有袋類とテント革命
「すまなかった」
そう言って土下座するのはサイネリアさんのお祖父さんであるシガードさん。
まあ、サイネリアさんのお祖父さんと言っても、見た目は金髪の好青年といった感じなのだが……。
しかし、弓の一族にダンディなエルフがいたハズなんだけど、あの人とジガードさんだとどっちの方が歳上なんだろう。
と、そんなエルフという種族由来の疑問はさておき、サイネリアさんがやってきて、落ち着きを取り戻した(?)ジガードさんに、このアヴァロン=エラに突撃してきた経緯を改めて聞いてみたところ、やはりアイルさんの予想通りというかなんというか。
つい数時間前に帰郷したジガードさんがサイネリアさんに会おうと娘夫婦の下を訪れたところ、そこで愛すべき孫がよくわからない次元の歪みの向こうにいってしまったと聞かされ、なにかあったら危険ではないか、すぐに連れ戻さなければと、娘夫婦との再会もそこそこに、ジガードさんはこのアヴァロン=エラへの移動方法を問い正し、すぐにサイネリアさんのもとへと駆けつけようとしたそうなのだが、いざ里を出ようとしたところで、偶然出会った昔なじみから、実はサイネリアさんが自分の意志でそこに行っているのではなく、とある人物に脅され、強制的にそこに行っているのだと話を聞かされたらしく。
「つまり、ジガード様はまんまと騙されたということですか」
「結果的にそうなるな」
結果的もなにもそれ以外にありえないのと思うんだけど……。
「しかし、ワシがしばらく里を開けている間にそのようなことになっていたとは」
ジガードさんはそんな僕達の視線を誤魔化すように難しそうな顔をするのだが、まあ、これに関してはあくまでアイルさん達が暮らす里の問題なのでと、僕としてはちゃんと間違いを理解してくれたらそれでいいと、アヴァロン=エラへの転移直後、問答無用で襲いかかってきた件については水に流すことにして、
「それで、ジガードさんはこれからどうします?」
「そんなこと決まっている。サイネリアがいる場所がワシのいる場所、我も一緒に連れて行くがいい」
つまり、ジガードさんもここに滞在するということでいいのかな。
ただ、まず問題になるのが、ジガードさんにどこに泊まってもらうかということだね。
ジガードさんとしては、お孫さんであるサイネリアさんと同じ場所に泊まりたいんだと思うんだけど。
現在、サイネリアさんはアビーさんと一緒に暮らしているので、
そんなところに、金髪で爽やかな印象ではあるのだが、男性であるジガードさんを入れてくださいとは言えないだろうと、『我関せず――』と退屈そうにしていたサイネリアさんに、どうしたらいいものかとお伺いを立てたところ。
「えっ、普通にあっちのテントとかに泊まってもらえばいいんじゃない」
サイネリアさんは素っ気なくも宿泊施設を指差す。
と、これにはさすがのジガードさんもショックかと思いきや、ジガードさんはさも当然とばかりに、
「問題ない。バッグの中にテントを入れて持ってきてある。我はそれを使おう」
さすがは里を飛び出し各地を旅して回っているだけのことはあるかな。
ジガードさんは自前のマジックバッグを持っているらしく、その中にいろいろと野営の道具がしまってあるみたいで、年頃の(?)サイネリアさんとその同居人の女性に気遣ってか、自分は自分で勝手にするからいいと言う。
うん。こういう冷静な判断は娘を持つ親ならではのものになるのかな。
単に孫の側なら自分はどんな生活でも満足っていうのが正解かもしれないけど。
とにかく、これで宿泊場所の問題はこれにて解決ってことになるのかな。
そうなると次は――、
「お食事の方はどうしましょう」
「魔獣を狩るので問題ないが」
