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●エイプリルフール企画会議

◆いつかどこかのエイプリルフール前日譚といった雰囲気でお読み下さい。

 それは三年生の卒業式を前に新聞部で行われた会議の様子である。


「じゃあ、春新聞恒例の五大ニュースのネタ出しやってくよ」


「前に(おっしゃ)っていた、新聞部との合同で作る学校新聞電子版のエイプリルフールネタですな」


「去年はどんなネタだったんです?」


「えーと、学校公認ゆるキャラのものみちゃん爆誕に実在したメリーさん。バスケ部の男色疑惑に竹下先生のアイドルデビュー。最後に本物枠としてバスケ部の田島先輩がファッション誌に乗ったって話だね」


「あ、本当のニュースも入れるんですね」


「記事に真実味を持たせないと面白くないからな」


「信じるも信じないもあなた次第ってヤツだ」


「それはちょっと違うんじゃない」


「けど、この竹下先生のアイドルデビューっていうのはよく出来ましたね。

 竹下先生って確か古文の先生ですよね。あの真面目そうな」


「嘘ネタは新聞部がしっかり本人許可をもらってくっからな。

 ちな(ちなみに)、その記事に関しては竹下先生もノリノリだったらしいぜ」


「本当ですか、まったくそんなイメージありませんけど」


「言葉があってるかどうかわからんが、お年頃ってヤツだったみたいだぞ。

 新聞に乗せる写真を撮りに行った先輩によると撮影の際に本人が『これをお見合い写真に使えば……』なんてことを言ってたみたいだし」


「ちなみに結果は――」


「わかりきったことを聞くなよ」


「あはは……」


「まあ、そういう訳で、アイデアを出してもボツになるかもしれないから、早めに集まって使えそうな写真を出し合うってことだね」


「成程――」


「ち、ちなみに、今年の目玉ニュースはどのようなものですかな」


「『岩尾先生、二十歳年下の元教え子と結婚!!』って記事らしいよ」


「岩尾先生――って、体育のゴリラみたいな先生ですよね」


「相手がファザコンかつ重度の筋肉フェチの女史だったみたいでな。

 一年の頃から猛アタックして落としたらしい」


「せめて社会人になるまではっていう、岩尾の言葉を逆手にとって結婚を迫ったみたいだぞ」


「なんか凄い人ですね」


「しかも、その先輩がスーパー美人だって話だぜ。まったく世の中どうなっちまってんだ」


「それはまた――、

 ささ、先程の件も合わせて皮肉というかなんというかですな……」


「だけど、今年のマジネタがそういうのなら、新聞部も同じようなネタが一つ欲しいじゃないか」


「あー、それなら一個ネタ提供というか、使って欲しい頼まれた画像があんだけど」


「本人からの提供?

 新海君達(新聞部)からしたらありがたいとは思うんだけど、それってネタに使って大丈夫なの?」


「単にノリとひよりっちの熱愛写真だからな」


「いや、それってマジモンのネタじゃねぇかよ」


「吉高よ。リアル鈍感系主人公ノリの鈍感力を甘くみんじゃねーぞ、チクショー」


「畜生って……、

 まあ、ネタとしちゃあ半分当たっててで半分間違いってるって感じか」


「そうだね。この情報で被害があるとしたら榊原君だけだし、いいんじゃない」


「……春野さんってそういう人だったんだ」


「ひよりっちは永久不滅の恋する乙女ぞ。

 で、それはそれとしてこっちが俺の本命なんだが――」


「これって風紀委員の町村君?なんか同じ風紀委員の大久保さんに引っ張られてるみたいだけど」


「風紀委員、風紀委員に捕まるってタイトルでどうだ」


「えっと、状況からして、これの原因って元春君なんじゃない」


「それは微妙なところだな」


「ふーん、訳ありって感じ?

 だったら本人の許可は?」


「当然取ってない」


「……まあ、使えるかっていうと微妙なラインだね。

 ただ、原因が元春君じゃないなら提出しても大丈夫かな」


「だと思うぜ」


「ならこれもまるってことで、次は――」


「拙者に参らせてもらえますか。

 しゅばっ、怪奇フライングヒューマノイド&池の上に立つ男子生徒――というのはどうですかな」


「おお、それっぽい写真になってんじゃん」


「というか、どうやって撮ったんだその写真?」


「映画研の友人と間宮先輩に手伝っていただきましたぞ」


「あれ、大徳っち、いつの間に虎助と仲良くなったん?」


「にゅふっ、松平先輩の紹介ですが」


「そだっけか」


「ま、まあ、手伝ってもらったってことはこの写真を使う許可は取れてるってこと?」


「ですぞ」


「だったらこの画像、どっちか採用になるかもね。よく撮れてるし」


「しかしこれ、本当に浮かんでるみたいに見えるな」


「てか、普通に浮かんでるんじゃね」


「あん?」


「うんにゃ、なんでもねーよ。

 それより吉高はどんなん持ってきたん?」


「俺はこれだな」


「ん、こりゃ炎上系の謝罪動画って感じか?

 教頭がやってるってことは二学期の車炎上事件にかけてんのな」


「いや、これどう見てもディープフェイクでしょ。

 内容もアレだし不味いんじゃない」


「やっぱそう?」


「そうだよ」


「しっかし、よくこんなちょうどいい映像あったよな」


「ああ、何年か前にインフルエンザがめっちゃ流行ったことがあったろ、そん時の映像らしい。

 ネタ探しに新聞部のアーカイブ覗いてた時に見つけた」


「ふーん」


「けど、これはボツだね」


「やっぱ無理か」


「犯罪チックなのは流石に不味から」


「だよな」


「ちなみに、そーゆー小関はどんなネタ持ってきたんだ?」


「えっ、僕は購買で昔の体操服が買えるって噂が本当だったってヤツだけど」


「いや、フツー」


「わかってるから」


「だけど、エイプリルフールネタとしてはちょうどいいんじゃないですか」


「じゃあ、これで三つになんのか、

 坂東のネタが大丈夫なら、第一弾の提出に追加のネタは必要なくなるな」


「ちょっとプレッシャーかけないでくださいよ」


「んで、坂(ドゥー)はどんなの持ってきたん――って、誰だこの美少女!?」


「実はこれ、僕の友達なん――」


「紹介してくれ」


「えっと、構いませんが男子ですよ」


「はぁ、これが男?」


「実はこの写真(これ)、文化祭の時に写真部(うち)で出した衣裳なんかを使っておふざけで撮った写真なんです」


「クオリティ高過ぎんだろ」


「いや、これって単に化粧とかで誤魔化してたりしてるんじゃねぇか」


「それなんですけど、この写真、僕達で撮ったものですからメイクとかまったくしてないんです」


「マジか……」


「なんで謎の転校生ってことでどうかなって思いまして」


「いいんじゃないかな。

 あ、でも、これって許可とか取れてるの?」


「ええ大丈夫です。なんか目覚めちゃったみたいで」


「この可愛さならさもありなんだな」


「そういうことなら、これも提出ってことでいいかな」


「「異議なし」」

◆次回投稿は水曜日の予定です。

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