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精霊合身とトランスセクシャル?

「そんなイベントがあったのかよ。しくったぜ」


「わたしもちょっと見たかった」


 魔女の皆さんとレーヴァとの訓練があった翌日、精霊合身の実験の話を聞いて悔しがるのは元春だ。

 ちなみに、レーヴァとの訓練にも参加していた玲さんが、なぜキサラさん達が精霊達と合体したところを見ていないのかといえば、実験が行われたのが魔女の皆さんの代表者を集めたブリーフィング内であること、

 そして、玲さん自身がレーヴァとの追いかけっこで疲れ果てて眠ってしまっていたからである。


「しっかし、コスプレみてーな変身ってなるとメリーさんとかの変身が気になるな」


「残念だけどメリーさんは精霊合身できなかったよ。やっぱり適正が必要みたいなんだ」


 スクナに宿る精霊との親密度は当然として、属性の相性や魔力的な資質など、精霊との合体を行うには色々と条件があるようで、

 あの後、スクナ持ちの魔女さんが二十人近く実験した中で合体に至れたのは、キサラさんを含めてたった三人しかいなかった。


「変身できた三人はどんな感じだったん?」


「こんな感じ」


 本人からの許可は得ているので、三人が精霊と合体した際の映像を見せてみる。

 ちなみに、キサラさん以外の二人の合体結果は、一人が妖精をそのまま大きくしたような羽付きの姿で、もう一人はエルフのような長耳姿といったものだった。


「おお、リラさんはエルフで、キサラちゃんはボクっ娘、ドロっちには羽がついてんじゃん。飛べるん?」


「今のところは飛べないみたい」


 これは精霊合身の実験時に検証をしてみたことなのだが、合体したのが風の精霊なだけに羽を羽ばたかせれば風を起こすことは出来るようだが、現状その風に体を浮かす程の力はないそうだ。


「それで合体した後の性能どのようなものでしたの?」


「極めれば強力な力になると思うんですが、現状ちょっとした強化魔法の範疇内といったところでしょうか」


 この結果には実際に質問を行ったマリィさんは勿論のこと、元春や玲さんから『な~んだ』と気の抜けた反応が返ってくるものの、使い手の体にスクナの個性が加わっているとはいえ、合体の対象が原始精霊だということで、まだまだ力不足の面が大きく。


「基本的には精霊の特徴的な部分が少し伸びるっていった効果になるようです」


「じゃあ、リラさんが魔力で、キサラっちがショタ力、ドロっちが風を操る力が強くなるって感じか」


「そんなところかな?」


 というか、ショタ力ってなんだろう。


「そういえば虎助はどうだったん、合体できた?」


「僕はどっちともできなかったよ」


 これにガッカリするのは元春だけでなくて、アクアとオニキスもその時のことを思い出して項垂れていた。


「ただ、魔王様は普通に成功していたよ」


「マジか」


 まあ【精霊の姫巫女】なんて実績を持つ魔王様なら合体できて当然なのだが、ここで元春が気にするのはそういうことではなく。


「もしかして猫耳――、

 猫耳になったんか?」


 これについては、元春の言っていることは間違っていないので頷いておくと――、


「おおっ、見せて見せて」


 元春から無遠慮なリクエストがあって、魔王様も熱心に請われれば満更でもないようだ。

 プレイ中のゲームにポーズをかけて魔法式を使わず(・・・・・・・)にその場で猫耳少女に大変身。


「一瞬かよ」


「マオならば当然ですの」


可愛(かわえ)ぇなあ」


「あんた、気持ち悪いわよ」


 たしかに、魔王様の幼ない見た目もあって、元春が蕩けた表情で見つめるその様はかなり怪しい絵面になってしまっている。


「マオっちマオっち、どんなことができるん?」


「……早く動ける」


 魔王様がそう言った瞬間、テレビの前に座っていた魔王様が消えて元春の背後に現れる。

 これに元春はハッとニヤけた顔で振り返り。


「おいおい虎助さんよ。精霊と合体した時の強化は微妙って言ってなかったか」


「それは合体したのが魔王様だからだよ」


 【精霊の姫巫女】である魔王様は精霊達にとって愛すべき存在であり、その好感度が魔法の効果にも影響を与えているようだ。


(わたくし)も試してみても」


「もちろん構いませんよ」


 魔法式の安全性はソニアによって太鼓判が押されていて、みんなに使ってみたいと言われるのは予想していたから、その準備はしてあった。

 ただ、これにやってみたいと、まず手をあげるのは元春だと思っていたのだが、まさかマリィさんが最初に立候補するなんて少し予想外の――、

 いや、マリィさんにはアーサーがいるのだから、リアルで憧れの黄金の騎士になれるかもしれないとなれば、その食いつきも当然ものか。


 と、マリィさんが修行に出していたアーサーを呼び戻し、さっそく魔法を試してみたのだが、


「むう」


「失敗ですね」


 こればっかりは適正の問題なので仕方がない。


「んじゃ次は――」


「わたしはできそうにないから止めておくわ」


「だったら俺で――」


 玲さんと相棒のクロッケとの親密度は僕の目からでもかなりのものであることが見て取れる。

 ただ、魔法式の大きさから難易度の高い魔法であることがわかるだけに、玲さんは早々に諦めているようで、残るは元春だけとなり、元春はいったいどの(スクナ)と合体するんだろうと思っていたら、


「いくぜ。

 来い、ライカ」


 呼び出されたのはおっぱいスライムのライカだった。


「ちょっとあんた、ライカと合体するって正気?」


「俺とライカの相性なら属性の壁も越えられるハズだぜ」


「いや、そういうことじゃなくて」


  玲さんが言いたいのはライカと元春が合体した時の姿を気にしてのことだろう。

 しかし、そんな玲さんの懸念は届かずに――、

 いや、むしろ元春としてはその姿そのものが狙いなのかもしれない。

 元春がライカと共に用意された魔法式に魔力を流すとライカのスクナ化が解かれ。


「えっ、もしかして成功した?」


「しかし、変化は見られませんの」


 マリィさんの言うようにライカの光をその身に宿した元春に特段の変化は見られない。

 当の元春も手探りで自分の体を確認しているのだが、変わった部分が見つけられないようで、


「チンも玉もある」


 そりゃそうだろうよ。


「成功したんだよな」


「……ん、ライカはそこにいる」


 あまりにも変化のない元春の様子にみんなが困惑する中、魔王様が指差すのは元春の胸元だ。

 すると、元春がバッと上着を脱ぎ捨てて。


「えっ?」


 困惑の声を上げたのは玲さんだった。

 玲さんは震える指先で元春の胸を指差し。


「おっぱいが出来てる」


「えと?」


 たしかに、よくよく見れば元春の胸が微かに膨らんでいるように見えなくもない。

 そして、元春が改めて自分の胸を触って確かめたところ、それぞれの胸の中心から白い液体が流れ出し。


「成功してんじゃね」


「うん、解除した方がいいんじゃないかな」


 成功したのは良かったけど?

 いろいろな意味でアウトな絵面だし、玲さんの顔が怖い。


「よっしゃ、これで勝つる」


 さて、それがどんな結果を招くことになるのか、

 いや、その前に女子のプライド的な理由から玲さんに阻止されるオチといったところだろうか。

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