宿泊場所の問題が解決したのなら次は食料の問題がある。
旅から帰ってきたばかりで出てきたとなると、そんなにお金も持ってないかもしれないし。
と、続けて訊ねる僕に『なにを当然のことを――』とばかりの表情のジガードさん。
まあ、あれだけの戦闘能力ならわからないでもないけど。
場所がこのアヴァロン=エラともなると、万が一の事がありえるからと、これは僕だけじゃなく、アイルさんもそう考えたみたいで、
「ジガード様、それは止めておいた方がよろしいかと」
すっと手を前に出し、ジガードさんに考え直すように言ってくれるのだが、
ジガードさんはそんなアイルさんの忠告に少し不機嫌そうな顔をして、
「止めておいた方がいいとはどういうことだ?」
「このアヴァロン=エラには、時に我々でもまったく歯が立たないような魔獣が出現するのです。
ジガード様でも単独での狩りは少々危険かと――」
あくまでこれは私見であるが、ジガードさんと戦った感触から考えると、ジガードさんの実力なら僕が雑魚と呼ぶ狼やイノシシなんかは余裕だろうけど、例えばソルトロックゴーレムのような、広範囲に影響を及ぼす攻撃手段を持つ準巨獣クラスの魔獣が相手になるとかなりキツイんじゃないかな。
まだ使っていない範囲攻撃魔法なんかがあればまた別だろうけど……。
「この場所には剣の一族が恐れるほどの魔獣が出るというのか」
「場合によっては龍種と戦うなんてことにもなりかねませんから」
「りゅ、龍種だと」
多い時で週一回、ドラゴンが迷い込んでくる確率はそれなりにあるかな。
「とはいっても、大体がワイバーンですけどね」
ただ、ワイバーンも対空技などが使えないとなると難しいから、アイルさんが心配しているのはそういうところなのかもしれないと、僕が一人納得していると、ジガードさんはかなり焦った様子で、
「待ってくれ、汝の言い方だとここにワイバーンが出没するような言い方だが」
「はい。そうですが」
「いや、そうですがというが、お主、それはいささか無責任にも程があるのではないか」
えと、ジガードさんのこの焦りよう、もしかしなくてもサイネリアさんの心配をしているのかな。
ただ、これに関しては事情を知っている人なら、サイネリアさんがかなり安全な場所に暮らしているのを知っている訳で、
アイルさんは冷静に、ジガードさんを落ち着かせるような菩薩の笑みを浮かべ、こう声をかける。
「シガード様、ここはそういう場所なのです」
「なっ、サ、サイネリアは大丈夫なのか」
「ええ、サイネリアが現在滞在している場所は、我らが森のそれよりも遥かに強力な結界で守られておりますので」
サイネリアさん達が暮らすトレーラーハウスがあるのは工房を取り囲む石壁のすぐ側である。
たとえ強力な魔獣がゲートから現れようとも、トレーラーハウス自体も巻き込むように結界が張られるようになっており。
最悪、トレーラーハウス近くの隠し通路から、さらに安全な工房の中に逃げ込むことが出来るようになっているのだ。
「それに、いまのサイネリアさんなら、ワイバーンから逃げるくらいは簡単に出来るでしょうし、なんなら実際に倒すことも出来るんじゃないですか」
そう言って、ジガードさんを安心させるべく、僕が近く魔法窓を片手に退屈そうに黙っていたサイネリアさんに水を向けると。
「うーん。実物とはまだ戦ってないからわからないけど、捕獲するくらいならできそうだね」
いや、捕獲する方が難しいですから――、
僕が苦笑いを浮かべながらも心の中でそうツッコミを入れる一方、これに食いついたのは、意外にもアイルさんの方で、
まさに『くわっ』という表現がピッタリな表情でこちらに振り向くと、僕の肩に手を伸ばしてきて、
「サイネリアがワイバーンと戦える?
