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スキル『砦』を使って快適ダンジョンライフ  作者: 日進月歩
第一章 その時地球が震えた
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●ダンジョン出現翌日の日本政府の様子と……(改稿済)


◆◇◆ ダンジョン出現直後の都内某所 ◆◇◆


 20代半ば程の男女6人が河原に集まってキャンプをしていた。


「それにしても、結局キャンプ場の予約取れないからってこんなところでキャンプごっこかよ」

「文句言わないっ、お肉とか買ってきちゃったんだからしかたないでしょ?」

「まあ、みんなで集まって焼肉出来れば俺はえーよ」


   グラ


グラグラ


    グラグラグラ……


ピカーーーーーーッ


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


……… 


 突然の地震の後、不思議な声が聞こえたが全員半信半疑の表情をしていた。


「な、なぁ今の声ってほんとかな?」

「あー、どうなんだろうな?でも何でか分らんが本当だと思う」

「だよねー、普通なら頭疑う所だけど、本当なんだなって私も思うー」


 それよりも気になったのが、地震が起こると同時に少し離れた所で光った場所だろう。

 場所を考えると明らかに不自然な光り方だった。


「そ、それよりあそこ、何か光ったよな?」

「なんか光ってたねー。あれがダンジョンだったりしてねー、キャハハハ」

「よし、ちょっと行ってみようぜ!」

「えー、本当にダンジョンだったらモンスターとかいるんでしょ?あぶないよ?」

「ダンジョンだったら警察に通報しないとさらに危ないかもしれないだろ?」


 そんな会話の後、男の一人が薪にする予定だった長さ60cmほどの太めの木の廃材を掴みつつ


「これだ!低レベルの内はこれを使うんだ!」

「あー、オタクがいたわー」

「なにそれ、ヒノキの棒ってやつー?ヒノキじゃないけどー、キャハハハ」

「しかたない、準備だけしていってみよう」


 などと言い出し、他のメンバーも酔っているせいか意外と乗り気で準備を始めた。


「みんな、ランタンを持て、武器もだ!」

「ちょっと、武器って何よ」

「モンスターがいるんだ、武器は必要だろ?」

「武器なんてあるわけないじゃんー」


 そして男達は、明かりとして用意したランタンと、武器になりそうなものを探しだし


「しかたねーな、俺はこれ持って行くわ」


 そこで持ち出したのは、薪を割るために持ってきていた手斧だった


「俺マチェットー、下草刈るのに持ってきてよかったわ」

「じゃ、私撮影係ねー」


 なんだかんだ言いながらも律義に装備を整え、きちんと準備をしたうえでダンジョンに入って行ったキャンパー一行だったが


「へぇ~、中も石造りかぁ。通路?迷宮?中は結構広いんだね」

「ちょっとー、中入ったらスマホの電源落ちたんですけどー?」

「暗いな、壁は光ってなくて他の光源も無し……と。ランタン持って来て正解だったな」

「え?あ、ほんとだ。私のスマホも電源落ちてる。しかも入らないしー」


 女性人二人は動画を取ってネットにUPしようと目論んでいたが、その目論見は早くも破綻していた。

 その後全員の所在確認をしたが、その最中に何処からともなく犬の唸るような声が……


「ん?なんかいるか?」

「噂のモンスターってやつじゃね?」

「ちょ、ちょっと、まずいんじゃないの?」

「しっ、静かに……」

「向こうからだな……ランタンで向こうを照らしてみてくれ」


「いた、犬……か?結構でかいな。大型犬くらいか?」

「おい不味いだろ、あの大きさの犬って結構シャレにならんぞ?」


 そう言って警戒していると、その犬は突如一番前にいた男に牙をむいて飛び掛かってきたが、その横にいたオタクが


「ふんっ」


 と自称ヒノキの棒をフルスイングした結果、見事飛び掛かってきた犬の喉元ににヒット!


