじ掛けが邪魔かな?と思っていたのですが、弓を構えようとするとなぜかひじ掛けが下がって左側が開きました。
「…………」
「知佳ちゃん、今何かしたの?その、車椅子の左のひじ掛けが」
「いや、特に何かしたって訳じゃないんだけど、弓構えようとしてひじ掛け邪魔かな?下がらないかな?って思ったら下がった?」
「ふーん。それも自動運転と同じ要領なのかな?」
「ん、自動運転?何それ」
「え?いつも地図描きながら車椅子を自動で操作してたじゃない?」
「え?」
「え?」
不思議に思って聞いてみると、どうやら私が地図を描いている時に車椅子が移動していたのは、誰かが押してくれているからではなく、わたしが自動で動かしていたのだとか……
そういえば車椅子の説明に「移動は付属レバーで行えるが、使用者の意思による思考操作も可能」っていうのがありましたね。
今まで特に気にしていなかったから全然気が付かなかったー!
「知佳ちゃん、無意識でやってたんだ……」
「えへ、てっきり誰かが後ろから押してくれてるんだと思ってたよ。でも考えてみれば、皆が戦ってる時も移動してたねぇ」
「それ、他の人がいる所ではやらないように気を付けてね?最低限操作レバーには常に手を掛けているようにしようね」
そう、今まで外では基本的に操作レバーに手を掛けて手動操作していたので全然気が付かなかったのですが、言われてから手を使わずに移動しようとすると、移動しようとする意志だけで移動できることが判明しました!
これ、確かに便利だけど人に見られると不味いよね?
まぁ、それは気を付ければ良い事と割り切って、弓を試しましょう!
的が無いとあれなのでね、異次元倉庫の中から空のペットボトルを出しまして、中に水を入れてから10mほど離れた所に置いて来てもらいました。
そして車椅子を的に対して横向きにして狙いを定めて…………
カツッ
おー、当たりました!
「おー、見事当たったね」
「初めて、ですよね?初めてで10mの距離であの的に当てられるのなら、そこそこセンスありそうですね」
などと褒められちゃいましたー!えへへ
「これならきちんとした弓で練習すれば知佳ちゃんの武器として弓もありかな?」
「ですね。近い内にきちんとしたものを用意してもらいましょうか」
「でも、使えるって分かったならDPで買ってもいいかも?」
「あー、それも手だね。でもどのくらいまで使えるかは普通の弓で試してからの方が良くない?」
「そうですね、それとどのくらい使うかにもよりますよね。めったに使わないなら普通ので良いでしょうし、よく使うようになったらDPで買えばいいと思いますよ」
なるほど、使えるとしてもめったに使わないならDPの無駄ですしね。
それじゃ、帰ったらお婆様辺りにおねだりすることにしましょうかね。
そんなこんなで今日のダンジョンアタックは18階に到達したところで終了となりました。