虎助殿、それはどういうことですか」
ガックンガックンと揺さぶりながら聞いてくるアイルさん。
相変わらずパワフルな人である。
「実はサイネリアさんと、もう一人、同居人のアビーさんは興味がある魔獣が現れると、素材が欲しいからと言って、ちょくちょく現場に顔を出していてですね。そうしている内にディストピア内とはいえワイバーンを倒せるレベルに成長してしまったんです」
「我ながら恐ろしい才能だね」
正直、サイネリアさんもアビーさんもお客様なので、魔獣の討伐なんかは僕たち万屋スタッフに任せて欲しいっていうのが本音なんだけど、サイネリアさんとアビーさんは初見の魔獣がアヴァロン=エラに迷い込んできたと知ると、マリィさんとはまた違った理由から戦闘に出てくることが多く、それによっていくつかの実績を獲得することになってしまったのだ。
そして、最初こそ実績と万屋の魔法銃に頼りきりなところはあったものの、サイネリアさんは森の狩人として、アビーさんも貴族としての教育からか、もともとのスペックは高かったようで、
たまに母さんと狩りの時間がかち合い戦いのアドバイスを受けたり、ホリルさんやアニマさんに『この実績は持っておくと便利だから――』と一緒にディストピアに入ったりする内に基本性能がメキメキ上がり。
今では各種魔法銃をスイッチしながら、自作した特殊なネイルガンで魔獣を活き締めしてしまうという得意な戦闘スタイルを確立するまでに至ってしまったのだ。
と、そんな話をしたところ、これにはアイルさんのみならず、ジガードさんまでもがわなわなと震え出し。
「我の孫がまさかそんなことになっていようとは」
「サイネリアが私よりも強い、だと……」
孫に、友人に、置いていかれてしまうという危機感を抱いたのか。
二人はサイネリアさんの前にも関わらず、恥も外聞も忘れ、僕にすがりついてきて、
「虎助殿、我々はどうしたら?」
「貴様に頼るのは癪だが、孫の鍛錬に携わったのには違いあるまい。ワシにその方法を教えるのだ」
「えと、そうですね。やっぱり手っ取り早いのは装備の更新とかじゃないでしょうか。
あと、積極的にディストピアに挑戦するとかですか?」
通常、戦闘の実力を上げるには、コツコツと訓練を行い、自分に向いた戦闘法関連の実績の強化から始めるのがいいとアドバイスをするんだけど。
この二人の場合は、すでにどちらもそれぞれの戦い方の土台ができているので、装備や魔法を一段上のレベルで揃えてやれば、そこそこ高難度のディストピアに挑んでもクリアできると思うのだ。
事実、前に来たテイマーのエルマさんも、装備を整えて、まあ、ブラットデアなんかで武装した元春達のフォローはあったりもしたけど、数日でフォレストワイバーンを倒せたワケだしね。
そして、それらのディストピアに挑み、基礎能力の強化に繋がるような実績を獲得。
その効果を半分でも発揮できるようになれば、意外とすぐにワイバーンに勝てるようになるのではないかと、そう話してあげたところ、二人はすぐにそれを実践しようと飛び上がるのだが、
ここで不意に背後で光の柱が立ち上がり、ゲートを見張っていたカリアからのメッセージがポンと立ち上がる。
しかし、その報告を見るまでもなく、ゲートを見れば大量のネズミ型魔獣が溢れ出しているのが丸わかり。
だから僕は、カリアのメッセージを伝えてきた魔法窓をそのままに、ゲート由来の結界を展開して、ゲートから溢れ出したネズミを結界内に封じ込めると、目の前の光景にさっそくアビーさんに連絡を取り始めたサイネリアさんに困った顔を向けながら。
「あの、サイネリアさん、やっぱり参加しちゃうつもりです?」
「当たり前じゃないか、アビーにもこの光景を見せたいし、なによりこの魔獣、マジックバッグの素材になり得るらしいんだよ。見逃す手はないね」
どうも、今回、迷い込んできた魔獣がネステッドマウスという空間系の力を持つネズミのようで、その素材がマジックバッグなど、空間系の魔導器を作るのに便利なものらしく、サイネリアさんはこれが欲しいらしく、嬉々として戦いに参加するみたいだ。
