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アグレッシブ・オブザーバー  作者: 深層^0
学園へ
5/8

明らかな違和感、工作員?

 これが青桜台学園の貸与機か。

見た目もニホンの軍用機とほぼおなじ。

ということは上と政府はある程度のつながりがある可能性が高い。


 「柳君、あった?」

柊の声が響く、少なからず今日は彼女が注目しているのがわかる。

編入生が気になるのか、声をかけてくれるのは非常に助かった。

俺は同世代と話すこともないのでなれていない。

 「あぁ・・・あったよ。ありがとう、助かった。」


 自分の名札がかかった、PSを装着する。

ニホンの軍用機と同じタイプだ。民間機とは着脱のしやすさから違う。


 「――システム起動」

 「――システムアシスト機能」

 「――システムアシスト機能オプション アシスト解除」

 「――システム武装一覧」


おまじないをかける。

アシスト機能は躓いたり、射撃姿勢といった体制移行に補助をしてくれる機能だ。

身体と同じ感覚で動かせるとはいえ、厳密では同じではない、他射撃姿勢など最適な体制に微妙に動くなどのアシストで自然とその体勢になるようにアシストしてくれるが、挙動に対応外の操作が加わるとシステムが判別できずに一瞬とはいえ動きにラグというかコンマ秒の遅れがでる。

ベテランの兵をはじめとした操士の一部は解除しているので、問題ないだろう。


 「柳君、せっかくだし、私と組んでみない?」

 「んーそうだな、知り合いも相手もいないし、柊さんが大丈夫ならお願いしてもいいかな」

この学園の生徒の実力ははっきり言って未知数だ。

スカイからその手の情報は受け取っていない。学生は警備担当しているわけでもないからな。

 「あ?柳は柊と組んだのか?まぁいいが・・・大丈夫か?」


どういうことだ?俺の実力は不明だからおそらく彼女のことだろう。

操作に不安があるのか?それとも元々教師が担当するつもりで、生徒と組ませることに不安があるのか

 「先生、それはどういうことですか?」

 「ちょっと酷くないですか先生、変なこと言わないでください」 

 「あぁ、悪かった悪かった、大丈夫だろ 気にするな」


答えは得られなかったが、仕方ない。


 「それじゃ柳君よろしくね、いくよ!」


思考は打ち切られた。

彼女は腕部ガトリングをこちらに向けて浴びせてくる。

ニホン軍用機の標準装備、弾速は実弾より劣る。

ゆっくりとジャンプし回避する、弾速が遅く余裕がある。

再び回避した先に向けて射撃を開始する彼女の左手からハンドガンが放出され、それを手にするのを認める。

 学園のレベルを低く見積もっていたようだ。

放出されたハンドガンを左手でキャッチするのは新兵には難しく戦場で拾っている姿を見ることも珍しくない。

 再度回避した先にハンドガンを射出するのだろう、俺は身体を反らしながら飛び退く。

案の定射撃してきた。


両手を付いて、跳ね返るように前方へ飛ぶ。

 「――武装左ハンドガン」

腕を出したついでにハンドガンを放出する。回転する勢いのままそれを右手でキャッチし、バランスが崩れる前にバク宙の要領で膝を曲げ、足りない半回転を補い着地。

 アシストを切っていてよかった。アシスト機能があれば足を延ばしたままバク転の動きをしようとして遅延した結果、着地できずに倒れていただろう。


 この勢いのまま射撃を行えば終わり。

そう思ったが、彼女は左にいち早く飛び退く。

確かに左に跳べば彼女はハンドガンを使えるが、アシストを切っていないのだろう、PSが崩した体制を微妙に射撃姿勢に変えようとしている。


――っと!


危ない、観察していたら直撃しそうになった。

俺は再度前方へ飛びながら、彼女へ射撃を行う。


 ステップ機動?

確かにアシストが働く機動で、有効なものだが咄嗟にできるものなのだろうか。

機動そのものは射撃戦時に最初から使って戦闘にはいるようなものだ。

熟練兵なら回避に用いることもあるが、流石に練度が高すぎる、変な癖か?

いや、待て。最初の言葉がひっかかる。彼女はまさか、腕利きで担任は止めようとしたのか?

彼女が優秀であった場合倒すとまずい。悪目立ちする可能性が高い。

かといってあからさまに手を抜くのもまずい。


 グレネードが発射される。

恐らく彼女なら追撃ができるだろう。

これを叩き落としてそのまま追撃を受ければ、気を取られて油断した体をとれる。


俺は反射的に飛び退こうとする自分を抑えて、射撃でグレネードを叩き落とす。


――ドン


軽い衝撃が身体を襲う。ペイント弾だろう。


 「柊さん強いですねー、まるで攻撃できなかったよ」

慎重に言葉を選ぶ。

 「あぁ、彼女は学園でも屈指の強さだよ、むしろよくあそこまで持ったもんだ」


担任の声、やはりそうだったか。下手に勝たなくて良かった。

しかしある程度技能を披露した分、これからの調整が難しい。

というか、担任がどれだけ見たのかによっては怪しまれる可能性さえある。

 「いえいえ、柳君も本当に乗り慣れているんですね、びっくりしました」


 感心しているのか、彼女の声が聞こえる。

君のおかげでこっちは危ないところだったよ。というか、一兵卒のレベルじゃない。

彼女ももしかすると、潜入工作員の可能性があるが、あからさまに実力を発揮しているところを見ると。

何とも言えないが、彼女の存在には注意を払うことになりそうだ。


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