「やったか!」

「ばっか、とっととケリ付けろ」

「成仏しろよ!」


 オタクが何やらフラグを立てたが、即座にガタイのいい男が止めを刺すよう指示を出し、マチェットを持っていた男がそれを容赦なく犬の首に振り下ろした。

 振り降ろされた犬の首はというと、一刀両断とまではいかなかったがその切られた首から血を噴き出し、ビクビクと2、3度震えた後動かなくなった。


「うっわ、容赦ねーなお前」

「こういうのは戸惑ったら負けだからな」

「さーすが、狩猟免許持ちは言う事が違うねー」


 モンスターとは言え生き物に対し容赦なくとどめを刺した男に対し、皆は若干引き気味にしつつもその行動力を称賛し、その後死骸をどうするか相談しだした。


「で、こいつどうする?一応持って帰るか?」

「うへぇ、血だらけだぜ?しかもかなり重そう」

「いや、持って帰れるなら持って帰ろう。きっと高く売れるぞ」

「そうなのか?」

「あぁ、まだどこにも出回っていないダンジョン産のモンスターだ。情報としても素材としても、きっと高く売れる」


 そうして話の流れとして、今なら高く売れるだろうという事で持って帰る方向にまとまりかけた時、それは起こった。


「よし、そういう事なら……って、ああーーー」

「き、消えた!?」

「何かあるな、なんだこれ?」


 手に持っていた犬の死骸が煙のように消えたのだった。

 そして後には透明なビー玉の様なものが落ちていた。


「あれじゃね?魔石ってやつ?」

「魔石……ビー玉にしか見えんな」

「まぁ、持って帰ろうぜ。それだってダンジョン産って事になれば結構な金になると思うぜ、今ならな」

「そうだな。よし、みんな周りに注意して出口を探すぞ」


 その後30分ほどダンジョン内をさまよい、何度か戦闘はあったものの誰も怪我することなく無事撃退。

 出口も発見し、誰も死ぬ事はおろか怪我をする事もなく外に出ることが出来た。


 なお、その後警察にダンジョンの事を通報し、中であったことも含めすべて正直に説明した。

 話を聞いた警官からはこっぴどく怒られたが、その後は目立った怪我もなく無事生還した事をたいそう喜ばれた。



◆◇◆ ダンジョン出現翌日の総理官邸 ◆◇◆


 そこには60歳程の白髪交じりの男と、その男の部下と思われる二人の男性が真剣な表情をして話し合っていた。


「それで、ダンジョンについての情報はどの位集まりましたか?」

「はっ、現在確認が取れているダンジョンの数は全国で67件、そしてその全てが居住地の近くに出現しております」

「居住地の近くですか。ダンジョンを放置はさせないという事なのでしょね」


 白髪交じりの男はその話を聞いて深刻な顔つきになった。


「はい、緊急対策本部の見解も同様で、もしモンスターがあふれ出した場合、国民への被害は甚大なものになると思われます」


 その後の報告で、現在までに発見されたダンジョンの封鎖は全て完了したとの報告が上がった。

 だが、それと同時にすでに中に入ったものがいるという報告も数件上がっていて、その表情はますます深刻度を深めていった。


「あぁ、やはりすでに侵入されていますか。それで、その方たちは無事出てきたのでしょうか?」

「それがですね、○○河川敷でキャンプをしていたという6人組が、ダンジョンから無事出てきたとの報告があります」

「なんと、それは朗報ですね!」


 それら報告の中で、ダンジョンに侵入するも無事脱出できたとの報告があり、それを聞いた男の表情は一気に晴れやかなものになった。


「しかし、今の所生還したという情報はその一組だけでして……」

「そうですか。これは問題になりそうですね」

「とりえず、生還したという方達からはなるべく多くの情報を提供してもらえるよう、協力を要請してください」

「わかりました」


「あとこれは確定情報ではないのですが……」


「なんでしょう?今は少しでも情報が欲しいので教えてください」

「実はですね、ダンジョンにこれから入ると、動画配信サイトでライブ中継をした者が何人かいたのですが、その全員が中に入ると同時に動画が切れているのです」


 それを聞いた男は、ダンジョンの中は電波が届かないのか、はたまた別の理由があるのかを考え、前者であってほしいと願うのであった。

 そしてその情報は自衛官をダンジョンに派遣する時には見逃せない情報だと、頭の片隅に置いておくのだった。


「とりあえず、無事生還したという方達からの情報を持って議会に掛けなければいけませんね。自衛隊投入についてはそれからとしますか」


 こうしてとりあえずの方向性を決め、今回の話し合いは終了した。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 電気が使えないなると、原始的な棍棒や剣、刀等を使えという意図なんでしょうね。暗視装置なども使えないし視界の確保が大変なダンジョンですな
[一言] 六人で入ったのが良かったに違いない。
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