ということで、僕は二人が参戦する前に、出来る限りの露払いをしておいた方がいいだろうなと、諦め半分、ゲートに向かおうとするのだが、ここでアイルさんとジガードさんが武器を抜き。
「私達も参戦するぞ」
「あの、これは僕達の仕事なんですけど」
「あのはしゃぎよう、我が孫も参加するのだろう」
「そうですね」
「ならば、孫を守る為――」
「我々が参加してもよいのではないですか」
それを言われると弱いな。
僕は心の中でため息を吐いて。
「仕方がありませんね。
では、お二人にもお手伝いをお願いします」
「任されました」
「孫を守るのは当然のことである」
と、そんなこんなで僕とサイネリアさん、アビーさんに加えて、アイルさんとジガードさんも参戦することになり。
いざ、ネズミ型魔獣の駆除が始まるのだが――、
その戦いは特に苦戦することなく。
ただ、戦っている最中、ふたたび光の柱が立ち昇り、お客様が来たかと一瞬ヒヤッとした場面はあったものの、転移してきたのは普段からよく転移してくる狼型の魔獣で、ゲートそのものもネズミ型魔獣の転移がすべて終わったところで二重に結界を張っていたこともあって、両者が対立するような場面にはならずに――、
というよりも、数の暴力というかなんというか、転移直後に周りを囲むネズミ型魔獣の数に恐怖し、帰ってしまったなんてハプニングがありながらも、
なんとかネズミ達を狩り尽くし、カリアに討ち漏らしないか確認してもらったところでリザルトチェックとなるのだが。
「素材どうします?」
「どうするとは?」
「それぞれが倒した魔獣の取り分ですよ。
素材はウチで買い取ってもいいんですけど、報酬を減らして素材で作ったアイテムを受け取るという手もありますから」
ちなみに、万屋では通常、素材の買い取りで支払う報酬に関しては、可能な限りお客様の現地通貨で払い、もしもお客様に持って帰ってもらうのに適当な通貨がなかった場合には、帰還した先でも換金しやすいように万屋で鋳造したインゴットを渡すようになっている。
ただ、場合によっては現物支給もあったりして、
「ふむ、どういうものに加工できるのだ?」
「そうですね。今回の素材なら基本的にマジックバッグになりますか。
他にジガードさんも場合、ここでの生活や旅に便利なテントなどを作るという手もありますが、どうしましょう?」
「ほう、テントとな?」
「はい。ものが空間系の力を持つ素材のようなので、空間拡張処理ができるでしょうから、
ちなみに、サンプルはこちらになります」
言って、魔法窓を見せると、ジガードさんの興味はまず魔法窓の方に向かったみたいだ。
「こ、この魔法は?」
「この店オリジナルの魔法です。お店に売っているカードを買っていただければ、誰にでもすぐ使えるようになりますよ」
当然こちらも売り込みもかけておく。
アイルさん達が暮らす里にもメモリーカードは出回っているのだが、データは多い程いい。
ジガードさんはいろいろな場所を旅しているみたいだし、結構な情報が集まると思うんだよね。
そう考えると中継機も合わせてタダで渡してもいいかもしれないな。
これは後でソニアに相談するとして――、
「それで、このテントは、かなり種類があるようだが」
「でしたらお店に移動しましょうか、いくつか実物がありますから」
表示されるテントに意外と興味を持ってくれたみたいなジガードさんに、実際にテントを触って感触を確かめてみたらどうかと提案してみたところ、ジガードさんも思いのほか乗り気なようで、それなら万屋に向かおうということになるのだが、
「サイネリアさん達はどうします?」
ここでサイネリアさんにこれからどうしますかと僕が聞くと、
「私達はこっちに残るよ」
「空間系かつ初見の魔獣だからね。いろいろと調べてみたいし、こっちは気にしないでよ」
サイネリアさんとアビーさんのその返事に「え!?」と驚くジガードさん。
ジガードさんとしては、サイネリアさんは自分について来てくれる思っていたのかな。
しかし、サイネリアさんは新しい素材のチェックに夢中で、
一方、ジガードさんとしても一度行くと言ってしまったからには、今さら止めると言い出し難く。
結局、ジガードさんは、倒したばかりのネズミ型魔獣の解体を始めるサイネリアさんに後ろ髪を引かれながらも万屋の前まで移動。
