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その時地球が震えた（改稿済）

２０２０年３月２５日２１：００

　その時地球が震えた

　　　グラ

グラグラ

　　　　グラグラグラ……

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

　その揺れは、日本人にとっては他愛（たあい）のない揺れだったが、普段地震の無い国の人々にとっては阿鼻叫喚の渦であろうことが想像できる揺れだった。

　そして１分ほどして揺れが収まるのとほぼ同時に、空から声が聞こえてきた。

『全世界の諸君、今からダンジョンについて説明する』

　その声は何処にいても不思議とよく聞こえ、そして衝撃的な事を言って来た。

『我は地球そのものの意志である。現在世界各国における地下資源のバラツキがひどいため、それを正すためにダンジョンを作った』

『ダンジョンに潜り、中にいるモンスターを倒すことにより様々（さまざま）な資源が入手できる』

『ダンジョンは踏破しなければ５年で消えるが、一度でも誰かが最深部を踏破すればそのダンジョンは消えることは無く永遠に資源を取得できる。よって国を繁栄させたければ５年以内に一つでも多くのダンジョンを踏破することが一番の近道となろう』

『ただし、一定期間ダンジョンを放置しモンスターを倒さなかった場合はダンジョンからモンスターがあふれ出すし、ダンジョンを壊そうとしてもモンスターはあふれ出す』

『モンスターがあふれ出す契機は入り口の上にある５つの石の色全てが真っ赤に染まった時だ。ただし、全世界での先行踏破１００ダンジョンについては、その後放置してもモンスターが外にあふれ出ないセーフダンジョンとする』

『ダンジョンの入り口から一度に入れる人数は１ＰＴ最大６人までとし、ダンジョン内で倒したモンスターの経験値はＰＴで均等に分けられる。そしてダンジョン内で取得した物はその取得したＰＴの物である。よってそれらより不正に取得物を得ようとする者には罰を与える』

『先行踏破５ＰＴまでは先行踏破報酬として特別なスキルを与える事とし、全てのダンジョンの初回踏破ＰＴには報酬としてレアスキルを与える事とする』

《キンコーン　ただいまダンジョンが全世界初踏破されました》

『ええぇぇぇ、なんでー？……ゴホン、少し待て』

『（……え、ちょっとどうなってるの、まだ作ったばかりだよ？作ってすぐとか普通無理じゃん？なに、なにがおこったの？あー、そういうことかぁ、これは……ったなぁ。まぁ、クリアはクリアだね。こっちの対応はちょっと放置して、先に説明を終わらせるか）』

『えー、今さっそく１つのダンジョンがクリアされた。このダンジョンはこれ以降放置していてもモンスターが外にあふれ出る事のないセーフダンジョンとなる。そしてセーフダンジョンは入り口上の５つの石が消えるので、そのダンジョンがセーフダンジョンかどうかはそこで判断すると良い』

『なお、今回踏破されたダンジョンは特別な形での踏破となる。他のダンジョンがこんなに簡単に踏破できるとは思わないことだ！』

『さて、ダンジョンの説明の続きをしよう』

『各国のダンジョンに入れるのは基本的にその国の正式な国民だけであるため、ダンジョンに入りたい者は自国へ帰国し、自国のダンジョンに入るべし。入ろうとするダンジョンが自分の所属する国の物か判断しやすい様、ダンジョンの入り口から半径１００ｍ以内に他国の人間が近寄った場合は体調が悪くなる様にした』

『ダンジョンの中には危険がある。よってダンジョンの中でケガをしたり死んだりする事も当然ある。ゆえにダンジョンに入るのは自己責任だ』

『これらは全世界において共通とする』

『ダンジョン内では今まで地上では発見されていない様々な物が見つかるだろう。それらを用いて人類の更なる発展を望む』

　その言葉を最後に地球の意志とやらの声は聞こえなくなった。

　不思議な事に、これらの内容を疑う者は一人としていなかった事だろう。

　また、この言葉が発せられている最中、全ての者がこの言葉に耳を傾け動きを止めていたが、事故などは一切起こっていない。

　そして、地震大国日本だけでなく、世界を見回してもこの揺れにより倒壊した建物等も一切無かったそうな。

　後年、２０２０年はダンジョン元年と名付けられた。