落ち込み気味に僕の説明を聞くことになるのだが、
「とりあえず、いま一番売れているテントこちらのものになります」
僕が最初に見せたのはまるで円盾のような物体。
それは取り出した瞬間に組み上がるテントになっており、アイルさんが手を放した瞬間、一気に開いたテントに驚いたように。
「これは魔法ですか?」
「特殊加工した柔らかい特殊金属をまとめていただけのものですよ。畳む時に少しコツがいりますが」
おにぎり型の形状記憶シャフトを三つの円に折りたたむようにするのにはちょっとコツが必要だ。
実際に折りたたむ見せながら、ふたたびテントを小さく仕舞ってみせると「このようなものが」とアイルさんのみならず、サイネリアさんと離れることになって落ち込みモードに入っていたジガードさんも、気持ちを持ち直してくれたかな。
意外とこういう発想には、みんな驚くんだよね。
「次にこれはダンジョンなどに潜るお客様に人気のテントですね」
そして、ジガードさんの興味がある内にと続けて見せるのは、俗にワンポールテントと呼ばれるタイプのテントだ。
これに関しては気温変化が少ないダンジョン探索者のお客様に人気で、特に迷宮都市アムクラブから来てくれる探索者のお客様が多くお買い上げになってくれている。
前がオープンスペースになっているから、ダンジョン内での急襲にもすぐに対応できるというのが人気の理由だ。
ただ、これはいろんな土地を旅するジガードさんには「組み立ては簡単そうだが、寒冷地で使うのには難しいのではないか」とその点が気になるらしく。
そういうことならと僕が次に見せるのは、
「少々時間がかかってもいいというのならこちらがオススメですか」
「ん、このテントは柱がないようだが」
「ここの魔法式を発動させることでテントに仕込まれた空洞に空気が入り、自立するようになっているんです」
いわゆるエアフレームテントと呼ばれるタイプ。
これは時間にして一分、待たなければならないが、魔具を発動させてしまえば、後は勝手にテントが組み上がるというものである。
ただ、風が強い日は先に数箇所、ペグを打って置かなければ飛んでいってしまうので注意が必要だ。
ちなみに、そんな面倒なことをしなくとも、テントをそのままマジックバッグにしまえばいいじゃないかというお声も、お客様から聞かれることがあるのだが、そもそもマジックバッグには容量があり、テントをマジックバッグの中にしまうにしろ、なるべくコンパクトにできることが重要だったりするのだ。
「ええと、興味を引かれるものはありましたか」
「少し考えさせてくれるか」
「わかりました」
まあ、モノがモノだけにすぐに決めろっていうのも難しいだろうから。
僕は三つのテントといろいろな資料を見て悩むジガードさんにベンチを勧めながらも。
「アイルさんはどうします?」
「私の取り分はすべてマジックバッグに加工してもらえるか」
曰く、一族が狩りをする時に持たせたいのだそうだ。
ちなみに、その後、ジガードさんから注文のあったテントはワンポールテントだった。
耐寒耐熱効果のあるマント代わりに使えることと、マジックバッグの機能をもたせたポケットがつけられることが決め手になったみたいだ。
ただ、追加注文としてポールの方を武器として使えるようにできないかという提案があったけど、これはなかなか面白いアイデアなのでソニアに相談することにしよう。
◆ちなみに、危機感を煽られた二人ですが、ふつうに戦闘を行った場合、勝つのは普通にアイルやジガードだったりします。
サイネリアの強さはあくまでこれまで歩んできた研究者としての基礎が、魔獣討伐の実績によって強化されたものであり、魔獣の討伐や捕獲に特化したものとなっているからです。
簡単にいうと漁師さんが熟練の業で暴れる魚を捕まえ、活き締めにするように、身体能力と道具の威力によって、その作業を行っているにすぎません。
敵がどんな、どんな攻撃をするのかわかっていさえすればゴリ押しでどうにかそんな感じです。
ゆえにデータにない魔獣の対処はなかなかに難しいというのが現実だったりします。




